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Voicy No.0085 2021年12月3日
【ゲストやまけん】アート型ビジネスって何か?
数値化できないオリジナリティー。
コテツ:今日もゲストに、やまけんさんに来ていただいています。
よろしくお願いします。
やまけん:よろしくお願いします。
コテツ:今日、意見交換したいのはアート型ビジネスの話です。昔は顧客とかメカニズム的捉え方でビジネスをアドバイスと研究をしていたやまけんさんが、アート型ビジネスといっています。その論文を読んで、最近やっぱりそれが大事だなと思ったきっかけをお話しします。
自分はこの2年ぐらい、スポーツオークションの会社の経営をしていました。もともとスポーツの大ファンなので野球、サッカー,格闘技だの一通り見ていて、『Number』というスポーツ誌も昔から読んでいたんです。
スポーツドラマとか、誰々選手が先輩・後輩で、昔は実力が目立ったけど逆転したとかいうのが好きで、スポーツファンだった。
スポーツオークションをやるために、この2年間スポーツ選手と接点がありました。
アスリート型のものの考え方はスコアが出るから、成績上、日本一が絶対いて、体操の大会で全国選手権をやったら、内村航平選手みたいな人がいるわけです。アスリート型の捉え方では、序列から何から必ず縦になります。
ビジネスもアスリート型で捉えている人と、アート型と捉えている人がいると思っています。
それは業種業態を問わず、経営者とかビジネスをやっている人の言い方や解釈の問題ですが、「何々のサービスを何千人に施した」のように数で推したい人もいれば、自分の考え方、やり方自体をアート方面に持っていって、好きか嫌いかに持っていこうとする人もいます。
アート型ビジネスの捉え方はこういうことですか。
また、アート型ビジネスになぜ注目しているか、
やまけんさんのアート型ビジネスが何なのか教えてもらえますか。
やまけん:きっかけは1000人ぐらいの経営塾で、自分たちの会社も売上を毎年2倍、3倍上げるのを1個目指しつつ、自分のクライアントを3カ月で売上を上げてきて、その結果、あまり面白いものができなかったからです。
限られた時間の中で売上を上げないといけないので、やっていく手法、商品パッケージングの仕方の大枠が似てくる感じが嫌だなと思って。
街を歩いていて、チェーン店みたいなものより、自分たちしかできないという「こだわり」が詰まっているものが外から見て感じられない店に入るのが、僕はすごく嫌なんです。
でも、自分がビジネスでアドバイスをする人たちにやっていることは違いました。相手が短期間で売上を上げなければ崖っぷちのときにしていたアプローチは、その先の逆算からすると町中によくある飲食店みたいになるから、それはすごく嫌だなと思って。
だから今後、自分がやっていく仕事は、数字を追って売上をつくるのを二の次三の次にして、自分が本当に面白いと思えるものをつくるのを中心にして活動していこうと思ったんです。
そして面白いものをつくって広めようとしていたんですが、まだアート型ビジネスという言葉もないし、整理もされていなかった。そこから進んで、僕自身も含めて数字に対してモチベートをあまりされない人のために、その手法をつくっています。
大事なのは、自分がやっているものに対する愛着を
どこまで重視していくのかということ。
音楽アーティストの中でも、それがポップなのかロックなのかパンクなのか、どういうジャンルでどんなスタンスの音楽を届けるかがある。
どこまで多くの人に響くようにやっていくのか、それとも自分がやりたい音楽の方向性で、自分のつくりたい曲をつくるかスタンスが分かれてくるところですが、売れることが一番喜びの人は、できるだけ最大公約数を当てにいくようにというので作品をつくるわけです。
そんなことよりも自分の好き嫌いが明確ではっきりしている人は、自分が「これがめちゃいい」と思えないものをつくってマスにウケたとして、それに何か意味があるのかと思っています。
とにかく、ほかと似たような感じになるのが一番ダサくて最悪だと思う人は、アート型ビジネスをやるといい。それを方法論として体系立てたりしている感じです。
コテツ:提供する側が面白いと思うことをやって、それを面白いと思うお客さんとかファンの方がいる状況をつくろうとするのがアート型ビジネス。
