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【やさしい脳科学】 『報酬予測誤差』のはたらき

神経伝達物質

私達のあらゆる生活に密接、直結している脳。

快・不快、喜怒哀楽、安心・不安

様々な感情を引き起こす脳。

これらは神経伝達物質というものによってもたらされます。


ドーパミンの働き

神経伝達物質には、アセチルコリン、セロトニン、オキシトシン、アドレナリン、ノルアドレナリンなど、働きが異なるものが複数存在します。

その中のドーパミンは、やる気・意欲・報酬に関わると言われてきましたが、実は「報酬予測誤差」に関わる神経伝達物質なのではないか、といわれています。


欲しかったものを手に入れる

長い間欲しかったものを手にいれる。
そのような状況を思い浮かべてみましょう。

少しでも安く、状態のいいものをと、店舗に足繁く通ったり、複数のネットショップを調べたり、フリマサイトをこまめにチェックしたり。

そしてなんとか条件に見合った商品をタイミング良く見つけることが出来て、やっとこさ手に入れる。

売買が成立した瞬間をピークとしてその昂っていた感情は凪となっていく。

さて、どうでしょう。

興奮と苦労を伴って手にしたアイテム。今も肌身離さず手にしているでしょうか? 身につけているでしょうか?

正直に話しますと、私は買ったばかりでそのまま、積ん読の本や、ハンガーに掛かったままあまり着ることのない服…など、部屋のスペースだけを取るに過ぎないモノと化しているアイテムが少なからずあることを否定出来ません。

おそらく買うまでは、多くのドーパミンが放出されていたのでしょう。 

このように、報酬が満たされてしまうとその状況に満足しきれなくなってしまうのです。


美人は3日で飽きる

酷い言葉ですが、恋愛は長期に渡ると成就しないという方は、マンネリ化してしまい刺激が乏しくなってしまうのではないでしょうか。

このような方は良くこんなことを言います。

釣った魚に餌をやらない

この台詞よろしく、口説いている頃や付き合って間もない頃から比べると冷めている態度をとってしまう。
そんな方がいらっしゃいます。

おそらく、この方々は恋愛当初から比較すると徐々にドーパミンの働きが減っているのでしょう。

報酬予測誤差となるワクワク感やドキドキ感が薄れていくのかもしれません。


サイエンスの立場から

科学者がほぼ9割以上の確率で失敗を重ね続け、何年も研究に没頭することが出来るのは、

仮説が結果によって立証され、その成果が認められる、具体的には論文となって世に出る。

この経験が忘れられず癖になることによるといわれたりします。

通常、実験を行なう上で、実験者によって予め結果は予測されています。

予測通りの結果が出れば、それはそれで狂喜乱舞の興奮の感情が呼び起こされると思います。

しかしさらに研究者を興奮させるのは、予想だにしなかった結果に巡り合った時です。
つまり報酬予測誤差が生じた時。
この時のワクワク感が堪らないのです。

ここでもドーパミンが活性化していたことに他なりません。

予想だにしなかった発見が、世紀の大発見につながること。
失敗と思われていたことが世の中を変えるようなパラダイムシフトへと繋がったりすること。

これがいわゆるセレンディピティといえる状況へとつながっているのでしょう。


おわりに

上手く「ときには自らの脳を騙したり」して、報酬と予測とのギャップを生み出して、ドーパミンが効果的に働くような状況をつくり出せると豊かな生活がおくれるのではないか、そのように思いました。

前述の連鎖する物欲や、マンネリ化する恋愛などに対しては、自発的に買ったアイテムを重用してみたり、デートなどイベントを計画することで「誤差」を生み出して、『ドーパミンを手玉にとって』しまえばハッピーなのではないか、皆様も試してみては如何でしょう。

おしまい

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pirokichi
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