見出し画像

誰もが知っている人の誰でもが知らないコト


著者は、もはや知らない人はいない通販会社創業者。
佐世保訛りのハイトーンボイスから繰り出される軽妙な語り口。
しかし実は、普段の彼の声は決して高くない。

相手(お客様)に「伝える」のではなくて「伝わる」ことを真剣に考えぬきながら話し続けていたら、自然とたどり着いたのが、我々が耳にしていた商品紹介のトーク術になったのだという。

具体例としては、
まだ家業の写真屋を継いでいた頃、温泉旅館の宴会にカメラ片手に飛び込んで宿泊客の写真を撮って売る商売を行っていたのだという。

その際に相手から最高の笑顔を引き出すためにはどのように話せば良いのかを考え試していくことによって培ったのがトーク術の基礎であったという。

夜の宴会で写真を撮って翌朝再び旅館へ赴き、チェックアウトする前の客の前に現像した写真を並べて、気に入った写真を買って貰う。

皆さん自分の最高の笑顔の写真だから喜んで買っていってくれたそうで、随分儲けに繋がったそうだ。

この頃は、昼間はカメラ店の仕事を行っているのでほとんど寝ずに一生懸命働いていたという。

彼曰く、

目の前のことを一生懸命にやっていれば、自然と次の課題が見えてくる。毎日300%の力で物事に取り組んだ自負があり、それで上手くいかなかったことは、失敗ではなく「試練」と考えて、どう乗り越えるかを考えてきた。

そうこうしているうちに、家業のカメラ店から今の会社規模に徐々に徐々にと、成長していったという。事業拡大は目標にしていたわけではなかったし、長期目標など掲げたことも無かったそうだ。

テレビショッピングを放送するにあたって、周囲には猛反対された「自社スタジオ設営」さらに「生放送」。

しかし、出来ない理由ではなく出来る理由を考えて押し切った結果、大成功を収める。

生放送ならではの、電子辞書に入っている辞書約50冊分をわかりやすいように積み上げて見せようという演出の最中、辞書の山が崩れるというハプニングが生じる…

なんと、その瞬間に注文が倍以上に跳ね上がったという。

思慮の末、東日本そして熊本の震災復興支援テレビショッピングを行い、全売上を義援金とした。この取り組みも自社スタジオ・生放送という仕組みこそが可能に出来得た結果であった。

生ならではの強みは、売れ行きをリアルタイムで判断出来るがゆえ、プレゼンの方法も即座に変化させることが出来ることだという。

ある時、社員から世阿弥の著書が「社長の生き方がそのまま書かれている」といわれ、それから「花鏡」、「風姿花伝」を愛読しているという。著者曰く、テレビで話していた自分は、世阿弥のいう「一調ニ機三声」を知らず知らずに行っていたらしい。

そんな彼は長く企業を続けるためにも、2015年にトップを退き、後進に全てを委ねた。

その後の活躍はJ2クラブチームの*V・ファーレン長崎*の代表取締役社長を今年(2020年)の元日まで務めた。

その間、経営悪化していたクラブを建て直し、ホームスタジアム周辺の活性化、さらにはアウェイゲームで敵地に乗り込み相手チームのサポーターにもファンサービスをする。これはホームに呼び込む宣伝効果に繋がったという。

彼の生き方、考え方からは、プレゼンやコミュニケーション、マネジメント、さらには地域活性化など様々な面で参考になることが見つかるかもしれまない。


いいなと思ったら応援しよう!

pirokichi
最後までお読みいただきありがとうございます。 いただいたサポートは麦チョコ研究助成金として大切に使用させて戴きたいと思います。

この記事が参加している募集