リアル生イギリス英語 vol. 12<イギリス現地校クリスマスの過ごし方>
日本では12月になると文字どおり「師走」と、年越しまで毎日が目まぐるしくあっという間に過ぎていきますが、それはここイギリスでも同じこと。クリスマスが日本のお正月に該当する感じなので、慌ただしさのスピードはむしろ日本より速く感じるほどです。
忙しいといってもイベント行事が盛りだくさんなわけで、子供たちにとってはわが子が「1年でもっとも好き🤩」と言うように、ワクワクが止まらない月なはずです。そんなわが子はこちらに来て以来、イギリス現地の幼稚園と小学校に通っていますがその学校ではクリスマス当日を迎えるまでどのようなことをするのか、以下に一連の流れを記したいと思います。
これがなければ始まらない!:クリスマスカード
毎年12月に入ると、わが子の級友からクリスマスカードが届き始めます。届くといっても配達は校内の臨時「ポスト」に入れるだけなので、無料です。上級生たちが手分けして各クラスに届けてくれるのですが、2020年の今年は新型コロナ対策でこの便利な仕組みはお休みに。
それでも各生徒がお互いに手渡しすることは許されているので、例年どおりわが家の棚も順調にいただいたカードで埋まってきました。カードのサイズはさまざまで15cm四方の正方形がメジャーですが、子供同士の場合はいわゆる「ばらまきカード」ともいえるので、それよりうんと小さい高さが10cm未満のものが主流です。
ときどき通常サイズやさらに大きい特大サイズ、変わったデザインのものがあったり、中にコイン型のチョコレートが入っていたりもするので、毎回封筒を開けるときはワクワクします。そのほかお世話になった先生やご近所さんにも配ります。お隣さんからはいつもカードとあわせてサンタクロースやスノーマンといった大きなチョコレートもいただくので、子供たちは大喜びです。
カードの中に印刷されている挨拶といえば「メリー・クリスマス」が私たち日本人にもおなじみで、その意味については何も考えずに使っている人が大半かと思います。けれども世界では最近の傾向として、キリストの生誕を祝うクリスマスをしない人種に対して配慮するために、「ハッピー・ホリデー(ズ)」を使う人が増えてきたそうです。
移民が年々増加傾向にあるイギリスでも事情は同じで、割合がもっとも高い地域はやはりロンドンで、2018年時点で住民の22%がわが家のような選挙権のないnon-British residentsでした。(参照:Blake, Ann. “Population of the UK by country of birth and nationality: 2018” the Office for National Statistics (ONS) 2019.)
ただ、わが子が通う学校はカトリックでキリスト教なので、そこはあまりこだわらず普通にメリー・クリスマスと言っている割合が高いように感じます。念のため現時点で手元にあるいただいたカードの中身を調べてみると・・
Merry Christmas 8
Christmas Greetings 2
Happy Christmas 1
Seasons Greetings 1
Have a fun Christmas 1
Christmas Wishes 1
With all best wishes for Christmas and the New Year 1
God bless you at Christmas
Have a wonderful festive season 1
Have lots of fun this Christmas 1
と・・バラバラでした😅
が、こうして見てみても「メリー・クリスマス」が予想に反して圧倒的多数ですね。ただ、私自身もそうですが皆さんメッセージの内容というよりかはカードのサイズやデザインで購入しているので、あまり言葉に関しては深く考えていないのでは?と個人的には思っています。こちらの人たちがどういう思いでそれぞれのメッセージカードを選んでいるかまでは、残念ながら調べきれていません。
ちなみに学校からは校長先生の署名で
With best wishes for a peaceful and Holy Christmas
と、これまた独自の(オーダーメイド印刷なので、本当に独自案だと思います)メッセージで、やはりバラバラという結果に・・。
アドベント・カレンダーの配布
日本でも近年耳にするようになった、クリスマス当日までをカウントダウンする「アドベント・カレンダー」。学校では11月下旬になると、写真のような印刷されたカレンダーが配られます。
こちらに来て知りましたがアドベント・カレンダーって、そもそもはこうして毎日なにか課題や目標のようなものがあって、それを当日まで遂行していく、ということが本来の使い方でもあるんですね。
日曜日(Sunday)の欄を見ていただくとわかるかと思いますが、当日までに4週分ある毎週日曜日には、カレンダーならぬ
advent wreath アドベント・リース
という、ロウソクを立てられるように作ったリースに1本ずつキャンドルをさし、火を灯します。日々の課題は学年によってレベルが違い、幼稚園ですと
Help set the table for dinner with a smile! 笑顔で夕食のテーブルをセットしましょう
なんて微笑ましいものがあります。
聖誕劇とクリスマス・キャロル
12月はじめの週に、11月から稽古に励んだ
Nativity キリスト降誕、聖誕
を祝う劇が、幼稚園から小1(Year2という名称の学年)による生徒(the Early Years and Infant)で演じられます。私はこちらに来たときこの英単語自体をまったく知らなかったのですが、キリスト教を信仰する世界の国々ではNativity Playと言って、広く演じられるそうです。(参照:Cooper, James.“Christmas in the United Kingdom” whychristmas?com 2000-2020.)
