需要の強さで価格が高くなる|ブランディングと商売
Voicy No.0313 2023年5月15日放送
人気のある物やサービスは、売り切れたり入手に手間取ったりしがちです。需要が強いものの価格を調整し高くても欲しい人が買いやすい仕組みにすれば、売上拡大につながります。
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(倍速で5分です)
事前予約でも取りにくいチケット
最も東京で人気が高くて、
見たい希望者と、
実際に見た人の差が大きかった美術展として
2023年度で一番になりそうなのが、
清澄白河の東京都現代美術館で開催されている
ディオール展です。
しかもWebで予約制になっているのに
全くチケットが取れません。
コロナになってから美術館は
チケット事前購入制(予約制)が増えてきて、
ほとんどの美術館が
日時と時間ごとに入れる人数をコントロールし、
予約されたらその時間内に入れるように
チケットを売っています。
それと並行して、当日券も売っているのね。
一般的な美術館の現状として、
平日であれば時間指定を買わなくても、
大体見ることができます。
人気のものは、
土日はチケットを買って事前予約制にしないと
ダメですね。
ヘンリー・マティス展
今(2023年5月)なら、東京上野の美術館で
20年ぶりのヘンリー・マティス展をやっていて、
なかなか面白かったです。
マティス展はしっかり見ることができたので、
俺は2回目、3回目も行こうとしていますが、
事前予約チケットで日曜日に入りました。
その日も当日券は売っていましたが、
ほぼ事前予約チケットを買っている人で、
当日券を買うことは無理というぐらい
人気がありました。
当日券だと夕方の入場になるかも
東京都現代美術館のディオール展がおかしいと
思うのが、予約が開放されたら1カ月分か、
その先45日か30日が
数分で全部埋まってしまうところです。
当日券も売っていますが実際に行った人に聞くと、
10時開館にあわせて
当日券が欲しい人が50から100人いるのです。
中には始発で行って並んだり、
徹夜の人もいるかもしれない。
情報は未確認ですが。
何時間待とうが、
当日券の抽選に落ちる人は落ちます。
そうすると行けません。
当日券が手に入っても、
これは笑い話だけど当日券は時間指定なので、
10時開館時点で手に入れた当日券が
夕方16時~16時半入場だったりするわけ。
美術館のある清澄白河はカフェの街とはいえ、
見たり楽しんだりするものがあまりないのです。
下町で住宅街ですので、
10時に当日チケットが買えて、
16時~16時半のチケットであれば、
どこかに行って待つことになります。
でも戻ってくるのを考えると、
アート展を見るのが一日仕事になりますよね。
これは需要がめちゃ強い状況です。
ディオール展は万人が見たいわけじゃないけれども、
需要と供給のバランスとしては、
供給量が少なくて、
おそらく希望している人は
チケット枚数の3倍~5倍ぐらいは
間違いなくいるでしょう。
もしかしたら10倍ぐらい
入るのではないかと思います。
需要が強ければ、もっと売れる方法を考えて
ここにはいくつかの視点があります。
まず民間のビジネスで考えたら、
3カ月か4カ月間の会期として、
オープン1週間で出足が良ければ、
どうやってチケット数の3倍、5倍
売れそうな状況をお金に変えられるか、
チケットをもっと売るか考えるでしょう。
大きな会場に移動したとしても、
チケットが3倍売れるなら
ペイできるかどうかの計算を始めて
どこか別な会場が借りられないか検討してもいい。
ダイナミックプライシング
今日の話は何かというと、
需要の量ではなくて「需要の強さ」の話です。
多分ディオール展に行きたい人は、
予約開放ごとに毎回見ているはず。
俺は毎回見ているもの。
ダイナミックプライシングを、
もっと積極的に導入したほうがいいと思っています。
別にディオール展について言いたいのではなくて、
ビジネス全般で、
ダイナミックプライシングにしたほうが
幸せなことがいっぱいあります。
日本人は悪平等主義なので、
なぜチケットの値段がそんなに違うのとなりますが、
コンサートなら、
1列目、2列目はめちゃくちゃ高くていい。
それによって利益が獲得できますから。
スポーツなら人気のカードは、
ダイナミックプライシングで高くしたほうが
絶対にいいじゃないですか。
野球やサッカーは、
ビリのチームとビリの一つ上のチームで、
不人気なチームが同士の対戦カードのチケット代金と
1位と2位の首位攻防戦のような
人気カードのチケットを
昔は同じ値段にしていたんだよね。
でも、Jリーグとかは少し違うやり方で
ダイナミックプライシングを
一部に導入しているところも増えてきていて、
人気球団との人気チケットは
少し高くなっています。
ディオール展も、絶対買いたい人用に
優先で入れるむちゃ高いチケットを
売るのもありですよね。
高くて良い席から売れていく
シルク・ドゥ・ソレイユが
「アレグリア」という演目をやっています。
「アレグリア」は23年6月末までが東京で
7月~大阪だけど、1回見に行ったわけ。
すごくステキで、
もう一回行こうと思ってチケットサイトを見たら
「アレグリア」はステージ正面の
1列目か2列目ぐらいまでがよく見えるので、
そこが2万2000円で一番高いのです。
でも、そこだけ売れている。
それでいいと思うわけ。
結局は需要の強さが大事で、
それが価格とか価値評価につながります。
数じゃないのです。
ディオール展に
みんなが行きたいわけではないけれど、
行きたい人には、めちゃくちゃ需要が高い。
そういうビジネスの組み立てをして、
それをうまく利益に変えるような
ダイナミックプライシングを取り入れる方法が
あるというお話でした。
コテツでした。
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Profile・・・久々野智 小哲津(くくのち こてつ)
ブランドプロデューサー/事業家
ブランドや企業の魅力を高め世の中に届ける仕事。海外企業日本進出、IT事業、エンタメなど合計7社を経営。それ以外にも、国内の人・物・企業・番組・タレント・テレビCM・広告•ブランドのクリエイティブなど130のプロジェクトを担当。現在も、多種多用な業界の15社前後の上場企業や業界トップ企業のブランド顧問・アドバイザー・プロデューサーなどを務める。
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上の文章はVoicy放送をさかのぼり文章化したものです。
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