【CI刷新プロジェクト Pt.04】 ステートメントの整理とイデオロギーの定義
前回お届けした「ステートメントの解剖」に引き続き、今回は「ステートメントの整理とイデオロギーの定義」について、記事を書いていきます。前回、ステートメントを解剖した結果、CEO・CTOのメッセージがしっかり伝わっていない可能性が浮上しました。改めて整理・細分化を行い、Qlipのイデオロギーである最もピュアな部分に迫っていきます。
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CEO・CTOのメッセージの振り返り
イデオロギーを紐解いていくために、改めて、前回の記事でも取り上げたCEO・CTOの想いを振り返ってみます。
CEOの想いには、エンパワーから連想される「力や機会を与える」「力をつける」「自立させる」といった、個人や団体が自分の力で目標を達成できるようにサポートすることを表します。
また、CTOの想いには制作視点のキーワードが含まれており、Qlipのクリエイティブを担ってきたCTOらしい温度感を宿すメッセージとなっています。
イデオロギーの細分化
これらのキーワードをヒントに、Qlipが持っているであろうピュアな部分・イデオロギーを見つけ出すために、細分化して整理し、推察を行なってみました。ポイントとなるキーワードは以下です。
「人の決断」
「決断によって動く人生」
「キッカケ」
「魅力的にする(シンプル・美しくする)」
これらを整理すると、以下の様な行動変容のフローが、仮として定義できるのではないかと考えました。
人生の変化は、人が決断することによって生まれます。そしてその決断を促すものを、Qlipはビジネスデザインやコミュニケーションデザイン、クリエイティブプロダクションによって作る。個々人に焦点を当てた、ある種泥臭い部分をこつこつと作っている、という感じです。
つまり、もともとのステートメントである「シンプルに美しくする」対象は、「世の中」というマスではなく、もっと細分化した、人の決断を促す個々人に焦点を当てた前段の部分なのではないか?ということです。CEOの「個人にフォーカスを当てる」というコンセプトが存在する一方で、現行ステートメントは、対象が「世の中」というマスになっています。この乖離は、CEO・CTOの志と、現行ステートメントの間に存在する、意味の不明瞭さとなります。
では、本質的には、どういったイデオロギーがQlipにはあるのか?
イデオロギーの定義・深掘り
過去の記事で何度も繰り返し記載をしていますが、今まで挙げたCEOとCTOのメッセージを踏まえると、次のようなメッセージに集約されるかと思います。
そして、この目的と手段を前提に考えたときに、考えうる一つの推察として、「人に幸せになって欲しい」という考え方が見えてきます。人に幸せになってもらうためには、人・個人を大事にする。CEOの言葉である「個人にフォーカスする」に紐づくキーワードとなります。
これは、自社スタッフへの向き合い方から始まり、プロジェクトのご担当者様、ひいてはQlipが制作するアウトプットを利用するエンドユーザー個々人まで、さまざまなステークホルダーに対するQlipの理念となります。現行のValueにも記載があるように、「個を大事にすること」や、本記事で記載した「人を幸せにすること」は、Qlipが創業時から大切にしている「人」に対する向き合い方です。
この見立てをもって、CEOとCTOにプレゼンをおこない、「個を大事にする」というロジックや捉え方についての、大方の同意を得ることができました。
現行ステートメントの解剖から始まり、ステートメントが機能しているか否か、理解がされやすい言葉使い・言葉選びになっているか、コミュニケーションスピードはどうか、といった分析を通して、メッセージから連想される要素をピックアップし、形作っている理念を言語化したことで、根底の考え方を整理することができました。
過去の一連記事
こうしてまとめてみると、結論として抽出した言葉はとてもシンプルなものですが、言語化や分析を通して、1周回って落ち着くことの重要性や、改めて自分たちが何をしたいのか、というピュアなコンセプトを一定の時間を掛けて振り返ることは、CIの土台を作るうえで大切な工程のように思いました。これで、ロングランとなるCI刷新プロジェクトのスタートラインに立てる準備ができ、根底となるイデオロギーを軸に、MVVや新たなステートメントの考察へ進むことができます。
これにて、やっとコーポレートアイデンティティをリニューアルしていくスタートラインに立つことが出来ました。QlipのMissionやVision、創業時から大切にしているValueなど、本格的にコーポレートアイデンティティを再定義するステップへ突入していきます。次の記事からは新たなシリーズとして、どのように新ステートメントを決定していったのか、MVVの再定義をおこなっていったのかの、裏側をお伝えする記事を作成していく予定です。乞うご期待ください。