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科学的な適職の探し方から見たサイクルショップ 前編

人間の脳は職業選択に向いていない。
好きを仕事にしても幸福度は上がらない。

自転車好きがたくさん勤務する当社としては、待ってくれと言いたくなるようなフレーズが乱発される書籍「科学的な適職 4021の研究データが導き出す 最高の職業の選び方」。


誰かの持論ではなく、直感でもなく、科学的根拠に基づいて自分に合う確率の高い仕事を選べたらどんなに素晴らしいでしょうか。

そんなヒントをくれるこの書籍の内容紹介と、そこにサイクルショップの仕事を照らすとどう評価できるか?を前後編に分けてお届けします。

前編では、主に上記書籍の紹介で「こんな仕事の選び方をしてはいけない!」という方法をご紹介。
あまりに通説を覆されるので、今回の話だけでは「じゃあどうしたらいいの…」と途方に暮れますので(笑)、前後編合わせて読むことをおすすめします。

それでは早速科学的な適職を紐解いていきましょう。


人間の脳は職業選択に向いていない?

人間の脳は職業選択の場面において視野狭窄に陥りがちです。皆さんも経験がありませんか?条件と仕事内容が「今より良さそう!」と思った求人が輝いて見えて、他の求人を十分に探さなかったこと。ましてやその企業の選考が順調に進んだら、「きっとこれが自分に合った仕事なのだ」と信じ、ちょっとの不安や疑念は見ないふりをしたことが。

これは決してサボり体質なわけでも、意識が低いわけでもありません。そもそもにおいて、人間の脳には職業選択をするためのプログラムが備わっていないためです。人類は生まれた時から仕事・身分が決まっている歴史が9割以上で、「複数に分岐した未来の可能性」を上手く処理する能力が進化しませんでした。

更に本書では現代の職業選択の難しさを以下のようにまとめています。

特に最近は終身雇用が崩壊したうえに、「人生100年時代」や「ロールモデルがない時代」の言葉がささやかれ、これからは年齢に応じて複数の仕事を経験するのが当たり前になるとまで言われます。・・・中略・・・人類にとっていまの状況は、見知らぬ土地に一人で放り出された幼子さながらです。

不確定な未来の不安を煽る情報はあれど、正解はだれにもわからない。私たちは随分ハードルの高い時代を生きているものですね。

その結果、判断に困った私たちは、エージェントや友人の意見に流されてみたり、転職先に過度の期待を抱いてがっかりしてしまったりするのです。

それでも事前のリサーチと分析のポイントを押さえればある適職探しが失敗に終わる確率を下げることができます。

まずは、よくある失敗パターンを回避するため、「7つの大罪」を知っておきましょう。


仕事選びにおける7つの大罪 ーー好きを仕事にする、適性に合った仕事を求める・・・

大罪1:好きを仕事にする
大罪2:給料の多さで選ぶ
大罪3:業界や職種で選ぶ
大罪4:仕事の楽さで選ぶ
大罪5:性格テストで選ぶ
大罪6:直感で選ぶ
大罪7:適性に合った仕事を求める

この7つが本書で避けるべきよくある失敗パターンです。これだけあれば、どれか当てはまる気がしますね。

今回は特に意外に感じるであろう「大罪1:好きを仕事にする」「大罪3:業界や職種で選ぶ」「大罪7:適性に合った仕事を求める」について簡単にまとめます。

大罪1:好きを仕事にする

自転車好きのが集まる会社の人事としてはできれば認めたくない言葉です。
しかし、多くの職業研究によれば、自分の好きなことを仕事にしたか否かで最終的な幸福感は変わらないそうです。ここで一つ重要なのは、「好きなことを仕事にしてはいけない」ではないことです。
まず一つ目の理由は、「好きなものを仕事にしている」ことだけをモチベーションにすると、面倒ごとが起こったときの落胆が大きいことです。
そして二つ目の理由は、仕事の情熱は、その仕事のためにかけた努力の量に比例することです。
つまり、最初にその仕事が好きであるかは重要ではなく、努力して好きになっていけるかが重要なのですね。好きではいけないわけではないですが、如何なる仕事も上手くいかなかったり面倒だったりすることは、念頭に置いておくとよさそうです。

大罪3:業界や職種で選ぶ

「希望の業界や職種は?」就職活動・転職活動の定番フレーズです。本書が述べているのは、「これから伸びる業界や興味のある職種に初めから絞ってしまうこと」がマズいということです。
どんなエキスパートであっても3~5年後の経済・企業の状況は50%の確率でしか当たらなかったそうです。また、10年後の自身の好みや価値観の変化について、どの年齢を取っても過小評価をしていたというデータもあります。
業界のことどころか、自分のことですら、予想が難しいということですね。

大罪7:適性に合った仕事を求める

今回書籍の中で私に最も納得感があったのはこの項目でした。
実際には少しニュアンスが違います。「その職種にとって必要な一つ・二つの強みを持っているというだけで、その仕事を選んではいけない」ということです。仕事をして充実感を感じるかどうかは、「同じ職場の人と強みが重なっていないかどうか」によるそうで。例えば営業であればコミュニケーション能力は最低限のスキルで、そこから更に「分析力がある」「人の懐にすぐ入れる」「対応が早い」などの個々人の能力で活躍の道が変わるわけですね。その個性でお客様から評価され、時に同僚と助け合う「役に立っている感覚」が仕事の満足度を高めます。だから、「コミュニケーション能力があるから」という理由で仕事を選ぶのではなく、更にそこで人と差別化できる強みはあるかな?まで一歩踏み込むことが幸せな転職への近道なのです。


自転車業界にあるよくある誤解

せっかくなので自転車業界、特にサイクルショップによくある誤解をお伝えします。それは、「なんか楽そう」というものです。好きな自転車をのんびり触って、お客様とサイクリング談義に花を咲かせる日々だけをイメージされるパターンですね。
もちろんお客様と盛り上がる瞬間もあれば、最新の自転車を組む楽しさはあります。

ただし一方で、クレームを頂戴して落ち込むこともあれば、後輩指導に悩むこともあります。思うように結果が出なくて出口が見えずに彷徨うこともあります。
予想される困難が自分の成長になりそう!と思えるかどうかも適職探しのキーポイントかもしれませんね。


今回はこんな仕事探しはちょっと待った!のお話でした。

それでは、次回はどのように適職を探すか?の具体的な紹介とサイクルショップと照らし合わせた見方をお伝えします。

暗い気持ちになってしまったあなた!大丈夫です。今週金曜日にはきっと晴れやかな心に変わっているはず。

後編の更新は12日(金)予定です!
お楽しみに~!

もっと詳しく知りたい方はぜひ書籍を手に取ってみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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