初めての家族写真
一時期、私はヤクザというものへの関心がとても高まっていた。
というのも、『龍が如く7 光と闇の行方』のゲーム実況にドはまりしたのと同時期に、役所広司演じるムショ上がりの元ヤクザが主人公の『すばらしき世界』という映画を観たからだった。
そのことを友人に話したところ、それならこれもいいよ、とお勧めしてもらったのが『ヤクザと家族』という映画だった。
「おぉぉ…(泣)綾野剛…舘ひろし…市原隼人……うおぉぉ…(泣)」
(龍が如くとすばらしき世界とはまた違うタッチで描かれた映画でそれがまた良かった…。あのどうしようもないやるせなさに救いを差し伸べたくなるけど、だからと言って認められない悪というものがあって、でもそれも私たちは理解して悪と思っているのか…?役者さんたちの演技にも引き込まれてドキドキバクバクが止まらなかったし。中村努がたまらなくいいんよ。あの狭間で揺れる複雑な心境での立ち回りに胸が締め付けられて…。たまんなねえ…。あと韓国料理店で焼肉食べてぇ…。)
にしても・・・
キービジュアルの家族写真いいな!!!
よし
私も家族写真を撮ろう
撮りたい
今回、一緒に暮らしているみんなと撮ることにした。
幼稚園の頃からの長い付き合いの子もいれば、数日前に出会った子もいる。
普段から他人には家族だと紹介しており、たとえ「あぁ、ぬいぐるみね。」と言われても「家族です。」といちいち訂正している。
その度、高校の国語の授業で夏目漱石の『こゝろ』を音読する際、「私(わたし)は…」と読むと、「私(わたくし)ねッ。」と、体感1分100回くらいのペースで間髪入れずに訂正してきた木村先生を思い出し、(あぁ、私は今、あの時の木村先生と同じように思われているんだろうな)と、何とも言えない気持ちになっていた。
が、今はそれも気にしない。
家族のカタチなんてものは1つでないとヤクザと家族が教えてくれたおかげで、改めて胸を張ってみんなのことを家族ですと言えるから。
また、2、3人(いつも"人"で数えている)でお出かけや旅行することはあるが、全員で何かをしたことはまだないということもり、今回撮るに至った。
撮りたいたかし(鳥谷敬)
とはいうものの、
「あたちのこと、ほんとに受け入えてくれるの…?」と、
初期ピノコが言いそうなことを思いながら(ブラックジャックGT*解釈違いだったらごめんなさい手塚治虫先生)
気になる何店かに電話で話を伺ったところ、意外にもどこも快く受け入れてくれた。
撮影環境や料金などを加味して検討していたが、
最終的にお願いをしたのは、「ぬいぐるみたちと撮りたくて・・・」と説明した時に、「では皆さんは・・・」と、あえて言い直していただいたところだった。
事前の打ち合わせもしていただけるとのことなので、
とりあえず現地へ向かうことに。
*****
今回利用させてもらったのが、京都にある写真の総合館として2010年の改装を経て設立されたAMS写真館さん。
(すみません、お世話になったところなのでちゃんとしなきゃと思い、いきなり説明口調になりました。)
当日利用するスタジオを見せてもらうと、
思っていたよりでかい・・・!
家族写真といえば坂本龍馬とおりょうの結婚記念写真だった(気になったので調べてみたらそんな写真出てこなかった)ので、もっとこじんまりした小部屋(そもそも空想写真だったのでそれも勝手なイメージ)でするのかと思っていたらしっかりとしたスタジオだった。
無論私が特別ということはなく、家族写真などは大抵このスタジオで撮影し、更に大きいスタジオでは企業がCMやPV撮影等のために貸切ることが多いそう。(もちろん個人でも一番大きいスタジオを借りることは可能。)
この日はスタジオの様子を見て構図の相談をさせてもらい、
撮影に当たってのアドバイスをいただいた。
小さい子が多いので大中小の箱を用い、みんなが見えるような形に配置。
そして家族写真と言えば、やはり椅子だろうと思ったので椅子も活用することにした。
撮影時間によって値段が決められており、残念ながら家族の中で働いているのは私だけで割り勘はできないため、一番値段が抑えられる30分で申し込んだ。
30分だと時間的にみんなが立ち位置につくので精一杯の可能性もあり、その日で構図を確定させ、それぞれのポジションは家で考えてくることになった。
ひこにゃんの大きさを手掛かりに、家族それぞれのサイズ感を照らし合わせ、どうしたらみんながうまく収まるかを考えるという、数独かなんかの時に使う頭の部分をフル回転させながら配置を決めていった。
多分、最大瞬間IQ183にはなってたと思う。
iPadで写真に名前を書き込んでいき、立ち位置を確定。
夢乗せてはばたけよ~ 鋭いスイング魅せてくれ~ さあ君がヒーローだ~ 撮りたい敬~ かっとばせー 撮ーりたい
当日。
朝から会社に履く予定の靴を置き忘れたことに気づき、急いで会社に取りに行くもドアが開かず、ひたすらドアガチャをしてると、警備員さんに「あ~土日は閉まってるから鍵借りないと入れないよ。無理に開けようとしたら警備システムが発動して射殺されるよ。」と言われ、怖すぎてすぐに引き返し、家にある靴で代用する、ということもあったが、それ以外は準備万端。
(今思ったら、そんな警備システムこの国であってたまるか。)
いよいよ撮影のため写真館へ!
