北朝鮮と真夏の怪談#1 〇妻には気をつけろ!
煽情的なタイトルを掲げてしまった。さて、◯の中には何が入るでしょう。まぁほとんどの人が「人」という字を入れると思うが実は違う。そんな艶っぽい話ではない。あと経験的にいうが不倫はよくない。以前勤めていた会社で、ぼくの目の前に同僚の不倫相手が座り、後ろにその同僚の本妻が座っていたことがあった。
結果的にぼくは軍事境界線に立つような状況になり、ストレスで激やせした。なおそれをネタに賃上げ交渉したのも今や懐かしい想い出である。
ちなみに〇の中に入るのは2文字である。あるいは8文字でも正解。ヒントはここまで。
さて。ぼくは2012年に角川書店から「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」という本を出した。京都大学の小倉紀蔵教授を編者とする錚々たる面々の中にぼくがいる。
まさかの角川書店。いや、大手出版社の何がすごいかって校閲。編者の先生にまずボコボコにされ、角川書店の編集者から様々な苦言を呈され、何とかかたちにして這う這うの体でたどり着くのが角川書店の校閲室。ここでは日本語の手練れ、否、名人たちが手ぐすね引いて待っていて、ぼくの原稿は提出後しばらくして真っ赤なゲラになって家に返送されて来た。
出版は日本の文化、日本語の最後の砦であるとぼくは信じる。誰でもことばを発することが出来るブログやSNS全盛の時代だからこそ心からそう思う。
ブログやSNSの普及は、自由と共に整わないままのことばたちが百鬼夜行のように、時には刃のように人を殺す世界を作り出してしまったのだ。
ぼくの駄文も編集者と校閲室に整えられ、装丁され、潤沢なる販売網を通じて書店に並んだ。校閲室から自宅に返って来たゲラは輝いて見えた。ぼくの原稿にこれだけ手直しをしてくれるとは。感激した。もしぼくが死んだら、棺桶にこのゲラを入れて欲しい。一生の宝物だ。
この本、恩師がノリノリでぼくのことを紹介しているところが読みどころ。ぼくだけ扱いが明らかにひどい。図書館に行くと韓国、北朝鮮の本の中に隠れています。ぜひ探してみてください。
宣伝はおしまい。
この本を出してから、京都でちょっとしたイベントが行われることになり、著者のひとりとしてぼくも参加した。まぁイベント参加者のお目当ては編者である恩師であって、ぼくみたいな無名の若手のペーペーなどに関心を持つ人なんていないでしょ?と思ったら、いたのである。ぼくより年上の女性がぼくの顔を認めるとにっこりと笑って近づいてきたのだ。
「先生!先生の玉稿拝読しました」と言い、あとは熱く感想を述べてくれたのである。
玉稿とは!正直悪い気はしない。実際、嬉しかった。面映ゆかったけど。
だがその女性を見た時に、ぼくの胸はキュンキュンと鳴ったのである。
恋?恋ではない。ぼくは胸を押さえた。このキュンキュンと鳴る鳴り方は人生初。間違いない。アラートだ。緊急地震速報みたいだった。何を訴えているんだぼくの心。何が危険なんだ。何をぼくは警戒しているのか。改めて初対面の女性の顔をじっくり見た。初対面。初対面のはず。いや、ぼくは彼女とどこかで会っている。ぼくは彼女を知っている。
新海誠がまだ「君の名は」を創る前の話だ。前前前世に出会っていたのだろうか。いや、間違いなく現世だ。
ようやく気づいた。彼女はよど号メンバーの妻だ。髪型が違っていた。彼女も目ざとくぼくの視線と表情に気づいた。
「あ、どうもAです。その節はお騒がせしまして」。
お騒がせ?何を言っているんだ?この時のぼくの顔は自分でもすごい表情をしていたと思う。
お近づきのしるしにどうぞ。と切手シートを貰った。北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国の切手である。竹島の領有権を主張するその切手。信条的にも立場的にも受け取りにくい。
どうします?と恩師を見ると「貰っておきなさい」という。この切手は今もぼくの部屋にあり時々ひょっこり顔を出す。その度にちょっと苦い思い出が走る。
今も日朝友好団体の集まりに行くと、時々その時会ったよど号メンバーの妻が顔を出している。最低限会釈はするが、連絡は取らずなるべく避けている。その理由は次回。
■ 北のHow to その57
日本の親北朝鮮系、日朝友好団体の集まりに出ると色々な方が来ます。よくよく気をつけなければなりません。特に20代から40代前半くらいまでの人は目立ちます。参加者はとかく高齢者ばかりなので。色々な人が物珍し気に近寄って来るでしょう。一回で見極めるのは無理ですが、その後の距離感が本当に大事です。
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