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社会課題に光を当てるプロジェクトSIL。「防災」テーマに取り組んだ背景と、活動から得た学び

こんにちは。QO株式会社のSIL運営チームの濵﨑(はまさき)・手島(てしま)・島守(しまもり)です。
私たちは、社会の様々な問題に光を当て、声なき声を拾い上げていくための活動体として、2023年8月に、株式会社arca・株式会社DEと3社合同でSocial Issue Lab(通称:SIL 「シル」)を発足しました。SIL誕生の背景には、「QOが長年培ってきたリサーチの技術や知見を社会のために活用したい、社会のことを“知る”きっかけを届けたい」という想いが込められています。発足以来3つのテーマについて調査・リリースするなど、手探りながらも日々活動に励んできました。

今回の記事では、直近でリリースした「調査レポート:防災格差」と「ソーシャルレター:防災あとまわし社会」について、テーマ設定の背景なども含めてご紹介します。



「防災」をテーマにした舞台裏

第1弾の「Girls' Future Report」をリリースし、次のテーマを検討していた2024年1月。令和6年能登半島地震が発生し、石川県をはじめとする北陸地方が甚大な被害を受けました。日々目の当たりにする情報に、心を痛めることしかできずにいましたが、「今このタイミングで、震災支援や防災について、考え直すきっかけを世の中に届けることが、私たちの使命ではないだろうか?」とプロジェクト内で意見が一致し、この2つのテーマを扱うことが決まりました。
(震災支援については、「生活者が向き合う震災支援のリアル」をテーマとして今年3月にリリースしておりますので、よろしければそちらもご覧ください。 )

一口に「防災」といっても、心のレジリエンスや防災マイノリティ、防災格差――など分析の切り口は様々で、知りたいこと/伝えたいことが多岐にわたっていました。その中でSILが優先すべきことは、生活者の防災意識/実態の現在地を知り、取り組みを進めるためのヒントはどこにあるのかを明らかにすることだと考え、「防災格差(当時、仮称)」を具体のテーマとして調査・リリースすることにしました。

検討時の実際のスライド

具体のテーマが決まれば、その後はすんなり進むかと思いきや、私たち自身も防災知識が不足している現実に直面…。そのため、多くの情報源を参考にしながら、慎重に調査企画(設計や調査票の作成など)の検討・精査を行いました。
 
特に、対象者をグループ分けするために使うチェックリストの作成では、想像以上の時間を要しながら進めていた記憶があります。また、ネット上の情報だけに頼るのではなく、外部の心強いパートナーさんのアドバイスやお力添えもあって、何とかリサーチを形にすることができました。

チェックリスト


調査結果を通して見えてきたこと

私たちが調査結果をみて、まず大きな衝撃を受けたのが、チェックリストで22点満点中0点の人、つまり防災に全く取り組んでない人が全体の約16%も存在したことです。22点中1〜2点の人も加えると、「全体の約3人に1人がほぼ防災に取り組んでいない」という結果となりました。

ただ単に防災への意欲がないわけではなく、未婚の方やひとり暮らしの方など「自分のためだけの防災だと、後回しになってしまう」といった気持ちがあることもわかってきました。

一方、防災に積極的な方の多くは、過去に防災を学ぶ機会があったことが確認できています。その学びや情報を自分の中に貯蓄することで、自身の置かれた環境によらず、後天的に防災への取り組み度合いを高められることがわかったのも、プロジェクトとしては大きな発見でした。

また、主にソーシャルレターで扱っていますが、対象者の9割以上が防災意識を持つ重要性を認識しているものの、「やらなきゃいけないけど、できていない」といった後ろめたさやプレッシャー、さらに思うように取り組めないハードルも存在していて、結果、「防災をあとまわしにしてしまう」現状も確認できています。
「金銭的な余裕がなく、目の前の生活が優先になってしまう」
「何がどれくらい必要なのかがわからないため、そこから調べるのが面倒臭い」
「喉元過ぎれば熱さ忘れる…で、その時は『防災しなくては』と感じても、何年かすると意識が薄れてしまう」
「いくらやっても終わりがない」
といった、防災に前向きにはなれない生活者の思いが数多くみられました。

一方、「自分のため」だけでなく、家族やペットなど周りにいる「誰かのため」を思うことで、意欲的に防災に取り組んでいる方々の声も多く挙がっていました。このことは、私たちが「防災をやらなきゃ」と義務的に感じてしまうところを、「やってみよう」と主体的に考えるヒントと言えそうです。

ぜひ、調査レポートとソーシャルレターから、皆さんにとってのヒントを探していただけると嬉しいです。


SIL第4弾に向けて

私たちはまだまだ小さな活動体ですが、約1年間の取り組みを通して、プロジェクト発足時に掲げていた「QOが長年培ってきたリサーチの技術や知見を社会のために活用したい、社会のことを“知る”きっかけを届けたい」という想いが、ますます強くなったことを実感しています。その想いをより多くのテーマや領域で実現するため、そしてSILの更なる成長を目指すため、現在はプロジェクトメンバーを増員し、次なるテーマへの検討・リサーチ企画を進めているところです。

今後も、生活者1人1人の声に寄り添うことを大切に、様々な社会課題に向き合っていきます。次回のリリースもどうぞお楽しみに!


【SILサイト】

レポートの元データをみなさまに活用いただくために、SILのこれまでの活動も含むデータを取りまとめたサイトをオープンしています。
こちらもぜひご覧ください。



*執筆者:QO株式会社 SIL運営チーム
濵﨑 真由(Mayu Hamasaki)、手島 小春(Koharu Teshima)、島守 賢也(Kenya Shimamori)



*QOでは、ともに働く仲間を募集しています。