※急な標的宣言をされ軽く動揺していたのと、とにかくその日は時間との戦いで様子の写真が撮れていないため、ここからは代わりにイメージ画像でお送りします。
実家から借りた車にみんなで乗り込み写真館に。
その日は、新しい家族の名付け親にもなってくれ、家族を全員把握してくれているパートナーにも手伝いに来てもらった。
台車にみんなを乗せ、玄関から撮影スタジオまで移動。
みんなを慎重に乗せていき、スタッフさんも運んでいる最中に転げ落ちていかないか見守ってくれている中、無事に全員移動完了。
撮影時間の短さも考慮し、照明などは事前にセットしていただけていた。ありがたや。
あとはみんなに立ってもらうだけ!(アハ~ンこれが結構難しい)
事前に準備していた立ち位置を確認しながら、黙々とみんなを台に組んでいく。
準備していたとはいえ、あくまで画面上ではうまく収まっていただけなので、様子を見て前後なども組み替えながら配置。
もちろんスタッフさんは誰が誰だか分からないので、固唾を呑んでそっと見守っていただくことに。
台に乗る予定がはみだしてしまう子や、
バランス感覚があまりないのでポロンポロンと落ちてしまう子もいたが、
スタッフさんのサポートもあり、短い時間ながらもスピーディーに作業ができた。
なんとか、配置完了!!
でも、ここで終わりでなく、もちろん目的は写真撮影。
準備が完了した旨を伝えるとすぐにスタッフさんが撮影に取り掛かってくれた。
カメラマンさん「あ~~いいですね!いいです、いいですよー!」
細かい立ち方や位置の指示も出してくれつつ、気分があがる掛け声を出してくれるカメラマンさん。
些細な服の乱れも直してくれて、シャッターが下ろされる前にサッと手鏡を出してくれ、完璧な状態に整えてくれるスタッフさん。
そして、じっとしながら撮られている家族と私。
気持ちえぇ~~~~~~~~~~~~~~
これ、はまってしまいそう。
そりゃこんな状況だったら、モデルさんもあんなバチバチのポーズもかませるわ。
もっと…もっと撮って……とエクスタシーを感じていたら、いつの間にか撮影が終了していた。(うそ、結構こまめにチェックした。)
そして、完成したのが、
これ。
わ~~~~~。家族写真だ~~~~~!
椅子に座るのは年長者やメインの人が多いと聞いたので、できるだけみんなとはフラットでいたいなと思い、誰も座らないことにしたのだが、やっぱり椅子あると雰囲気出るね!
ペンちゃん(真ん中前)なんかどっしり構えていていいじゃないの。
・・・正直言うと、ちょっと被ってしまっている子もいて、それをデータもらった後に気付きその時には、
ほんっっっっっっっっっとごめん!!!!!!!!!!!なんで被ってること気づかなかったんだーーーーー、あーーー他に被ってないの選べばよかったーーーーーーって思った。(※何枚か撮ってもらって、その中から選んだのは私なので完全に私のミス)
ただ、みんなで何かをするということを初めてできた達成感と、目に分かる思い出として家族写真という形に残ったのは本当に喜びもひとしおだった。
また、これをきっかけに、毎年撮っていこうと思った。
写真館の方にも、また新しい家族が増えるかもしれないですしね!って言ってもらったし。
今度はみんなしっかり写ってるの選ぶからね!!
皆さんもぜひ大切な人と写真、撮ってみてください。
(おわり)