発達の最近接領域
ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーが提唱した概念に『最近接領域』というものがある。
「A.既に一人でできること」と、「B.まだできないこと」の間にある、「C.他者の協力があればできること」C.の領域を指す概念だ。
子供の発達に関する心理学の概念なので、教育現場ではその観点を踏まえた場作りや教材作りがなされる事もある。
私の職場『関西笛の会』の代表(故、対馬潤)はフルート教育の低年齢化に人生を捧げた人だった。
『関西笛の会指導曲集』は1番から100番まであり、子どもたちにとって「少し難しい事(最近接領域)」を「少し先を行っているお友達への憧れ」が原動力となって「出来るようになる」仕組みに溢れている。
実力の離れすぎていない集団の場作りとスモールステップ(最近接領域)のコンテンツが「子供のやる気スイッチ」を推してくれる仕組みである。
ちなみにここまでの話しで「何かとにている?」と勘付いた方もおられると思うが『ヨコミネ式』の横峯吉文氏や『スズキメソッド』の鈴木鎮一氏の様な素晴らしい功績を残した偉大な先人達がいる。
子供の能力を育むための研究と実践は大人に対しても有効であると私は思う。
最近知り合ったとても優秀なバロック・ヴァイオリン奏者の方から講習会聴講のお誘いを頂いた。共通の友人がいて同年代という事もあるが、元来とても気さくに話して下る方だ。
メッセージのやり取りの中「みんなで上手くなりたいなーって思いながら関西でやってます」と言う言葉にとても温かみを感じる。
私のバロック・フルートの道にも同門の塩見峰子さんやコンクールや講習会で知り合いになったR.N.さん、いつも通奏低音でお世話になっているバロック・チェロ&ガンバ弾きのS.Hさんなど、最近接領域よりあちらの方が少し先を行き過ぎているが仲間がいる。そのお陰で私の向上心はいつもエンジン全開である。
そして最近接領域は私が教える生徒さん方(大人もお子さんも)をも発展に導いてくれる素晴らしい概念だ。