あぁ、ひょっとして「ページェント」のこと⁉︎と、遠い昔に妹や弟の幼稚園で行われていた演劇発表会を思い出しました。こちらは
pageant 野外劇、派手なショー
という英単語のことで、日本の幼稚園などでよく演じられる聖誕祭はChristmas Pageantと呼ばれています。が、世界では?英語圏では?Nativity Playが一般的なようです。
これがまた、イギリス発音ですと「ナティヴィティ」なので、文章で見て思っていた「ネィティヴィティ」とも異なり、なおさら頭の中がハテナだらけになり混乱しました。
小2(Year3)から小5(Year6)までの学年(the Juniors)は、別の日の夜7時から学校指定の教会でクリスマス・キャロルである
The Festival of Nine Lessons and Carols
が披露されます。この日は下校してから家で宿題させて、夕飯も先に食べさせて、また制服に着替えさせてから寒い中教会まで送ったうえに、鑑賞しなければならないので大変です。
幸い?今年はコロナで親の観劇、鑑賞は不可になりラクでしたが、観れなくてちょっとは残念な気持ちと両方。
クリスマス・ランチ
12月の第2週は普段のお弁当や給食と違い(普段は各家庭で弁当持参か給食かを選べる)、豪華な?クリスマス・ランチが振る舞われます(もちろん有料)。この日は幼稚園児は「Christmas dress」を着てきてもよい、と言われ初年度は「え、何それ、どんな感じの服⁉︎ドレス⁉︎」と悩んだ末、そんなクリスマスを象徴するような服は持ってないよ、と制服で送り出しました。
すると先生から「どんなものでも私服だったらなんでもいいのに。後から持ってきますか?」と言われてしまいました。翌年は万全を期しちゃんとソレっぽい服装で行かせれたのですが、今年もその調子で張り切って行かせたらいつのまにやらその学年からは今度は
Christmas jumper
を着てきてもよい日、になっており、わが子だけキラキラの私服で登校、という事態になっており、なんともズレた親を長年演じています・・。ちなみに、このjumperはドびっくりイギリス英語プチ講座vol.8<ここが違うよイギリス英語>で触れた「セーター」のことで、クリスマス・ジャンパーとはここ数年世界的に流行っている、トナカイやサンタといったクリスマスをモチーフにしたちょっとダサイセーター、こと「ダセーター」を指します。
上の子にはちゃんとこのセーターを着せてバッチリ!と思っていたのに、私服でいいのは上半身だけで下はいつもの制服でないといけなかったようで、こちらもまたわが子だけ全身私服、という異様ないで立ちにさせてしまいました。
基本、こういった私服デーの日でも靴と上に羽織るジャケットは学校指定の制服でなければならず、それもウッカリして初めてのときはどちらも完全に私服で行かせてしまうという、失敗ばかりしています。というか・・
ぶっちゃけ慣習を知らない外国人親には、イメージわかなくて難しいヨ!
なお、こういった私服の日はなぜだかそれにかこつけて毎回1ポンドを請求されます。これまたナンジャそりゃ⁉︎と驚きましたが、集めたお金は各回色んなチャリティ団体に全額寄付しているそうです。あくまでも任意ですが、みな子供に現生硬貨を握りしめさせて、朝先生に手渡しさせます。
なお、中高学年の「ジュニア・ランチ」に関してはなぜか主催が親となり・・これまた任意ですが、お手伝いに駆り出されます。お昼どきなので、わが子はご馳走を食べながら親はお預けを食らって奉公させられます。今年はこれまたコロナで親の介入は不可になったので内心ホッ・・
としたのは、私だけではないはず!
クリスマス・フェア
予想外に長くなってしまいましたが、最後に今度は最上級生による(っていうか、ここも結局その親)クリスマス・フェアが開催されます。下校前の午後に5ポンドのお小遣い持ち込みを許された生徒たちは、小5の生徒(ってか親・・)が頑張って用意したお菓子の詰め合わせやラッキードローやゲーム、バザー、売店などを巡ってお金を落とします。
例年ですと、下校時間に合わせて迎えに来た親も巻き込み、親からもお金を巻き上げ、いえ、落とさせます。これらの売り上げ金は今度はチャリティではなく、学校への寄付となり、校内遊具や舞台装置といった学内設備のさまざまな出費に充てられます。はじめはまたまた「なんじゃソリャ?」と思ったのですが、日本にもまぁバザーとかありますし、他校どころかどうやら海外では普通なことのようで、よく親が手作りしたカップケーキとかを持ち込み校内で売って寄付する、という話を聞きます。
わが子の学校でも年がら年中そのための色んな寄付やらイベント運営が多く、そのたびに当日お手伝いする人を学年ごとに割り振ったりと、保護者の出番が多く大変です・・。
他校の日本人ママがやはりこういったフェアでオニギリを売り出したら、具がアレルギーの子もいるかもしれないから、とせっかく作ったのに売れなかったという話も聞き、皆さん苦労されています。
幸い(またかい・・)、今年のクリスマス・フェアもコロナで親の立ち入りが禁止なので、必然的に手伝いはなくなり今年の学年(親)はラッキー、いえ、残念だったのではないでしょうか。それでも、当日売る物の用意は親がしたはず。
こうして翌週から、つまり今日からもう冬休みを迎えます。今週の学校と、来週終わる学校の2パターンあります。