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やる気は「出す」ではなく、「出る」ものだ。

「テスト前に部屋の掃除をしたくなる。普段やらないのに。」
モチベーションって、そういう物だと思う。チームのリーダーとかになってしまうと、部下のモチベ維持しろとか言われるけど、そんなの無理ゲーよ。私だって「働きたくない」と思いながら生きている。

そんな中でも私なりに、「やる気に頼らないマネジメント」についてメモしておく。


0.やる気がいらない環境構築

元も子もないことだが、まず「やる気がないと、仕事が回らない状態」をデフォルトだと思わない方が良い。簡単なタスクは、機械的に事務的に処理できるようなルーチンワークを組むべきだ。

私の場合、自発的に業務時間を何に使ったのか、全社でだれでも閲覧可能な場所で自己管理を行なっている。次に作業見積を立てる際に役立つし、ゲーム感覚で効率化をしてタスクの完了を早めている。別にそれは、毎日「やる気」を出してやっているのではなく、習慣だから、そうしているだけ。また、だれにも指示されていないが「他人に見られるかもしれない」という緊張感のある環境を作っている。


1.「やらなきゃ」が多すぎる

「やってない」が持続してしまう

しかし、現代人は本当にやることが多い。そう思いませんか?
「やらなきゃ」→「やってない」→「やらなきゃ」→…の繰り返しのタスクがどれだけ多いことか。

こうなるとルーチンで、どうこうできる問題ではない。
タスクが自分という器から溢れている。問題を解決せねば。


優先度を決めて「積む」

「やらなきゃ」は脳のリソースを食ってしまう。これは放置すると進行中のタスクの作業スピードも落ちる。

全部やろうとして出来ないのであれば、「やらなきゃ」の中で優先度を決めて1つずつ片付けていこう。焦らなくて良い。焦っても物事は早く進まない。

期限があるもので、自分以外が対応できないものは勇気を出して断ろう。それでもやれと言われても、「この優先度が高く、進捗がないので無理です。」と、状況を正確に伝えるべきだ。それで評価が落ちたとしても、優先度の高い仕事を完遂できたのなら、その会社の「外」で個人は評価される。※後述

それに、すでに「進捗が0」という現実がある。進捗0と1、どっちが良い?


2.「やる気」の文脈

魚は水を意識しない、じゃないけど…

最初から四六時中やる気がある人は、まわりから見れば「やる気」に包まれているかもしれない。しかし、本人の目線だと、ずっと包まれているものについて、意識することはないだろう。魚が水を知らないようなものだ。(まあ、人は大気の名称を覚え知識を持っているが…)それでも、大気の薄い所へ行かないと、心から「ありがたい」とは思わないだろう。

つまり「やる気」について、わざわざ語られる時というのは、それが欠乏しているということなのだ。「いつもは無いけど、やる気がある。」

また、やる気はあるだけでは機能しない。「やる気はあるけど、リソースがない。環境がない。」水や大気は、それが満たされる空間・環境がないと、魚や人に恩恵をもたらしてくれないように。


そこに無ければ無いです

「やる気を出せ」と言って出るのであれば、言う前から出ていただろう。もし「やる気を出せ」で問題が解決したのなら、それは、やる気が出たのではなく、他のタスクの優先度を下げて、上司の命令の優先度を上げただけである。

ここで言うタスクとは仕事のことだけではない。休息睡眠、食事、趣味、交友、勉強、家庭…「それらを犠牲にしても、このタスクをやって欲しい」と依頼するのが筋だろう

本人の「やる気」を他者が勝手に「ある」と解釈してしまうと、後々余計になくなってしまう。やる気が必要な現場であれば、それは致命傷になりかねない。


「やる気」は本人が決めるもの

「テスト前に部屋の掃除をしたくなる。普段やらないのに。」それこそが、やる気である。

たとえば、普段の仕事に余裕ができたり、うまく行かなくなった時、「やらなくていい」に積んでおいた、業務改善など、「普段はやらないけど、今後の効率化になるぞ!」というイレギュラーの仕事は「やる気」を原資にして良いだろう。

一方、毎月の数字を達成することとか、そういう常に必要なことを「やる気」に頼ると、初めは良いかもしれないが長続きしない。それは、もっと前段階のサイクルで出来るように、体制を組まないといけない。

「必要な時は声を掛けて。」部下が思う必要な時と、上司の思う必要な時は違う。そこで、上司が「必要な時に声を掛けない、積極性がない、お前はやる気がないのか!」と言っているようでは、一生仕事は進まない。もう定例会議にして、ルーチンで報告させた方が、皆がごちゃごちゃ考えなくて良くなる。やる気は必要なくなる。俺たちは部活ではなく、仕事をしに来ているのだから、それでいいのだ。


