【 noteで学ぶ 世界の名画とアート思考 】 「ピカソの『ゲルニカ』が語る戦争の真実:アートで世界を揺るがした傑作の深層」
= こんな人におすすめの記事です =
「 “ アート ”や“ アート思考 ” ってどうやら大事そうなんだけど、アートの見方もそもそも何なのかも、全然わからない。…でも、我が子に“ アート教育 ”はさせたい! 」
これ、僕の欲求です(苦笑)。
でも、あるある、ですよね?
ですが、なかなかどこを調べたらいいか分からないし、これらの情報にたどり着けないことがしばしば。
…ということで、このnoteでは、『 世界の名画とアート思考 』を週に1つずつお届けしております。皆様の一助になれたら嬉しいです!
なお、『 他にもこんな展覧会がおススメですよ! 』というものがありましたら、ぜひコメント欄で教えてください。教えてくださった方に、1コメントにつき100円をnoteのサポート機能でプレゼント!
= そもそもアート思考って? =
色々と言われてはいますが、
「 過去の状況を理解し、その中にある問題点や疑問を発見し、これまでに無い新しい価値観や方法を提案する思考法 」
と僕は理解しています。ここを意識しての名画を観察すると、“ あ!この名画はこういう観点でアート思考を取り入れているんだ! ”と理解しやすくなるので、おススメでございます。
= 今週の名画:ゲルニカ =
1937年、パブロ・ピカソが生み出した『ゲルニカ』は、戦争という最も残酷な人間の行為を美術作品として昇華させた、20世紀最大の絵画の一つです。この作品はスペイン内戦を背景に、ナチス・ドイツ軍によるスペイン北部の町ゲルニカへの無差別爆撃を描き、ピカソの作品の中でも最も強い政治的メッセージを持つものとして知られています。本記事では、この傑作がどのように作られ、どんなメッセージを秘めているのか、ピカソの他の作品や同時代の芸術家と比較しながら深掘りしていきます。
ピカソの背景と『ゲルニカ』の誕生
パブロ・ピカソは1881年にスペインで生まれ、若くしてその才能を開花させました。
彼は父親の影響で早くから美術に触れ、13歳にはすでにその技術は父を凌ぐものであったと言われています。バルセロナ、マドリード、パリで美術を学び、ピカソは20世紀の美術界に革命をもたらす存在となりました。彼のキャリアは「青の時代」「バラ色の時代」そしてキュビスムという、新たな表現手法の開拓によって進化していきます。
ピカソの人生の中でも、1937年に描かれた『ゲルニカ』は特に重要な作品です。スペイン内戦の最中、ピカソはナチス軍の爆撃による悲劇に強く心を打たれ、わずか数週間でこの作品を完成させました。この作品が持つ社会的・政治的メッセージは、単なる美術表現を超え、戦争の非人道性を告発する強烈な声明として世界中に衝撃を与えました。
芸術的・技術的側面
『ゲルニカ』の特徴の一つは、その巨大なサイズです。349 cm × 776 cmというキャンバスに描かれたこの作品は、モノクロで表現されており、強烈なコントラストが見る者に圧倒的なインパクトを与えます。ピカソは色彩を排除することで、戦争の残酷さと無情さをさらに強調しました。作品には母親が死んだ子を抱えて叫ぶ姿や、馬が火に包まれ苦しむ表情など、象徴的なイメージが多く盛り込まれています。
また、ピカソのキュビスム的な手法もこの作品の重要な要素です。歪んだ形態や断片的な構造によって、戦争の混乱と破壊が視覚的に強調されています。特に人物や動物の姿は鋭い角度で描かれ、不自然に引き伸ばされた体が、見る者に不安感と恐怖をもたらします。これらの技法は、ピカソが戦争の恐ろしさとその影響を訴えようとした強烈な手段として機能しています。
歴史的背景とピカソの社会的メッセージ
1937年、スペインは共和派と反乱軍の内戦の真っただ中にありました。ゲルニカの爆撃は、戦争における無差別爆撃という新たな形態を象徴しており、戦争の残酷さが一般市民に及ぶことを示しました。ピカソはスペイン国外に住んでいたものの、祖国の悲劇に強く心を痛め、『ゲルニカ』を通してその苦しみを表現しました。
この作品は単なる歴史的事件の記録ではなく、戦争そのものを象徴するものとして評価され、ピカソの政治的・社会的声明としても非常に重要です。『ゲルニカ』はその後、戦争反対や平和の象徴として様々な場所で展示され、世界中の人々に影響を与え続けています。
革新性と他作品との比較