アート型ビジネスの課題
やまけん:そうです。だから、すごく簡単に言うと、それをやる課題は2つある。これが本当にやりたいというものが見つからないといけない。
自分自身のこだわり、愛着というか、動機付けに対して、ほかよりも尋常じゃないぐらい時間・思い・こだわりをかけたいと思えるような対象と出会えるかどうかというのが1個。
もう一個は、主体が売れるかではなくて、自分がつくりたいものという気持ちでありウオンツに焦点が当たっていることです。
それを世の中に出してもなかなか売れなかったり、初めは儲からなかったりするわけですが、どうやって自分がつくりたいものをつくって、それを売れるようにしたりマネタイズしたりしていくのかというお金の問題です。
この2つの課題を解決しようとしたら、ある程度の概念というか考え方の方法論が必要なので、そこを体系化してきました。
コテツ:売れるようにするには、プロデュースを任せてしまえばいい。
ビジネスをやっている中小企業とか個人事業主は、とにかく全部自分の思い通りにしたいと思うようです。脚本・監督・主演・ライト・カメラを全部自分でやりたい。そのどこかを預けてもいいし、自分の表現をするために、やったほうがいい気がする。
やまけん:ミュージシャンでも漫画家でも、ある程度そこにコストがかかってくる人たちは、売り出していくプロデュース会社だったりプロデューサーだったり編集者がいて、壁打ちして出していく。一人で何役も役割を担うのは相当難しいですよね。
コテツ:難しいです。なぜあんなに全部自分でやりたがるのか謎です。ただ、使い方がわからないというのは、あるんでしょう。
やまけん:あまり問い合わせる人もいないというのも、あるかもしれない。
コテツ:そういう仕事をやっている人が、まずあまりいないから。
アート型ビジネスって数字だけで動機付けられないですか。
やまけん:うまくいくとわかっている型を学んでも、型がわかった時点でモチベーションが下がる。「インスタは、この型をやったらフォロワーが増えます」と教えられたときに、「そうやってやるんだ」と発見はあるけど、いざ自分がやろうと思ったら「これ、えー?」みたいな。
やる気になれないというか、オリジナルじゃないものに違和感という人は、アート型ビジネスじゃないと、そもそも行動をあまりしていけないと思います。
どうやってオリジナリティーを出すのか?
コテツ:最近、Twitterを見ていてびっくりします。これは俺の感覚ですが、なぜ最後を「一番大事なことはプロフに」にするのでしょうか。あれでプロフィールに行ったら、フォローする可能性が高いという理屈だろうけれど。
あと、「厳しく聞こえるかもしれないけれども」という書き出しの定番は型なんです。
たまたま検索キーワードで出てきたので見たら、コメントを追記するときの「厳しく聞こえたら申し訳ないんだけど」という書き出しとか、「人生は○○が9割」の○○に入れている本がいっぱい入っている。「人生は姿勢が9割」とか、山ほどあります。
これはまったく個人の感想ですが、あの提案をされた時点で、そうしないと売れないような中身と思われていたら自分だったら屈辱的というか、「このタイトルを付けたら売れる」という時点で、書いている人はどうでもいいと思われていると、俺個人の感想では捉えてしまうんです。
タイトルを付ける時点で、もちろん売れるものは編集者や出版社の方がプロフェッショナルですのでアドバイス頂くとしても、ある型に乗っかってやっても、あまり面白くはない。
やまけん:それでも9割の人は別にいいと思うというか、仕事だし稼ぐ手段だと捉えていてもいいんです。
ただ、そこに自分のオリジナリティーとか何かしらの表現や思いがちゃんと乗っかっていることが大事だと思うなら、ほかと一緒みたいなことは、効果があったとしてもやらないほうがいい。
コテツ:アート型ビジネスを今聞いていて、すごく捉え方としてありかなと思ったことがある。
ブリヂストンをつくった石橋さんという方が財団があって、アーリンソン美術館(東京京橋にある旧ブリヂストン美術館)では、1900年からの近代西洋・東洋の絵を集めています。
絵から、その時代が見えるじゃないですか。パリの1900年の絵なら、そのときに住んでいた人たちが描かれので、本当に皆さん帽子をかぶっているなとか、蝶ネクタイしているのかなとか。そして描いた人のことも気になってくるわけです。ゴッホはどんな人生だったんだろうとなってくる。
