愛おしさの正体
初対面、竹馬の友、腐れ縁、関係性の濃さや長さは問いません。目の前の人に「愛おしいなぁ」と感じる瞬間、ありますよね?
先日、愛おしい気持ちが止まらなくなる経験をしました。
詳細は守秘義務上記載できないのですが、ある人が心の中で飼いならし、抑制していた”モンスター”の存在を認め、表に出したとき、溢れんばかりの愛おしい感情が出てきたのです。
その”モンスター”(本人が飼い慣らすことに苦しんでいるため、敢えてモンスター👾と表現)が悲しみ、怒り、嫉妬、孤独、不安、弱さ、凶暴性、何であっても変わらなかったでしょう。
表に出さないよう、どこかに隠し、本人すらも忘れてしまっているような”モンスター”の存在を見ることで、その人が完璧ではない、複雑な存在であることを実感しました。
この多面性を理解することが、逆にその人を愛おしく思わせるのでしょう。心の中に飼いならす”モンスター”を目撃することで、弱さや欠点を含めて、その人全体を受け入れることで、深い愛情や共感が生まれます。
いわゆる「ギャップ萌え」も、同様の原理から生じる愛着心です。
普段は人に隠しているモンスターを開示することで、かえってその人を愛おしく思うパラドックスは、他にも理由があると思います。
根っこの部分で共感できる:
根っこに抱える”モンスター”を通じ、その人本来の弱さや苦しみを目の当たりにすると、その背景にある葛藤やストレスを感じ取ることがあります。この共感が強まり、相手を支えたい、守りたいという感情が愛おしさに変わることがあるのかもしれません。
守りたい本能が発揮される:
人間には、弱さを見せる存在を守りたいという本能的な感情があります。表に出している強さや凶暴さの背後にある弱さや脆さを感じ取ることで、相手を守りたいという感情が愛おしさに変わるのでしょう。
”モンスター”が自己投影される:
他者が抱える”モンスター”を見ることで、自分自身の”モンスター”の存在を思い起こします。
私はこの感覚が1番しっくりきます。誰しも人知れず抱えてる”モンスター”を率先して開示してくれることに対する感謝が湧き出るのでしょうか。自己投影を通じて、相手に対する共感や理解が深まり、愛おしさを感じます。
関係性の深化する:
他者が抱える”モンスター”を知ることで、その人との関係が一段と深まる感覚があります。表面的な関係から一歩進んで、より深いレベルで相手を理解し、受け入れることができるようになると、愛おしさが増すのでしょう。
機能承認と存在承認
もう1つの大きな理由があると思います。
それが、機能存在と存在承認のバランスです。
機能存在とは、個人がその能力や役割を通じて特定の機能や成果を達成することに焦点を当てる考え方です。
具体的には、以下のような要素が含まれます。
役割と業績: 個人が組織や社会において果たす役割や業績に基づいて評価される。
スキルと能力: 個人の専門知識やスキルが重視される。
成果重視: 成果や目標達成に向けた貢献が評価される。
存在承認とは、個人がその存在自体を価値あるものとして認められ、受け入れられることに焦点を当てる考え方です。
具体的には、以下のような要素が含まれます。
無条件の受容: 個人がどのような状態であっても、その存在自体が尊重される。
感情と関係性: 個人の感情や人間関係が重視される。
個人の価値: 個人の内面的な価値や存在自体が認められる。
例えば、家族や友人との関係において、その人が何を成し遂げたかに関係なく、その人自身が大切にされることが存在承認です。
特に、10代後半から存在承認が弱まり、社会人から引退するまで機能としての側面ばかり見られるようになります。
赤ちゃん: 機能的には何もできないが、存在そのものが愛され、受け入れられます。
学生: 友人や家族からの無条件の愛情(存在承認)もありますが、徐々に学業成績(機能存在)が評価され始めます。
社会人: 職場での成果(機能存在)や、社会的地位が評価されます。
お年寄り: 機能的には衰えてきますが、その存在が尊重され、愛されます。
機能存在だけが重視されると、個人は成果や役割に縛られ、自己価値を見失うことがあります。
どちらも重要であり、バランスが取れていることが理想です。機能存在があることで社会的な役割や責任感を持ち、存在承認があることで自己肯定感や人間関係の安定が得られるからです。
愛おしさの正体とは「存在承認」なのです。
人が持つ弱さや欠点を受け入れ、その人全体を尊重することから生まれる深い愛情と共感。それは、私たちが他者との関係を築き、豊かな人間関係を育むために欠かせないものです。
どんなに短い出会いでも、長い付き合いでも、相手の存在を認めることが、愛おしい気持ちの根源であることを、改めて実感しました❗️