【 noteで学ぶ 世界の名画とアート思考 】 「日本の秋を描く『紅葉』— 横山大観が伝えた四季の美と革新」
= こんな人におすすめの記事です =
「 “ アート ”や“ アート思考 ” ってどうやら大事そうなんだけど、アートの見方もそもそも何なのかも、全然わからない。…でも、我が子に“ アート教育 ”はさせたい! 」
これ、僕の欲求です(苦笑)。
でも、あるある、ですよね?
ですが、なかなかどこを調べたらいいか分からないし、これらの情報にたどり着けないことがしばしば。
…ということで、このnoteでは、『 世界の名画とアート思考 』を週に1つずつお届けしております。皆様の一助になれたら嬉しいです!
なお、『 他にもこんな展覧会がおススメですよ! 』というものがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。教えてくださった方に、1コメントにつき100円をnoteのサポート機能でプレゼント!
= そもそもアート思考って? =
色々と言われてはいますが、
「 過去の状況を理解し、その中にある問題点や疑問を発見し、これまでに無い新しい価値観や方法を提案する思考法 」
と僕は理解しています。ここを意識しての名画を観察すると、“ あ!この名画はこういう観点でアート思考を取り入れているんだ! ”と理解しやすくなるので、おススメでございます。
= 今週の名画:紅葉 =
日本の秋を象徴する美しい景色が、横山大観の手によってキャンバスに刻まれた作品『紅葉』。1931年に制作されたこの絵画は、大観が得意とした「朦朧体」という独特の描法で、紅葉の美しさを鮮やかに描き出しています。今回は、この作品を通して、横山大観が表現した秋の情景や彼の革新的な技術、さらには当時の日本画壇の背景について深掘りしていきます。
横山大観と日本画革新の歩み
横山大観(1868-1958)は、明治から昭和にかけて日本画を革新し続けた偉大な画家です。
静岡県で生まれた彼は幼少期から絵画に親しみ、東京美術学校(現・東京藝術大学)で学びました。師である岡倉天心の指導を受け、当時の日本画に西洋の写実技法を取り入れる潮流に触れましたが、彼が目指したのは単なる模倣ではなく、日本独自の美を表現することでした。卒業後、大観は日本美術院の設立に参加し、岡倉天心の支援を受けながら新たな日本画表現を追求。日本国内外で評価を受ける一方、独自の技法「朦朧体」を発展させ、輪郭をぼかした奥行きのある表現で日本画に新風を吹き込みました。
朦朧体を通して感じる秋の風情
『紅葉』は、日本の秋の美しさを見事に捉えた作品です。大観の得意とした「朦朧体」は、輪郭をはっきり描かない技法で、色彩の濃淡やぼかしによって樹木や葉の立体感を表現しています。赤や黄、橙の色彩がまるで燃えるように浮かび上がり、秋の一瞬の美しさが凝縮されています。輪郭を曖昧にすることで、まるで自分が紅葉の中に立っているかのような感覚を呼び起こすこの技法は、大観が紅葉の揺らぎや秋の儚さを伝えようとしたものです。
特に日本の自然に対する「もののあわれ」という感覚が、この作品には色濃く表れています。大観の紅葉は、ただ美しい景色を描くことにとどまらず、日本人の四季に対する感性や美意識を見事に反映しており、観る者に秋の深まりを体感させる力を持っています。
同時期の作品と革新性の比較
1931年には、川合玉堂の『秋風五丈原』や安井曽太郎の『バイオリンを弾く少女』といった名作も発表されました。これらの作品は写実的な描写が特徴的で、特に川合玉堂の『秋風五丈原』は日本の秋の風景を写実的に捉えています。それに対して横山大観の『紅葉』は、感覚的で情緒的なアプローチが際立っています。写実にとどまらず、自然の曖昧さや移ろいをぼかしの中で表現することで、日本画における新しい表現を開拓しました。この点で、大観の『紅葉』は単なる風景画以上の革新性を持ち、芸術表現に新たな息吹をもたらしました。
日本画の革新と横山大観の挑戦
日本画は、明治から昭和にかけて西洋の影響を受けつつ、伝統と革新の狭間で揺れていました。日本独自の美意識を守りながらも、海外の技法を取り入れて新たな表現を模索する時代だったのです。大観もその時代の潮流に立ち、写実と朦朧の狭間で挑戦を続けました。紅葉の作品は、そんな彼の姿勢を象徴する一作であり、日本画の未来を切り拓こうとした彼の意志を感じさせます。四季折々の風景を愛し、自然の一瞬一瞬の美を大切にしてきた日本人の心に寄り添いながら、大観は日本画を革新し続けたのです。
見る者を包み込む『紅葉』の魅力
『紅葉』は、その美しい色彩と奥行きによって、観る者を秋の深みに引き込む作品です。輪郭をぼかすことで生まれる柔らかな立体感と、赤や黄の鮮やかな色合いが相まって、作品に躍動感が生まれます。静かな佇まいの中に、日本の四季が持つ儚さや美しさが溶け込んでおり、まるで紅葉が風に揺れるかのようなリアリティが感じられます。
『紅葉』を観られる場所
この美しい作品『紅葉』を鑑賞したい場合は、東京の根津美術館へ足を運ぶのがおすすめです。館内には大観の作品をはじめとする日本美術の名作が数多く展示されており、日本の四季折々の美をじっくり堪能できます。
アクセス
根津美術館
住所:東京都港区南青山6丁目5-1
電話番号:03-3400-2536
最寄駅:表参道駅
日本の秋を感じたいなら、ぜひ根津美術館で横山大観の『紅葉』を目にしてみてください。
* 合わせて読みたい関連ブログ *
参考にさせて頂きました!
* 引用
イノベーション創出を実現する「アート思考」の技術
「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
アート思考 ビジネスと芸術で人々の幸福を高める方法
= あとがき =
noteをご覧いただきありがとうございます。
会社員の傍ら、上海で塗り絵本作家になりました、KENTA AOKIと申します。日本・中国を拠点に、個展をしたり、アジアやアフリカの子供たちと塗り絵イベントを行ったり、塗り絵本を出版したり、そういった作家活動を行っております。
作家活動を進める中で、美大卒でもない、若輩者の私は、“ アート ”に関して日々色々なことを学び、そのうえでアート作品を創るようにしております。というのも、“ 美大卒でもない ”というのが結構コンプレックスなんです。
ただ、そんなことを続けていく中で分かってきたのは、
「 アートを学ぶ方法って色々あって、美大の知識は勉強したらつけられるかも!? 」
「 アートって実は科学的かつ論理的で、むしろ理系向きかも!? 」
「 アートを届けるには、ビジネスの知識も必要なんだな 」
でした。
学べば学ぶほど、アーティストだけが“ アート ”を学ぶ・理解するのは非常にもったいないなと思ったのと同時に、もっともっと“ アート思考 ”を応用すると、おもしろいものやサービスが生まれるんじゃないかと思いました。
日々本を読み、実戦しながら、学んでいる僕がこれらを伝えていくことで、よりリアリティを持って、学びが共有できたら嬉しく思います。僕と同じ境遇にある方々に届き、共感頂けたら更に嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。