[2021-02]ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる
思想家 東浩紀の「ゲンロン社をめぐる10年」の顛末記。明らかにされる失敗の数々、友人だと思っていた人達の離散など、悲しそうなこと、ツラそうなことがツラツラと書かれている割には、楽しめて読めるというのは、「東浩紀だからこそ」という気がしている。ニコニコ動画や自主運営の動画配信サイトで酒を飲みながら、時にはにこやかに、時には怒声をあげ、それに右往左往するゲストという、そこには、イベントのファシリテーターではなく、おれが主役、酔っ払った主役、飲み会には参加したくないけど、よっぱらいの戯言をネットワークを通じて観察したい観客の知的ニーズを的確にとらえつつ、「本質的でないことに本質的なことへのつながりがある」とか云うてしまう。私も会ってみたいとは思わないんだけど、ネットの小窓を通じて、もしくは書籍を通じて、誤配を受ける。たまにで良いんだけど、たまに話を聞くと普段の出来事との相対化ができて良いと感じている人の一人です。