哀愁のマンディ/自分への嘘
The Boomtown Rats - I Don't Like Mondays
★★★
★★★
★★★
小学校の時から学校は好きじゃなかった。ただ「行かなくてはならないもの」として義務感で通っていた。たまに面白いこともあるけど、授業のほとんどは退屈で教科書やノートに落書きして過ごした。好きだったのは美術の時間ぐらい。
中学になってバスケットボール部に入った。「アタックNo.1」や「巨人の星」「エースをねらえ」を見て育った世代だから運動部への憧れみたいなのがあったんだと思う、多分(笑)
顧問の先生は厳しくてたいがい怖い顔をして怒鳴っていた。ボールをキャッチしてシュートを決められた瞬間は快感だったけど練習はきつかった。
中学の1,2年は学校行ってバスケして家帰ってご飯食べて風呂入って寝る、みたいな生活をずっと続けていた。
それが中3になると仲のいい友達3人で一緒に漫画を描いたり音楽や映画の話をするほうが楽しくなって1年生から頑張っていた部活のバスケに急に興味を無くした。そこから放課後の練習をサボるようになった。
バスケ部の友人からは「あと少しなのにどうして練習に来ないのか、せっかく今まで頑張ってきたのに」と聞かれたけどうまく答えられなかった。だけどわたしのバスケに対する情熱がすっかりなくなってしまっていたのだけはわかった。
今思い起こしてみると、3年の時は楽しい思い出もたくさん残っているけど、バスケ部のことは苦しかった時のことばかり覚えている。
もしかしたら部活も義務感でやっていたことだったのかもしれない。始めたものは途中で投げ出してはいけない、みたいな刷り込みが強かったのかな。結局投げ出しちゃったけど。
★★★
ザ・ブームタウンラッツは高校生の時に好きだったバンド。
一番最初に「哀愁のマンディ」聴いたのがFMラジオ番組の特集だったと思う。ニューウェイヴ系の曲をいくつも流してくれたのをわたしはあらかじめ用意していた空のカセットテープに録音して何度も繰り返し聴いた。(ちなみに「哀愁のマンディ」の次の曲がスージーの「ハッピーハウス」だったと記憶している)
「哀愁のマンディ」というのは日本のレコード会社が勝手につけた邦題で何のこっちゃなのだが、原題は "I don't like Mondays (月曜日は嫌い)" 。上に貼った引用を読んでもらえばわかるけど、ドラマチックで美しいメロディーに乗せて16歳の少女が起こした1979年の銃乱射事件のことを歌っている。
決してこの少女がしたことが許されるわけではないけど、今あらためて聴いていると彼女の心の叫びがひしひしと伝わってくる気がした。
おそらくこの少女はずっと自分を押し殺していたのだ。やりたいことを我慢して本当の姿を隠し、親の前で、学校で、ずっといい子でいなければならなかった。自分へ嘘をつき続けた結果ストレスで心が圧し潰されそれが限界を超えた。もう自分が何をしているのかさえわからなくなってしまったんだろう。
あの頃のわたしも行きたくもない学校に行って面白くもない授業を受け、自分を殺して学校生活にのみこまれていた。
ただわたしはその鬱屈を発散する方法を持っていた。うちの母は結構自由にさせてくれたし、好きな音楽を聴いて絵を描いて、友達と騒いで。たまにコンサートやディスコ行ったりね。まあまあうまくやっていたと思う。
歌詞を訳していて思ったのは、嫌いなこと、やりたくないことに理由なんていらないんだってこと。やめたかったら、やめればいい。悪い我慢をして自分に嘘をつき続けていると、いつかは崩壊に繋がる。
大好きだった”I Don't Like Mondays"。聴いてたら涙がこみ上げた。昔の感情が流れたみたいだった。
そしていまだにわたしが縛られていること。もう年だから、女だから、母親だから、妻だから、etc.。
もう嘘をつくな、自己犠牲を止めて自分を解き放てと忠告しにわたしのもとに戻ってきてくれたような氣 がするんだよね。
★★★
さて、ザ・ブームタウンラッツのフロントマン、ボブ・ゲルドフは高校生のわたしのアイドルでしたっ!当時YouTubeなんてないから「ミュージックライフ」のグラビア眺めながらレコード聴いた。ヒョロっとした長身の男が好みだったんだよね(笑)
ブームタウンラッツのボブ・ゲルドフを知らなくてもアフリカ難民救済のロック・チャリティー、バンドエイド、ライブエイドの主催者だった人といえば思い出してくれる人もいるのではと思う。ただその頃のわたしの興味は既に他のバンドに移ってしまっていたので彼のことは傍観している感じだった。
ライブエイドの成功で彼の生活は一変してしまったらしい。チャリティーの後始末はかなり大変だったようで、仲睦まじかった奥さんポーラとの間にも亀裂が生まれ離婚。3人の娘はゲルドフが育てることになる。
余談になるが元奥さんのポーラはINXS(インエクセス)のマイケル・ハッチェンスと再婚。女児をもうけるが97年にハッチェンスが死亡。ハッチェンスは自殺ということだが、児童人身売買の情報を持っていたために消されたとも一部で言われている。
ポーラもその数年後に薬物の過剰摂取で亡くなっている。そして残された元奥さんとハッチェンスの間にできた娘を、その後ゲルドフが引き取って自分の子供たちと一緒に育てたそうだ。ボブ、めっちゃいい人~。
そしてこれは記憶にも新しいのだけど、母親と同じ薬物の過剰摂取による次女の死亡。これには彼も打ちのめされたに違いない。
わたしはずっと彼のことはフォローしてこなかったけど、バンドエイド以来、偽善者とか売名行為だったなどと批判されたり良くない噂があったのも知ってる。
でもわたしは昔好きだった人だからそういうのは信じたくなかったし、信じなかった。人間だから間違ってしまうこともあるかもしれないけど、もともとは善意からの行動だったんだと思っている。
YouTubeでブームタウンラッツの昔の曲を漁って聴いていたら、現在活動を再開しているのを知った。全然知らなかったよ、2年前にアルバムも出しているなんて。
めちゃくちゃ素敵な曲だった。すべてを乗り越え、吹っ切ったように歌うボブ。髪は白くなって年老いたけどわたしが好きだった頃のボブに間違いなかった。
2年遅れで受け取ったポストカード。嬉しくて現在絶賛ループ中。
なんか叫びたいっ!やっぱ好きだぜボブーーーー!!!
★★★
しかし現在このザ・ブームタウンラッツ、同世代のバンドに比べて低評価すぎる氣が。もっと評価されてもいいと思う。「哀愁のマンディ」ぐらいしか知られていないけど、他にももっとポップでいい曲がたくさんあるんだけどな。
そういえば今回わたしのブームタウンラッツ・ブームのきっかけになったのがボブ・ゲルドフが主演したピンクフロイドの映画「ザ・ウォール」のクリップをYouTubeで見てから。どうしてもまた全編観たくなって探したらニコニコにあった。昔観たときははっきり言って訳わかんなかったけど、今回は理解できた(たぶん)。次回のテーマかな。
Spotify : noteで書いた曲をプレイリストにしています。
前回の記事。
見出し画像:https://unsplash.com/ja/%E5%86%99%E7%9C%9F/jHvedTh-avo
最後までお読みいただきありがとうございます。
いつもありがとうございます。 世界に愛を広げていけるよう日々精進してまいります。 応援していただけると嬉しいです💛 https://note.com/purestblue/n/nabf1b9cefc7c