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終わりのない仕事が始まった
<ムービージュークボックス14>
どんどん悪いことが起きる。”負のスパイラル”という嫌な言葉がある。
このスパイラルにはまった男の物語、英国映画「ハンドフル・オブ・ダスト
(ゴミをつかむ)1988」。
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元・貴族の男は、住んでいたゴシック調の邸宅を、こよなく愛していた。
彼の妻は、夫から心が離れ、若い男にひかれていた。
そして、交通事故で子供を亡くしたとき、スパイラルの入口がぱっくり開いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1683977145437-wQZeVnuevy.jpg)
もはや、二人を引き止めるものは何もなかった。「年に500ポンドやるから、この家から出ていけ」と夫は言った。
「年なら2,000ポンドは、ほしい」と、妻は要求した。
ののしりあう妻の背後に、男の存在を感じた。交渉は決裂した。
夫は、突然、アマゾンの探検旅行を持ち出し「5年後に帰ってから、
離婚してやる」と言い残し、妻に背を向けた。
アマゾンの”失われた都市”を発見する男の旅が、蛇の内臓を突き進み、
負のスパイラルの底に落ちていく。
探検隊は、アマゾンの吹き矢族に襲撃され、壊滅。
男だけが救われ、白人の部族長の家にかくまわれた。
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部族長は文盲だったが、どこかで奪ったチャールズ・ディケンズ文集を持っていた。何が書いてあるのか、誰かに読んで欲しかった。
救われたその日、男は疲れていたが、部族長のために読んだ。
その日から、毎晩、毎晩、男は部族長のために、退屈な中世の物語を朗読。
読書が、終わりのない労働になっていった。
![](https://assets.st-note.com/img/1683976233372-4FB3bsiu7H.jpg)
そんなある日、帰ってこない探検隊を捜索する捜索隊が、
英国からアマゾンにやってきた。
部族長は、いい読書人を失いたくなかった。
男にコカインを飲ませ、2日ほど昏睡させた。男の腕時計を捜索隊に
「これが彼の形見だ」と言って渡し、捜索をあきらめさせた。
その後、英国では、男の死亡が認定。
元・妻は、男の親友と、めでたく再婚し、
遺体埋葬なく墓石が建てられた。
深い地層に眠った化石の巻き貝のように、
負のスパイラルは、誰にも気づかれなかった。
タイトル画像は、生成AI designer=Powered by DALL·E 3
<映画好きのためのトリビア>
●シカゴ・サン・タイムズ紙評価「この映画は、ハリウッドの恐怖映画よりも残酷であり、静かに詩のように描かれている」