おれは『問題解決』する気がない|ブランディングと商売
表面的な問題を解決しても、原因となっている課題に取り組まなければ、また不都合は生じてきます。
Voicy No.0309 2023年5月5日放送
本文を音声で聴きたい方はこちらからどうぞ(倍速5分で聴けます)
問題解決法は習ったけれど
俺がビジネスに一生懸命取り組み始めて、本で学んだりビジネススクールに行ったりしているとき、外資系コンサルティングのマッキンゼーで最初に体系化されたと思われる問題解決術を習いました。
当初、MBA(アメリカの経営学修士)的な経営のやり方に憧れていたので、これは問題解決だ、ソリューションだと言っていたのです。IT業界で起業したのでね。
でも問題解決自体にほぼ意味ないことが多くて、最近はもう問題解決する気がないし、問題解決しても意味がないと思うことが多くなりました。
こう言うとなんだか禅問答みたいだし、「問題解決をしなければ問題は自然に消える」とか、「病気だと思わなければ病気じゃない」みたいに思われたら困るので、ちょっと説明しますね。
問題と課題は違う
問題というのは、主体的に起こしてなかったとしても、自分に降りかかってくる不都合みたいなことです。プロジェクトにおいて不都合が起こるのは問題です。
課題はステージに行くために、目的を果たすために、乗り越える必要がある事柄です。
まず問題と課題を分けて考えます。
問題は不都合が起こることです。
道を走らせていたら道路に穴が空いていて、進んでいくには埋めなければいけない。でも、埋めたからといってマイナスがゼロに戻るだけで、車が前に進む以上のことは起こりません。
日々の生活でも、洗面所の電球が切れたので、夜までに買わないと薄暗いというのは問題です。不都合ですからね。自分が起こしたのではなくても、マイナスが降りかかってきたら問題です。
マイナスの状態というか欠けている状態が起こったので、それを埋めましょうというのが問題です。
課題は、今の状況から次のステージに行くには、これとこれをクリアする必要がある。これが課題です。
悩むのが好きな人たち
課題設定と課題をクリアすることの方がよっぽど重要で、ちょっとした問題でワーワー騒ぎたてて、エネルギーと労力を使っていても、大きなステップアップは望めないと俺は思っているのね。
問題だと言いたい人がいるのです。
これを言うと「いや、そんなことはない。そんな人はいますかね」と思う人はいるかもしれない。でも、悩みたい人がいるんです。「自分の人生大変なことがすごく多くて」というタイプの人がいて、なぜか苦労設定というか、問題とか大変なことが多い設定でやっていきたいのです。
でも冷静に聞いていったら、どうってことない問題です。
こう言ったら失礼だけど、俺は生き方に物言いをしたいのではありません。
仕事を進めていくとか、ビジネスを成立させる上でだと思ってください。
悩みたい方は悩めばいいと思います。
それはホントに問題なの?
問題解決をする前に、問題の設定が間違っていることが結構多いです。
その問題自体を解決しても、次のステージに繋がっていかないみたいな問題を解決したがっているケースがあります。
その問題を仮に無視したとして、次のステージは何で、最大の目的は何で、そこに向かって何の課題をクリアした方が良いかを、きちんと議論して取り組んだ方が良いことも結構ある。
それなのに安易な問題解決をして満足して、精神的にすっきりするのを求めてしまうことを、仕事の現場では問題解決と言っている人がいるのです。
気になることと重要なことが分けられない
洗面所の電球が切れていたら、暗いから夜、お風呂に入った後が怖いでしょう?
でもこれは別に問題じゃないですよね。電球を買えばいいだけのことだから。
ざっくり言うと、あまり問題解決と騒ぐといいことないよという話です。
気になること重要なことは違って、問題として表面的に出てきているものは肌の表面にできたニキビみたいなもの。ニキビが問題ではなくて、ニキビができる生活習慣とか食習慣、生活全般が問題の原因です。
そもそも生活とか体にニキビが出るという問題は、次のステージはどういう状態にしたいと思っているかというのが先。それを満たすための課題を設定して、課題をクリアしていったほうがいい。そうすれば自然にニキビなんか消えていきます。
「ニキビができて大変じゃないですか。見栄えが良くないですよね」といっても、食べるものや運動とか睡眠とか、化粧品を変えるというところからやらざるを得ないけれど、問題だけに着目して大騒ぎしているのです。
問題があったときに俺が必ずやるのは、上位概念をよくすると、問題自体が消滅することがあります。1億調達できれば、それは問題じゃなくなります。
こういうことを言うと、1億調達とか夢みたいなことを言うなよ、と思うでしょう。
でもそっちに取り組んでいなくても、お金をどこかから調達するなり、ぴったりの販路開拓に成功していればそんなことは問題になりません。解釈を変えることで問題次第が消滅するのはよくあるので、解釈とか執着が問題の原因なら、それ自体を変えてしまえばいい。
ビジネスだと、やることやってないことが問題の元凶のほとんどです。
例えば集客が問題というけれど、そもそも集客が問題ではなくて、1回買ってくれたお客さんをファン化する取組みを今までやってきてないから。
新規を取り続けないといけないように、お客様をザルですくって逃がしている設定をしていたら、問題解決をする意味がないと思っております。
コテツでした。
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Profile・・・久々野智 小哲津(くくのち こてつ)
ブランドプロデューサー/事業家
ブランドや企業の魅力を高め世の中に届ける仕事。海外企業日本進出、IT事業、エンタメなど合計7社を経営。それ以外にも、国内の人・物・企業・番組・タレント・テレビCM・広告•ブランドのクリエイティブなど130のプロジェクトを担当。現在も、多種多用な業界の15社前後の上場企業や業界トップ企業のブランド顧問・アドバイザー・プロデューサーなどを務める。
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上の文章はVoicy放送をさかのぼり文章化したものです。
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