私にはダウンの姉がいます。②
前回の続きになります。私の姉は軽度のダウン症です。それが理由で私の思春期は姉がコンプレックスでした。身近に発達障害の人や、ダウンの子がいない人は、少なからず偏見があると思います。当時の私はその周りの偏見に対する偏見で怖くなっている時期がありました。
姉の才について。
ダウンちゃんって、よく聞く話だと思いますが、何か一つのことに対する集中力が凄いんです。うちの姉の場合はピアノでした。勉強とかには全然ついていけなくて、簡単な計算から、時計の読み方も習得するのに時間がかかっていました。それなのにピアノめちゃ上手いんです。しかも好きな曲とかだともっとすごい集中力で、すぐに暗記して弾きこなせます。とにかくピアノって頭と手が2倍必要なくらい難しいです。それを簡単そうに弾きます。
私の娘も姉のピアノにお世話になっていて、ぐずっていても姉のピアノで落ち着きます。百発百中です。
自慢の姉になったきっかけ。
そんな姉のすごさは、昔から認識していましたが思春期の私は素直に姉に接することができずにいました。中学時代は結局最後まで姉の話題を避けて、そのことに触れられないように過ごしました。
高校に入ってすぐのある日、姉が参加しているコミュニティのライブを手伝う機会がありました。正確に言うといやいや手伝った。ですが。結局人生観を変えてくれました。
そのコミュニティは、姉をはじめいろんなハンディキャップを持った人々が、それぞれ楽器を演奏して、主にライブ活動をしている団体でした。そのライブで耳の聞こえない人がドラムをたたいていており、衝撃を受けたのを覚えています。「どういうこと??」ってなりました。
そこで姉がキーボードを弾いており、母は手話ダンスなるものをしていました。私は活動自体は知っていましたが、実際に現場を見たのはこれが初めてでした。
当時思春期真っ盛り&尖りまくりの私は、涙をこらえるのに必死になるほど感動したのを覚えています。それと同時に今までの自分の言動が恥ずかしくなって、姉に対して申し訳ないという思いが溢れました。この日、私が勝手に作った壁が崩壊しました。姉はいつも通りの感じでしたが、明らかに私の中で姉が、隠したい存在から自慢の姉になっていました。
私の中の変化。
私はあの日を境に、姉のことを隠すことがなくなりました。友人が家に泊まりに来たときには、自分から姉を紹介して、ピアノを披露してもらったりもします。めちゃ盛り上がるし、普通にピアノ上手いので、こっちも自慢げになります。
姉との会話も増えました。親とも心から信頼し合えたように思えます。幼少期私にだけ厳しい気がしたのも、姉を支えてほしい。しっかりしてほしい。という思いからだったというのも、今ならよく理解できます。
これからの目標。
私には才能のあふれた姉がいます。その個性をもっと多くの人に広めたいし、それが同じ境遇で悩んでいる人の助けににもなると思います。今は自分そして自分の家族のことで必死ですが、姉が私しか頼れる人がいなくなったときのために、その居場所を作る準備をする必要があります。
具体的なものは全然決まってないし行動も出来ていません、ですがこの気持ちの備忘録にもなる。と思いこの記事を書きました。家族にハンディキャップを持った人は、そのことで色々悩むことがあると思います。
それは障害ではなく個性であることを忘れないでください。以上です。