アートな旅 〜ルーブル・アブダビ編〜
私は仕事柄たまに海外に行くのだが、やっぱり文化的な場所が好きなので、限られた時間ではあるが様々な美術館を訪れてきた。
今日はその中から、世界の美術館を1つ紹介したいと思う。
先日UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビに行った時に見た、忘れられない作品について取り上げたのだが、
同じ出張の際に、ルーヴル・アブダビ(Louvre Abu Dhabi)にも行くことが叶った。
名前を聞かれたことのある方も多いのではないだろうか?
2017年11月、フランスとUAE(アラブ首長国連邦)が30年のライセンス契約を行い、莫大なオイルマネーで創られた美術館だ。
ルーブル・アブダビの設計は建築界で最も権威あるプリツカー賞(Pritzker Architecture Prize)を受賞したこともあるフランス建築家のジャン・ヌーベル(Jean Nouvel)氏が手掛けたらしく、とても洗練されてカッコ良い。
地震が多い日本では考えられないが、海(ペルシャ湾)が美術館内部までつながっていて入り込んでくる設計に。
まるで海に浮いてるような設計になっている。
さて、では実際のコレクションの数々を紹介したい。
常設にこそルーブル・アブダビの真骨頂が発揮されてると思ったので、あくまで常設展の話になるが、なんというか、
人類の壮大な歴史を感じる空間として展示がデザインされていた。
特に中東色をアピールすべく、メソポタミア文明(今のイラクあたり?)の頃のアートが多数展示されていたのが興味深かった。
日本でいうと縄文時代にあたるので、人々が狩猟生活をしていた頃、
すでにメソポタミアでは以下のようなコミュニケーションの賜物が生まれていたのだ。
・暦
・占星術
・農業(灌漑農業)
・文字(楔形文字)
・宗教
・軍事
5000年以上の時を経ても今につながる普遍的な人の営み。
自然界において、人間は弱いからこそ、他の動物と違って知恵を発達させ、
集団で生き延びる術を育んできた。
良い面としては、お互いに協力し合い、統率をとり、暮らしを豊かにしてきた。しかし反面、発展による格差が差別、恨み、妬みを生み、死を恐れ、お互いを殺し合うことも歴史が証明している。
その表裏どちらともを5000年以上に渡って繰り返してきているわけだ。
私は戦争について考えた。
5000年以上も続いてるのなら、これからも戦争はなくならないんだろうか?
戦争とは人間の本質の一つなのだろうか?
規模が大きすぎて自分事としてとらえきれないので、もっと身近なとこで考えてみるとどうだろう。
例えば会社で上司から「うちの会社は長年そうやって結果を出してきたんだから、今回も言われた通りやって」と言われても、納得いかないと思うことってないだろうか?
自分1人の考え<会社の経験
と思い、アイデアや主張をつい諦めてしまいがちだが、
今の時代性にあった価値観の捉え方、物の見方にアップデートしていかなければ、会社は滅びてしまうという側面もある。
同じように、遥か遠い昔から受け継がれてきたDNAは、今が最新。
つまり今生きている私たちが、人間(DNA)をアップデートしていかなければ、地球は滅びてしまうのではないか?
戦争が普遍的に続いてきたことと、これから未来に起こる戦争を諦めることはイコールではないのではないか?
平和の砦をまずは自分の心に築きたいと、改めて思った。
思考が飛んでいってしまったが、話を戻してアブダビに(笑)
このようにメソポタミア文明から始まった展示は、歴史を辿り現代アーティストの作品展示までかなり濃密な空間となっていた。
国も時代も文化も目まぐるしく変わっていく、
その早さとスケール感にとても満足感を得ることができたのは確かだ。
こちら先日山田五郎さんのYoutube動画でも取り上げていた作品で、ジャックルイ=ルイ・ダヴィットが描いた物の1枚だ。
複数描かれていることなど、当時は知らずに眺めていた。
当時のナポレオンの権力を諸外国に知らしめるための、広告的な役割を果たす絵として作られたのだそうだ。
この作品からもやっぱり戦争について考えさせられた。
民衆と政府の争い、領土拡大の争いなど、行き過ぎた権力の乱用によって、人の死が伴うとき、愛は憎しみを生み、争いの火種と化す。
ナポレオンが民衆のために立ち上がり英雄となった側面と、自分の権威を示すため、また領土拡大の為に争いを自ら興した側面、どちらも同じ人間の行ったことなのだと思うと、
あらためて私は人の素晴らしさ、醜さ、美しさ、それらを歴史から学び直す必要がありそうだ。
とまぁいろいろ歴史の普遍性を、今と重ね合わせて作品を観ていった結果、思考が止まらなかったわけだが、特に私にとっては戦争と平和について考える機会となったようだ。
戦争をおこすのは簡単で誰かを傷つければよい。
しかし平和を保つことは、皆違う価値観だからこそ難しいし、地味で忍耐がいる。
だが遥かに尊い。
派手な何かはしなくていい。地味で良い。
しかしここぞという時には勇気を持って、平和のために一歩踏み出す。
そんな意識で今日も穏やかな日々に感謝して生きたいと思った。
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