今は商品やサービスの作り手が何を考えているかは、とても伝えやすい。SNSもネットもある。つくっている人の感情の発露とか、センスとか哲学を加味して価値を認めてもらったほうが相性の合う方に高く買っていただけます。
けれども、日本人は「物に魂が宿る」ので、売るものやサービスメニューという提供するものだけに価値があると思っている。だから基本的にはあまり自分のメッセージを載せるべきではないと考えます。
けれどもアートはその画家が描いたという事実が評価されるので、ビジネスオーナーとかが自分の哲学を載せていったほうがいいと思う。
やまけん:でも、みんなはその載せ方がわからないし、理念や思想を載せていても、オリジナルで差別化がなされていないとあまり意味がない。オリジナリティーのつくり方を言語化しようとしているんですが、オリジナリティーの作り方をほとんどの人が知らないというか。
コテツ:そうそう。
やまけん:なので、それを禁止しないといけないです。
コテツ:禁止?
やまけん:これをやったら続きはプロフでとか、なぜそうなっているかとか、前にコテツさんが言っていた鼻から脂が出てくるのとか。
コテツ:あれは写真を加工しているんだろうという、極端なマーケティング写真ですよね。
やまけん:そう。反応が取れるということはわかっていても、それがオリジナルでなければ、芸人とか画家とか音楽の世界は、まねしても何の意味もない。
売れても一番ダサくて、くそ最悪だぜということが共通概念。それが今はやっている形だからまねるのはダサいかなとなったときに、どうやってオリジナリティーを満たすのか。
となると、いきなりオリジナリティーがパンと出てくるのではなくて、いくら「こうやるとウケる」とわかっていても、それはもう出ているから禁止というふうに、禁止することがオリジナリティーを生み出しているので、その制約条件を設けた上で発想していきます。
それはすぐ出ることもあるし、長い間をかけて出されることもあります。
オリジナリティーを出している人たちは、みんな制約条件を設けて、フォロワーなしでという今までの業界なら当たり前でという縛りがあっても、どうやってそれを市場に出していくか、どのターゲットにどうやって出していくのと考えます。
けれども、そこを禁止していないからオリジナリティーがつくれない。というか、オリジナリティーのつくり方を一切知らないというのが、すごく大きな問題です。
コテツ:そうですよね。「ブランドは在り方とかスタイルです」という話をすると、びっくりしたのが、「スタイルって何ですか」という人がいるんです。
自分自身をのせることが、ビジネスでもブランドづくりでも大事だと言ったところで、自分というものを主張する癖がないし、主張自体が日本人はあまりない。
正解を知りたいし、「どうやったらいいんですか」と聞いてしまう。だからキャンバスを前にして「何でも描いてみよう」と言われても、大部分の人は「何を描いたらいいんですか」と言うと思うんです。
そんなものは何を描いてもいいし、キャンバスに穴を開けてもいいし、食べたガムをくっつけてもいい。
自分のアートだと思うなら、そこに正解はないわけです。君のアートといったときに、キャンバスをフリスビーにして投げてみて、壊れた状態を立体アートとして捉えてもいい。「僕の衝動」みたいにして。
けれども人って、紙を前にして筆を持たされて絵の具があって「じゃあ描いてみましょう」というときに、「何を描いたらいいんですか」となる。個性の出し方とか自分のスタイルがわからないのです。子どもの頃からそういうことを言われていないのもあります。
そうなると、技術とかテクニックの集積がビジネスで、その上にあるポリシーとか哲学をやるよりは、テクニックを合わせたほうが楽だというところが、ある気がするんです。
やまけん:では次回はスタイルについて音声を。
コテツ:今日はここまでです。ありがとうございました。
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コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った
内容を文章化し加筆したものです。
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