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憲法53条後段についての解釈を示した裁判例の整理

1. 憲法53条後段とはどういう規定か 記事にもあるように、野党は2022年8月18日、憲法53条に基づいて、臨時国会の召集を要求しましたが、与党は早期召集には応じないとのこと。  そもそも憲法53条とはこういう条文です。  まず、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。」と定める前段部分は、内閣に臨時国会を召集する権限を与えています。一方の後段部分は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定め、国

    • 【メモ】東京地判平成30・10・11裁判所Website

      第1 事実の概要   X1はベトナム国籍の女性で、X2はX1の息子である。  X1は、平成25年、日本の永住者資格を有するベトナム国籍男性Aとベトナムにおいて婚姻した。平成28年、X1はX2を出産した。X2は超低出生体重児であり、生命維持のために治療を継続する必要があった。 (X2はその後、乳児院に入院し、体重増加が図られた。しかし、退院後の平成28年11月14日から25日まで、複雑性尿路感染症によりE病院に入院した。その後も、平成29年3月8日から同年6月12日までの間

      • 【メモ】東京地判令和1年9月17日裁判所Website

        第1 事実の概要 1. イランにおける改宗者の状況とXの信仰状況  イランでは、イラン革命以降、イスラム教徒が他の宗教へ改宗することは背教罪とされ、背教は死刑に値する罪と考えられている。平成21年当時のイランでは、当局は福音派教会のリーダー層を中心に改宗を注視していた。一方で、一般の信者については注視していなかった。しかし、平成21年以降は、改宗者を罪に問うことがより一般的になった。特に、平成24年以来、民家に集まってキリスト教信仰を行っている改宗者については、逮捕・訴追され

        • 【メモ】東京高判令和2年1月29日裁判所Website

          報道迫害、脱出、流浪27年…たどり着いた日本で見えた希望(朝日新聞、2020年6月20日) 旧ソ連の無国籍男性を難民認定 「地球上に行き場ない」(日本経済新聞、2020年1月30日) 「無国籍男性は難民」 東京高裁判決 国不認定、取り消し(東京新聞、2020年1月30日) 判決全文第1 認定事実    証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。  1 第1審原告の家族   (1) 第1審原告の父     第1審原告の父は,ロシア革命後の1931年に生まれ

          【メモ】東京地判令和2年2月18日裁判所Website

          判例概要第1 事実の概要  原告X1はコンゴ国籍の女性、原告X2はX1の長女である。X2は、6歳の時に来日し、その直後に退去命令収容令書を発付された。その後仮放免許可を受け、公立小学校に入学した。その後、公立中学校に進学し、中学3年生の時に、本件在特不許可処分を受けた。  X2はその友人の多くが日本人である。X2は日本語が第一言語であり、コンゴの公用語であるフランス語は簡単な会話程度しかできず、チルバ語やリンガラ語の読み書きをすることはできない。また、X2はバスケットボール選

          【メモ】東京地判令和2年2月18日裁判所Website