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言葉の毒まんじゅうに気をつけて!

一見褒め言葉のようで、確実にディスってる言葉ってありますよね。
どこにも悪い単語は使われていないのに
若干バカにされているようなネガティブさを感じる言葉…。

そのひとつが「お人好し」。

母はわたしによく、「あんたはお人好しだから」という。
少々呆れたような、あざ笑うような表情で。

そのたびわたしは なんとなく傷つく、ということに最近やっと気がついた。

なんでだろう…??

例えば 先日の話。
久しぶりに実家に帰り、いつもの通り母がたくさんの野菜を採ってくれていた。
ふと、近所に住む親戚の女性のことを思い出した。
その女性は私よりちょっと年上で、最近 両親を亡くし 一人暮らしになっていた。
今でこそあまり会うこともないけれど 小さい頃は可愛がってもらっていて、わたしは好きだった。
そうだ、この野菜を持って 会いに行ってみようかな。

そう思いたち、母に伝えると
それまで笑顔だった母の表情が ガラリと変わり
「行かなくていいよ!」
そして冒頭の あの言葉を続けた。

「あんたはお人好しだから!」。

出た! 
コレを言われると わたしはもう何も言い返す気力がなくなるのだ。
気まずい空気のまま わたしは実家をあとにした。
そして帰り道、 車の中でぼんやり考えた。

「どうして この言葉に傷つくのだろう?」

お人好しは 悪なのか?

わたしは別に 「優しい人間」ではない。
悪口だって言うし 誰かを妬んだり
時には自分でも引いてしまうくらい 黒い心を持つことだってある。

そんなわたしでも、ふと、誰かのためになにかしたい、って時だってあるのだ。
でもそれは本当に些細なこと、特に意識して「良いことをしてやろう!」と思ったわけじゃないのだけど、そういう時に限って この「お人好しだねバズーカ」を発せられる。

無意識な分 突然向けられた砲弾(大げさ)にダメージを受けてしまうのかな…。
そもそも それは悪なのか???
そんなことを グルグル考えながら ふと気がついた。

 今回の例でいくと、その女性は 父方の親戚であり、もともと母とはあまり良い関係ではなかったように思う。(表面上は良いけど)
だから わたしの行動が理解できなかったのか。

思い返せば これまで言われてきた時も このパターンだった。
つまりこの言葉を発する人は、わたしが善意を向けた「相手」のことが好きではない、だけなのだ。

なんだ、そういうこと。

好き嫌いは 個人の勝手だし、それを咎める気もないけれど その感情を 形を変えて他人にぶつけるのはいかがなものか!

と、わたしはちょっと腹立たしくなった。
まさに知らんがな! である。

と、同時に それに気がついて 少し心が軽くなった。
わたしはわたしの「お人好し」を大事にしていこう。
もう無駄に傷つくのはやーめた!

ふわふわの優しい皮の中にこっそり小さな毒を包みこんだ 「言葉の毒まんじゅう」。もしかしたら自分も誰かに贈っているかもしれない。
気をつけなくてはいけないな、と反省もしながら 夕暮れの田舎道、野菜を積んだ車を走らせたのでした。









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