【簡単料理】西红柿炒鸡蛋(トマト卵炒め)の思い出
以前、中国語教室に通っていた頃の話である。
会話の授業で「好きな中華料理の作り方を、中国語で説明しなさい」という課題が出た。
私は西红柿炒鸡蛋(トマト卵炒め)を選んだ。
西红柿炒鸡蛋(トマト卵炒め)はその名のとおり、トマトとタマゴを炒めた素朴な料理である。素朴すぎて、日本の中華料理屋ではあまり見かけない。
なぜ、この料理選んだのか?
理由は簡単そうだから。
酢豚や回鍋肉なんか、日本語でも説明できる気しない。
そういえば、トマト=西紅柿というのを知った時はけっこう衝撃だった。
「西の赤い柿」である。
なるほど、中国人はトマトをそう捉えているのか!
ちなみに、白菜は英語でChinese cabbage(中国キャベツ)、キャベツは中国語で圆白菜(円白菜)、または洋白菜(西洋白菜)なのも面白い。
さて、簡単だと見込んで選んだ西红柿炒鸡蛋は、意外と曲者だった。
「トマトを切って、炒めて、味付けをして、卵を入れます」
だいたいそんなことを言ったと思う。
「不对!(ダメ!)」
中国人の先生は冷徹に言い放った。
あれ?ダメ?
単語は大丈夫。
文法は完璧じゃないにしても、意味が通じないほどじゃないはず。
他の生徒にはけっこうアバウトな表現でもOK出してたし、文法や表現どうこう以前にけっこうトンデモな作り方を披露しても、笑いながらダメ出ししていた。
となると発音か?
ええと、有気音、無気音、声調…
気をつけて言い直す。
「不对!(ダメ!)」
途中で遮られた。
「…」
「本当にわからないの?」
困惑して無言になった私に先生が聞いた。
明らかに不機嫌だ。
よくわからないが、地雷を踏んだようだ。
「卵は最初に炒めて鍋から取り出しておくの!あんな作り方したら卵がトマトの味を吸って酸っぱくなるじゃない!」
そこ?!
別にそれはそれで味が染みて美味しそうじゃない?
そういうのって、ご家庭によって違ったりしないの?
中国人的には必須なのそれ?
全中国人共通なのか、先生の個人的なこだわりかはわからないが、とにかく譲れない部分だったようだ。
日本人に置き換えると、味噌汁の豆腐は最後に入れる的なものだろうか。
これも妙ににこだわる人がいるが、正直私はどうでも良いと思ってるクチである。
まあ、なるべく最後に入れるようにはしているけども。
出来立てを家族全員で食べられる環境なら意味ありそうだけど、家族で食べる時間が違っていたり、大量に作って何回か温め直しをするような現代人のライフスタイルだと、最初に入れようが後から入れようが関係ない気がする。
最近ふと思い立って、「トマト卵炒め」をネット検索してみた。
検索のかなり上位に、炒めたトマトを溶き卵に入れてから加熱する方法が、本格中華として紹介されていた。
大丈夫かな?
あの先生がこれ見たら憤死するんじゃなかろうか…
【材料】(1人分)
・トマト1個
・タマゴ1個
・塩少々
・中華スープの素少々
・ごま油
【作り方】
1.溶き卵をフライパンで半熟くらいに焼き、取り出しておく。
2.トマトをざく切りにして炒める。
3.塩と中華スープの素を加える。
4.トマトの表面が崩れて水分が出てきたら、タマゴをフライパンに戻す。
5.軽く混ぜて完成。