ウイスキーは太るのか?
「ウイスキーって飲んでも太らないんでしょう?」
よく聞くフレーズです。
では、実際のところどうなのでしょうか?
カロリーと糖質の観点から考えてみたいと思います。
厚生労働省が定める飲酒の適量は1日でアルコール量20g。
アルコール量20gとは概ね「ビール中ビン1本」「グラスワイン1杯」「酎ハイ350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当します。
アルコール摂取の適量である20gの「ウィスキーダブル1杯」60mlに対するウイスキーのカロリー摂取量は142kcalです。
ビールの場合は同量で216kcalで、赤ワインでは161kcalになりますが、本格焼酎はウイスキーを下回る102kcalとなり、ウイスキーのカロリー自体は他のお酒と比べてみるとそこまで高い数値ではありませんが、反対にカロリー摂取量の観点では非常に低い数値とまでは言えないことも、また事実です。
ただ、ウイスキーのアルコール度数は他のお酒と比較しても非常に高く、一般小売店には50度を超える銘柄も普通に販売されています。
ビールのアルコール度数が一般的に5度ほど、赤ワインで約15度で本格焼酎が25度程度であることを考えると、ウイスキーのアルコール度数は他のお酒と比較しても非常に高く、ストレートやトワイスアップといった飲み方だと血中アルコール濃度が一気に上昇し、自身の想像を遥かに上回る酩酊状態に陥る可能性が高いです。
そこに炭酸水などで「薄める」という手順を加えたり、氷を足して割り水をしたり、飲み方を工夫することで他のアルコール飲料以上の満足感を得られます。
ウイスキーにおけるカロリー摂取の観点では以上の様になりますが、続いて糖質摂取の観点で考えてみるとどうでしょうか?
糖質摂取の観点で重要なのはお酒の製造方法で、それによってお酒に含有する糖質量は大きく変わります。
お酒の製造方法は大きく分けて3種類で、醸造酒・混成酒・蒸溜酒となります。
先ず「醸造酒」とは原料に酵母を加えることでアルコールを発酵させ、アルコールを発酵させたままの状態で飲むお酒を指します。
アルコール度数が比較的低く、糖質が高いのが醸造酒です。
代表的なものは、ビールやワイン、日本酒などがあります。
特に醸造酒の代表格でもあるビールは、糖質が100gあたり糖質3.1gと非常に多い上、アルコール度数が低いことも相まって、ついつい飲み過ぎがちになる傾向が強い代表的アルコール飲料です。
また、日本酒も100gあたり糖質3.6gと糖質が多いアルコール飲料です。
単純に100gあたりの糖質量を比較すると日本酒の方が多く見えますが、一度に飲む量を考えると、ビールの方が要注意です。
調子に乗ってジョッキサイズで大量に飲んでしまえば、すぐに日本酒以上の糖質過多になってしまいます。
その糖質が高めの醸造酒カテゴリーにおいて、ワインだけは少々糖質が低めとなりますが、それでもワインにおける「辛口」に限定してのお話で、「甘口」のワインではビールや日本酒を凌駕する糖質を含有するボトルも多数あります。
ワインの種類にもよりますが、辛口のワインであれば100gあたり糖質2g程度ですから、酒量に気を付ければ糖質に関しては問題ないと思います。
次に「混成酒」ですが、醸造酒や蒸溜酒に果実や薬草、香料などの成分を付加配合したお酒を指します。
アルコール度数と糖質の両方が高めで、代表的なものはリキュールや梅酒、みりんなどがあります。
醸造酒と同等に注意したいのが混成酒のカテゴリーです。
例えば、リキュールを使ったカクテルの代表格「カシスオレンジ」では、高い糖質のカシスリキュールを果糖たっぷりのオレンジジュースで割るため、糖質は相当に高くなってしまいます。
梅酒も大量の糖蜜を使用して造られていますから、極めて少量に控えておくと良いでしょう。
最後に「蒸溜酒」ですが、醸造酒に熱を加えて気化させ、気化したものを冷却して再度液体に戻したお酒のことを指します。
アルコール度数は高いものの、蒸溜工程を経て作られているので、糖質はほぼカットされているのが最大の特徴です。
代表的なものはウイスキーやブランデー、ジンにテキーラ、焼酎や泡盛など多岐に渡ります。
前述の通り「蒸溜酒」は糖質がほぼゼロなので、糖質を制限したり気にしている人は蒸溜酒のカテゴリーを選択することをおすすめします。
しかし、せっかく糖質がほとんど含まれない蒸溜酒を選んだにも関わらず、甘いソーダやフルーツジュースといった糖質の高い飲料で割ってしまうと全く無意味になってしまうので、その点だけは要注意です。
蒸溜酒はアルコール度数が高いので割って飲む場合が多いですが、水やお湯、無糖のお茶や炭酸水など糖質を含まない飲料で割ることが望ましいです。
話をウイスキーに戻しますが、ウイスキーはよく「糖質ゼロ・糖類ゼロだから大丈夫!」などと言われますが、そこに糖質が全く含まれていないというわけではありません。
正確には「糖質ゼロの表示とは100ml(もしくは100g)あたり糖質0.5g未満」を指しています。
確かにビールなど他の酒類より糖質は圧倒的に少なく微量ではあるものの、実は完全にゼロというわけではありません。
ですから、やはり大量に飲んでしまうとある程度の糖質を摂取することになってしまうので注意が必要となります。
ただ「糖類ゼロ」という観点であれば、ブドウ糖や果糖、ショ糖、乳糖など「糖類」に分類されている甘味料は一切ウイスキーに含有していませんので、そちらは全く問題ありません。
ウイスキー自体のカロリーや糖質はお酒全体を見渡せば、そこまで高くないですが、何も考えずに飲めば他のお酒と同様に太る原因に直結します。
だからこそ「飲み方」や「おつまみ」に気をつけて、太らないチョイスを考えて実行に移しましょう。
何事も適量を守るのが健康の秘訣です。