ピカソが『ゲルニカ』で成し遂げた革新は、戦争画における伝統的なアプローチを完全に覆した点です。従来の戦争画では英雄的な場面が描かれることが多かった一方で、ピカソは市民の苦しみや絶望を前面に押し出しました。キュビスムという技法を駆使し、現実の断片的な表現と同時に、感情の破片も描き出すことに成功しました。この手法は、感情的な深みと現実の恐怖を同時に伝えるものであり、観る者に強烈な印象を残します。
同じ年に制作されたジョアン・ミロの『収穫の象徴』やサルバドール・ダリの『幻覚的牛頭骨』と比較すると、ミロやダリがシュルレアリスムを通じて夢や内面的な感情を表現しているのに対し、ピカソは現実の戦争という直接的なテーマに取り組んでいます。この違いが、ピカソの作品の持つ社会的影響力をさらに強調しています。
『ゲルニカ』が見られる場所
現在、『ゲルニカ』はスペインのプラド美術館に収蔵されており、現地で鑑賞することができます。プラド美術館は、世界有数の美術館の一つであり、ピカソの他にも数多くの名作が展示されています。
プラド美術館(Museo Nacional del Prado)
住所: Calle de Ruiz de Alarcón, 23, 28014 Madrid, Spain
電話番号: +34 91 330 2800
最寄駅: Estación del Arte駅
最後に
『ゲルニカ』は単なる絵画ではなく、戦争の悲劇を描き、ピカソが持つ芸術の力を通じて世界に発信した平和へのメッセージです。彼の技術的革新と社会的意識の結晶であるこの作品は、今日でも戦争反対の象徴として私たちに問いかけ続けています。
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*" キュビズム "とは?
キュビズムは、20世紀初頭に登場した美術のスタイルで、物体を一つの視点からではなく、複数の角度から見たように描くのが特徴です。通常、絵画ではものをそのままの形で描きますが、キュビズムではそれを分解し、再構成して描きます。こうすることで、現実の見方を新しい視点から表現しようとしたのです。
キュビズムを始めたのは、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという二人の画家です。ピカソの代表作『アヴィニョンの娘たち』(1907年)は、5人の女性を、角ばった形や異なる視点から描いており、まるで彫刻のように見えます。また、彼らは色をあまり使わず、モノクロに近い色合いで形や構造を重視しました。
具体的な例として、ピカソの**『ギターを持つ男』**(1912年)は、ギターを弾いている男性を様々な角度から描き、平面の中で立体的に見えるようにしています。キュビズムはこのように、物体を分解して再構築することで、現実を新たな形で表現することを目指した革命的な芸術運動でした。
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* 引用
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= あとがき =
noteをご覧いただきありがとうございます。
会社員の傍ら、上海で塗り絵本作家になりました、KENTA AOKIと申します。日本・中国を拠点に、個展をしたり、アジアやアフリカの子供たちと塗り絵イベントを行ったり、塗り絵本を出版したり、そういった作家活動を行っております。
作家活動を進める中で、美大卒でもない、若輩者の私は、“ アート ”に関して日々色々なことを学び、そのうえでアート作品を創るようにしております。というのも、“ 美大卒でもない ”というのが結構コンプレックスなんです。
ただ、そんなことを続けていく中で分かってきたのは、
「 アートを学ぶ方法って色々あって、美大の知識は勉強したらつけられるかも!? 」
「 アートって実は科学的かつ論理的で、むしろ理系向きかも!? 」
「 アートを届けるには、ビジネスの知識も必要なんだな 」
でした。
学べば学ぶほど、アーティストだけが“ アート ”を学ぶ・理解するのは非常にもったいないなと思ったのと同時に、もっともっと“ アート思考 ”を応用すると、おもしろいものやサービスが生まれるんじゃないかと思いました。
日々本を読み、実戦しながら、学んでいる僕がこれらを伝えていくことで、よりリアリティを持って、学びが共有できたら嬉しく思います。僕と同じ境遇にある方々に届き、共感頂けたら更に嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
頂戴いたしましたサポートは、インドネシアやタイの子供たちに塗り絵本を送るための活動資金に活用させていただきたいと思っております。 何卒よろしくお願い申し上げます。