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探究学習における"良い問い"とは? -高校生のQareerへの回答から -
こんにちは。探究学習と進路選択を繋ぐサービス Qareer を運営している平田と申します。私は、普段慶應義塾大学環境情報学部に在籍し、興味の赴くままに学んでいます。
また、自分自身が高校での探究学習から将来学びたいことが明確になったため、探究学習が将来像を描く機会になる高校生が1人でも増えればよいなと願い、Qareerというサービスを開発しました。
さて、Qareerでは高校生に"探究学習振り返り"と"進路展望"を800字で記載してもらっています。本日はその回答を見て感じたことを書きます。
「テーマ設定」と「問いの決定」って別物ではないか?
10月に記載した調べ学習と探究学習の違いとは? -高校生のQareerへの回答から - の最後に、下記を記載しました。
余談)探究の「テーマ設定」と「問いの決定」って別物?
そう考えると、探究学習の「テーマ設定」と「問いの決定」というのは、時系列で分けて考えるべきなのかもしれません。テーマを決めたら、興味関心のままに調べながら、そこで生じた疑問や違和感をもとに問いを固めていく。こんなふうに整理できるかもしれませんね。是非またいろいろな方とディスカッションしてみたいです。
多くの高校生の回答を見る中で、「すごく面白いテーマだ」「面白い問いだ」と感じることが多々あります。一方で、このテーマと問いが混同されているようにも思います。
例えば、先日ご実施頂いた高校の中で、「カラス」をテーマにしている生徒がいました。たしかに、特徴的なテーマとは言えないと思います。しかし、問いは「なぜカラスは不人気なのかを解明し、どうすれば愛される存在になるのかを考える」でした。周囲がカラスのことをほとんど知らないのに毛嫌いしている様子に違和感を感じ、この問いに至ったそうです。テーマは一見特徴がなくても、問い立ては面白い例のように思います。
こうした例を度々見かけると、探究学習においては興味や関心の持てるテーマを選んだ上で、「学習を進める動機が生まれる問い」「学習を進めやすい問い」を立てることが大切と考えるのです。
"良い問い"とは何か
それでは上記の「学習を進める動機が生まれる問い」「学習を進めやすい問い」とは何でしょうか。Qareerの回答を見るに、下記3つと考えます。
1.独自性のある問い
「その生徒ならではを感じる問いかどうか?」は重要と考えます。探究学習を多く見ていると、テーマとして(学校の指示があるかもしれませんが)SDGs、地域活性、マイノリティ支援などを度々見かけます。もちろん、そのテーマを選ぶことは悪いことではないですし、重要な社会的テーマとも思います。
しかし、いざ問いを立てる際に「どうすればSDGs◯番は達成できるのか」「この地域を盛り上げるために〇〇を行う」「マイノリティへの理解が進むためにはどうすればよいか」など、その生徒ならではを感じづらい問いになっているケースが相当に多いように思います。なぜその問いを設定したのか、その生徒ならではの興味関心,問題意識,違和感などから深ぼる必要があると思うのです。
2.具体性のある問い
「抽象的すぎず、具体性のある問いかどうか?」も重要と考えます。例えば、教育をテーマにした探究学習で考えてみましょう。よくあるのは「良い学校とは何か?」のような問いです。これは問いの抽象度が高く、いかようにも捉えれるので、学びを進める上で好ましいとは言えないでしょう。
そこで、Qareerをご実施頂いた学校の生徒で、良いなと思った問いを一つ紹介したいと思います。それは「発達障がいを持つ生徒・そうでない生徒が、共に楽しい学校生活を過ごすために意識すべきことは何か?」という問いです。この生徒は、自身の発達障がいを自覚しており、それによる中学時代までの苦労も認識していました。そして、周囲の支援にも感謝していました。だからこそ、テーマ・問いは「自分自身の経験から生まれており」、対象は「発達障がいを持つ生徒とそうでない生徒」、目的は「共に楽しい学校生活を過ごすこと」、アウトプットの方向性は「学校生活で意識すべきこと」と具体的です。もちろん、他にも良いものはたくさんありますが、一つ分かりやすい例と言えるのではないでしょうか。
3.知識習得で終わらない問い
最後のこの「知識習得で終わらない問いか?」は当たり前のように思われるかもしれません。しかし、往々にして見かけます。例えば、「持続可能な社会を実現するために、どのような発電方法が考えられるか」などの問いを置いたとします。往々にしてあるのは、今は中心ではないものの、今後期待されている発電手法を調べ、列挙するといった進め方です。もちろん、調べることが悪いとは思いません。しかし、大切なのは調べる過程で生じた疑問、興味関心、違和感に自覚的になり、そこから探究学習を進めるための問いをしていくことではないでしょうか。
本日は、探究学習を進める上で「難しい」とよく聞く問いの設定についてまとめてみました。そして書きながら,,,ではどうすれば生徒の「良い問いの設定」を支援できるか?をまとめたくなりました!笑
探究学習のフィードバックシステム『Qareer』で溜まった知見だからこそのまとめをアウトプットしていきたいと思います。
本日も、ご覧いただきありがとうございました。是非フォロー、いいねして頂けると嬉しいです。