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「与える」より「解放」の時間を

「平和の種」という冊子に依頼されて寄稿した記事を転載させていただきます。

私は、長野県松本市の東山麓の中山地区で、「自然体験・かまばの森で遊ぶ会」を主宰しています。3児の母で、第一子が小一に上がった2018年5月に「かまばの森」を設立しました。

当初は、我が子たちのために、同級生らを巻き込んで一緒に遊んでいただけでしたが、それが少しずつ広まり、7年経った今では、松本市や近隣市町村、時には関東からも、多くのお子さんが体験に来てくれるようになっています。

私は新卒で大町市(旧八坂村)にある山村留学の発祥団体に就職しました。夏休みや週末のキャンプ企画をしたり、1年〜数年単位で親元を離れて山村で暮らす小中学生たちと一緒に暮らし、農作業をし、保存食を作り、野外活動をして過ごしました。山村のお年寄りたちが自然と共に生きる知恵を、山村留学の子どもたちと一緒に学びながら生活しました。
大人になった元山留生たちの、芯の通った生き様をいくつも見ているうちに、自然の中で先人の知恵を体で学びながら育つことの大切さを知りました。かまばの森の活動を続けている背景には、我が子たちにも彼らのように育ってほしいと願ったことが大きいのです。


キャンプ活動の夜。



かまばの森の主催事業のメインは、毎週水曜に開催している「放課後ひろば」という野外の学童保育と、週末に日帰り〜1泊で開催している「こどもサバイバル教室」。他にもファミリー向けのキャンプ講座や未就園児向けお散歩会、公民館行事や、地域の学校や児童センターなどの依頼でイベントなどもしています。

これらのすべての活動で一番大切にしていることが、自由に遊ぶ時間をたっぷり取ることです。
現代の子どもたちは日常生活において、学校や塾、習い事、ゲームやyoutubeなど、制約された空間で何かを「与えられる」時間が圧倒的に多いです。

かまばの森でも特にサバイバル教室などでは毎回違ったタイトルの「プログラム」がありますが、プログラムはきっかけづくりにすぎません。本当に大切にしているのは、これをきっかけに新しい遊びを発見したり、夢中を見つけてどっぷりハマる時間です。

釘を叩いてナイフを自作するのが放課後ひろばで流行りました。この遊び、何時間も熱中します。
写真では、採ってきた筍を自分で作った釘ナイフで切って、焚き火で竹でお湯を沸かし、スープを作った時の写真。たっぷり自由な時間を取った時の子どもって本当に面白いんです。

たとえば7月のサバイバル教室のテーマは火おこし。子どもの五感を最大限に刺激し、脳みそがフル回転する遊びです。
ところが1日目は断続的に土砂降り。雨の中でそれらを行うには、テント内が濡れないように、体が濡れないように、濡れてない薪を見つけ、新たに濡れないように、と工夫すべきことが山盛り。

じゃあ、
事前にとってきた薪を使えば‥
大人が建てたタープの下を提供すれば‥
着火剤を使えば‥
大人と一緒に作れば‥

いくらでも簡単にすることはできますが、
あえて子どもたちの力でやる。
大人は口出したくなるので自分たちのかまどで料理をする。
そのうち、山の中はまだ少し乾いている薪がある、焚き火台の底が濡れていると、いくら乾いたものを載せても濡れてつかなくなるとか、子どもたちはいろんなことが体でわかってきました。

雨の中でテントを建て、雨の中薪を集め、雨の中で火おこしをして調理をした7月のこどもサバイバル教室。2日目午後、振り返りをした時の子どもたちの顔は、達成感と自信に満ち溢れていました。

どんな薪が適しているのか、
観察し、
手触り、
折った時の感覚、

斜面を引っ張り下ろしながら大きな薪を運ぶ、
煙の匂い、
風の向きなど、

たくさんのことを五感で感じます。

3時間かけてようやく着火した班もいました。
大人が見ていないと子どもは、なんだかんだできます。

必要なのは「たっぷりとした時間」。

「教えない」ことでどれだけ子どもたちの創意工夫が生まれるか。
見ていて本当に面白く、飽きないものです。

そして火がついた後・・・ここからが目玉の「自由な時間」。

火を絶やさないようひたすら火に熱中する子もいれば、
火おこしで気持ちが上がってチャンバラごっこで全身で発散する子たちもいます。
火吹き竹を作りたい、と竹の工作に行き、物づくりに夢中になったり、
雨に当たらないように屋根を作ろうと秘密基地づくりに流れていくことも。ひたすら穴を掘り続けることも。

大人の仕事は、環境を与えること・・・
「やりたい」と閃き、思った時にすぐチャレンジできる環境を。
一番大事なのは、邪魔をしないことです。

活動は、初めての子から何年も通ってくれている子までいます。ベテランの子は遊びに安定感があり、自分のやりたいことがはっきりし、面白い遊びをどんどん思いついていく傾向にあります。
それまで育った環境や性格により、初めて参加した時から自分のペースを掴んでどんどん遊ぶ子もいれば、長い時間かけてゆっくり馴染んでいく子もいます。

それぞれでいいと思います。

どんな生物でも、
ゆっくり育つものもあればさっさと大きくなるものもあれば、
小さいなりに美しく咲く花もあるし、
とにかく勢いの強い元気な草もあります。

どれが正解でもなくて、子どもたちそれぞれが自分のペースで自分らしく成長できることが一番の幸せです。

子どもだけでなく、お母さんが夢中になって通ってくださるケースも多いです。子どももお母さんも自分らしくいられる場所、かまばの森はそんな場づくりをしています。

かまばの森の公式ラインでは、イベントの最新情報やお問い合わせ、お申し込み、リマインドまですべて行うことができます。

秋のかまばの森でお待ちしております。
スタッフも募集中です〜


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