3.上司の在り方

やる気を削がない

上司がすべきことは、部下のやる気を出させるのではなく、何より、部下のやる気を削がないことだ。「まだやっていないのか」なんて言って怒られたら、やる気がなくなるだろう。

それでやれたとしても、それは「やる気」を元にした仕事ではなく「強制」であり、最終手段。上司との距離が変わらなければ、次回も上司に怒られるまでやらない人間になる。遠くなった場合、上司に相談をしないことが増え、マネジメントしにくくなる。急に退職したりするようになると思う。

上司としては納得いかないだろう。私だってそうだ。怒られる前にやれって話。でも、人間をコントロールしようとしても、最終的に自分が損をするだけではないか。上手く行っている人を見たことあるか?私はない。優秀な人から順に、見捨てるように退職していく。それで困るのは上司の方だ。


スケール・目線を合わせる

限界まで相手のやる気に頼ろう。そこで大事なのは、上司と部下の「スケール」を合わせておくこと。いつも「大変だ」と言っていては、マンネリ化する。致命的な問題なのか、まあまあの問題なのか。それによって、「やらなきゃ」〜「やらなくていい」の中で優先度を適切に管理すべきだ。それを、部下自身が、判断・行動できるようにしないと、自発的な「やる気」に期待はできない。

叱りつけるのではなく、その問題がどの程度深刻で、なぜ今すぐに取り組まないと行けないのか。コンコンと説明する。もちろん、相手の目線でも分かるようにだ。相手の目線で分かるようにするためには、普段から相手の目線を知らなければならない。だから「相互理解」が必要なのだ。単に飲み会を増やしても、自分ばかり話していないだろうか?

あまり賛同されないが、私は部下を取引先と同じだと思っている。自分の仕事を、より良い物にしてくれる存在という点で同じだし、相手にもメリットがないと、動いてくれないだろう。


4.経験値

どこから学ぶか

すぐに成果にならなそうでも、人の話を時間を掛けてひたすら聴くことに徹している。部署外でもそうだ。階級や、歳上歳下関係なく。皆、いつか自分の役に立つかもしれない。

そうでなくても、他人の失敗や苦悩は学ぶことが多い。部署内外の上司の苦労、その上司の下にいる部下の不満。どっちもじっくり聴いたから、自分はここまで書いたような持論を組むことができた。


実体験以上の学びはない

ただ、自分自身の失敗を元にしていないので、これらは理想論すぎるなとも思う。リアリティがない。今後、私には望まずとも色々な苦悩が降りかかってくるだろう。

その際は、この持論を改めるかもしれない。多分、その時はこのnoteを見て「まだ青いな」と思うのだろう。その前提で、現段階の結論を出す。そう、大人になった時のことは、その時に考えれば良い。変に想像を巡らせて考えるのは「やらなくていい」ことである。


余談:理想論

これは、仕事以外の理想でもある。

人間関係:
この人と「離れられない」と思うと、しんどいものだ。
「離れても良いけど、ずっと離れないで欲しい。」出口は残したまま願う。

死:
「死んじゃダメだ」と思うと、しんどいものだ。
「死んでも良いけど、死なないで欲しい。」出口は残したまま願う。

現実(仕事、家庭、友人関係…)は、綺麗事ではいかないが、スケールの大きい問題。生死とか人生とか…そのくらいは理想を願っても、良いのではないだろうか。

デザイン:
「デザインをやめられない」と思うと、しんどいものだ。
「やめても良いけど、まだ、やり残したことがある。」

これが、「潰しが効くか」という話だ。
大人も子供も、出口を確保するために勉強はやらなきゃ。

おっと、いけねえ。

勉強:
「勉強しなきゃ」と思うと、しんどいものだ。
「やらなくていいけど…やる気が出たら、やっても良いんじゃない?」

始めたら、苦じゃないんだけど、始めるまでが、手に付かないのよね。



この記事の下書きは、2023年に書かれました。
意識高い系でキモいので出しませんでしたが、2024年現在、仕事が苦しいので自分を励ますため、加筆の上投稿します。

今は人の話聞く余裕なんてないし、部下のやる気が出る前に、新規で取り組んで欲しいことを、リクエストすることが多くなりました。部下ではありませんが、あまりにも、やってくれないことが多すぎて、激怒することもあります。

「いつも順調」なんてことはないので、自分が「やらなきゃ」に押しつぶされないよう、「やらなくていい」を活用して、なんとかやっていきましょう。

この1週間、急にいつも打ってるパスワードが打てなくなったり、レンジの使い方を忘れたりしています。もう、今日は何もしませんでした。
物忘れにはバナナが良いらしいので、バナナは食べました。生ゴミが臭い。

「やらなくていい」

また、やる気が出たら頑張ります。それまでは、ルーチンで出来ることを淡々とやります。

バナナの皮だけ、小さい袋に密閉し、今日はゆっくりします。

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