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あなたの英語はネイティブ何歳レベル?vol. 5<イギリス小3版バーンズ・ナイトと実際の模様>

イギリスではスコットランドの詩人、ロバート・バーンズ (Robert Burns)の誕生日である1月25日前後に、「バーンズ・ナイト」と称して晩餐会を開く習慣があります。日本ではあまり知られていませんが、デパートなどの商店で閉店間際に流れる「蛍の光」という曲なら皆さん、なじみ深いのではないでしょうか。

世界中で大晦日に歌われる曲としても親しまれているこちら、原曲はスコットランドの民謡で「オールド・ラング・サイン (Auld Lang Syne)」古き昔、という意味のタイトルですが、これを作詞したのがバーンズです。

わが子はイギリスの現地小学校に通う3年生(Year 4という名称の学年)ですが、今週1月25日はコロナ禍の家庭学習用に、この「バーンズ・ナイト」を取り上げた課題が出されました。

晩餐会「バーンズ・サッパー」

1796年に齢わずか37歳で没したバーンズを偲んで毎年開かれる「バーンズ・ナイト」では、「バーンズ・サッパー(supper)」と呼ばれる、夜の食事会がよく開かれます。親しい友人や家族とする内輪のものからのイベントまで、規模の違いはありますが、スコットランドの伝統料理である「ハギス (haggis)」を食べながらバーンズの詩を朗読し合うことが主な内容です。

How has haggis changed in recent years? Explain fully using evidence from the text to support your answer.

課題に出題されていた、「ハギスは近年どのように変化したか、文中の語句を用いて説明せよ」という質問のとおり、このハギスはもともと羊肉やオートミール、スパイスなどを羊の腸に詰めて蒸したものですが、味にクセがあるので最近ではソーセージに近い中身に変わってきているそう。

スコットランド一色の伝統行事と食事内容

イベント的要素が強く、より正式な手順に則って開かれる公の会では、スコットランド旗

the Saltire

を掲げた会場に伝統楽器、バグパイプによる演奏が鳴り響き、タータン柄の民族衣装、キルトやショールを身にまとった参加者を迎え入れます。

フルコースの食事はハギス以外にも

Cock-a-Leekie

というネギのスープに始まり(英語ではleek)、主菜ハギスのつけ合わせには

neeps (英語でturnipsswedeといったカブ類)と
tatties (英語でpotatoes

マッシュさせたものが、食後にはこちら(関連記事)でも取り上げた

cranachan クラナカン

というスコットランドの特産品、オーツ麦とホイップ・クリーム、ラズベリーのデザートが供されます。さらに忘れてはならないものは

Scotch

ウィスキー!特にスコットランド産のものは「スコッチ」と呼ばれますね。バーンズは地元愛が強く、ハギスのほかにウィスキーをテーマにした(出典: “Scotch Drink” A Selection of Scottish Poetry)も作りました。お酒全般が大好きだったようですが、ウィスキーはバーンズ・ナイトに欠かせない必須アイテムです。

ちなみに、ほかのマガジンでも紹介しましたが、ウィスキーのつづりはイギリスの場合

whisky

です(北米ではwhiskey)。

実際に参加してみた!一連の流れと気になるハギスのお味は⁈

ロンドンにいながらして、こんなにもスコットランドらしさを堪能できるイベントはほかにないはずですが、今年は残念ながらロックダウン中のため、やっているところはまずないでしょう。

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今となってはそんな貴重なイベントにわが家は幸運にも昨年、参加していたのでした。本当にバグパイプが鳴り響く中入場し、気分はすでに遠く離れたスコットランド🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿。

食事どきになると、司会者がハギスが置かれた台の前で「ハギスに捧げる詩 (Address to a Haggis)」を朗読し、ハギスに入刀しました。遠目でもはっきりわかるほどの湯気が立ち昇り、アツアツできたてのようでした。と同時に、スコッチが全員に配られ、皆で乾杯します。

ホストである主催者が短い挨拶をし、セルカークの食前の感謝の祈り(Selkirk Grace) を全員が起立して捧げた後、ようやくお待ちかねの食事に入ります。はてさて、肝心のハギスとは一体どんなものやら、と興味津々で列に並んでいると、なにやらグシャグシャになった黒い小山が・・。

もともとは腸に詰められていたので楕円型をしていたはずですが、皆に切り分けなければならないのでこのような(無残な?!)状態になってしまうようです。けれどneeps and tattiesにグリーン・ピース、イギリス人お得意のグレイビー・ソースをかけて一皿に盛り付けてもらうと、なかなかの見栄え。

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味も、これまたあまり人気のないイギリスの定番朝食、豚の血が入ったブラック・プディングのような生臭い感じかと思いきや、ラム肉の味は香辛料などでうまく緩和され、大麦のプチプチした歯応えがよく、失礼ながら「案外美味しい」ものでした。それでもやはり、「ラムの味がして苦手」と言いながら残しているイギリス人もいて面白かったです。

全員で民族ダンス

食後は生バンドをバックに、何組かの参加者が中央に出て、ペアでスコットランドのケイリー・ダンス(Ceilidh dance)を指導つきで踊ります。休憩を挟みつつ合計で3回ものダンスタイムがあり、初回は免れましたが2回目以降は私も引っ張りだされ、参加しました。

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イギリス人女性にも相手をしてもらいましたが、やはり西洋人というものは根っから社交ダンスのようなものに慣れているようで、お年を召されていましたがとても上手でした。私はと言えば、映画などで観る「下手過ぎて相手の足を踏む」「ほかのペアとぶつかる」などのベタな失敗ばかりでしたが、巧みなリードでしばらくすると私でも少しはマシに踊れるまでになりました。やはりこういうものは、ステージに上がって巻き込まれた方が10倍楽しめますね。

デザートはクラナカンではなく、イングランド式に紅茶かコーヒーに、ショートブレッドが出されました。閉会挨拶のあとは蛍の光を皆で歌うこともあるそうですが、こちらもこの日はありませんでした。それでも、普段からすでに異国に暮らしているにも関わらず、なにやらとても異国情緒な雰囲気を堪能できました。

さらに詳しく知りたい方は、こちらのウェブサイトにバーンズ・ナイト当日の服装や各種料理の説明、バーンズの生い立ちなどがわかりやすく書かれています。


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