[2021-10]「意思決定」の科学 なぜ、それを選ぶのか
読了。意思決定理論について、期待効用やプロスペクト理論について平易に説明されていますが、この本を買おうと思った人はまず↓の誤植の多さを確認し、それでも購入価値があると思った方だけ読むようにしてください。
なんせ、意思決定の理論について書かれている本で、誤植が散りばめられているということに、意味や意図があるのかないのか、疑念を抱かれてしまうテーマでやってはいけない事のように思います。が、細かいことはどうでも良くて、人間の意思決定に関わる傾向についてざっと知るという意味ではコンパクトで読みやすいとも思います。(ブルーバックスはサクサク読める)
私はプロスペクト理論がかなり好きです。なんども助けられているとも思います。価値判断がどんどんメタ化していくとも思います。
例えば去年の3月にコロナショックで株が大暴落しているときは、プロスペクト理論について読み直し、システム2を起動して、期待値の歪みについて冷静に考えようとしました。大きく勝つことはできなかったけども、退場せずに今があると思えます。追い詰められている時ほど、システム2を無理やり起動して、冷静な判断をする意味で、これらの意思決定理論については、知っておくことが良いと思います。
日本の会社組織についても、強くこのプロスペクト理論が働いていて、失敗を過大評価し、成功を過小評価する。それは会社の状況・業績などの環境に強く影響を受けますが、それでも基本的な評価は、”失敗を過大評価し、成功を過小評価”だと思います。新入社員が入ってきたときにプロスペクト理論について話すこともあります。これはこの会社が社会がではなく、人間に楽な特性、システム1で動く人間が多いほど、その傾向にあるんだと思っています。まぁ、いつでもシステム2というのは、正直疲れてしまうし、私も多くの時間をシステム1で過ごしているわけですが、(この文章を書いているのもシステム1だと思いますね)重要な局面、冷静な判断が求められる局面では、プロスペクト理論を思い出し、価値関数をクレンジングし、難局に対処していく。数学的な計算をしなくても、その理論や傾向を知ることは、あらゆる種類のあいまいな判断の役に立つと思います。