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【専門家監修】乳児との接触出会いが未来を変える:身体接触研究の最前線

乳児のお子さんをお持ちの方は子育てで色々な悩みをお持ちだと思います。
愛情の形成では特に乳児の場合まだ話せない、表現できない、ので育てる側の戸惑いも多いかと思います。
悩まれている方は昔からいました。今でももちろんいらっしゃいます。
研究もされています。
研究成果も出ています。
ご紹介しましょう。

赤ちゃんとのスキンシップは大事

長年の見過ごしと最近の注目

心理学の研究においては、長らく視覚や聴覚といった五感の中でも、視覚と聴覚に関する研究が中心でした。触覚や身体接触が、乳児の発達にどのような影響を与えるかという点は、比較的軽視されてきた歴史があります。

しかし、近年になって、乳児期における身体接触の重要性が改めて注目されるようになり、その発達的な意義が活発に議論されるようになりました。

研究の歴史における主な出来事

  • アタッチメント理論の登場: ボウルビーのアタッチメント理論により、乳児にとって養育者との身体的な接触が、安全基地としての役割を果たすことが明らかになりました。

  • スティルフェイス実験: Stack & Muirの実験では、母親が無表情で反応を示さなくても、身体接触があれば乳児のストレス反応が軽減されることが示されました。

  • 臨床研究の発展: カンガルーケアやタッチケアなどの臨床研究を通じて、身体接触が乳児の心身の発達や、親子関係の構築に positiveな影響を与えることが実証されてきました。

このような近年の研究により乳児の発達において身体接触は非常に重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。特に、乳児の心の安定社会性の発達、そして親子間の絆形成に深く関わっていることが示唆されています。

では、最新の研究の成果はどうでしょう。

誌赤ちゃん学会機関誌

赤ちゃん学会学会誌ベビーサイエンス2024

「乳児と養育者の身体接触に伴う関わりがもたらすもの:
 日常におけるかかわりに着目して」

 石島 このみ(白梅学園大学)

https://www2.jsbs.gr.jp/LEARNED/23/target-3.pdf

乳児期の身体接触がもたらすもの:発達と関係性の深掘り

この論文は、乳児期における身体接触が、乳児の発達や親子の絆形成に重要な役割を果たしているということを、様々な研究結果を基に詳しく解説しています。

論文の主な内容身体接触の多様性: 「さわる」「ふれる」といった言葉のニュアンスの違いや、身体接触がもたらす様々な意味合いについて考察しています。
胎児期の触覚経験: 胎児期から身体接触が重要であり、自己と他者の区別を促す役割を果たしていることを示唆する研究結果を紹介しています。
親子間の身体接触: 抱っこや授乳など、日常的な身体接触が乳児に安心感を与え、親子関係を深めることを説明しています。
くすぐり遊び: くすぐり遊びを通して、乳児と親がどのようにコミュニケーションを取り、関係性を築いていくのかを詳細に分析しています。
身体接触と脳の発達: 身体接触が乳児の脳の発達に影響を与え、特に触覚刺激が他の感覚刺激よりも広い脳領域を活性化させる可能性を示唆しています。
文化的な側面: 異なる文化における身体接触の仕方や、それが乳児の発達に与える影響についても触れています。

論文の結論

この論文は、乳児期の身体接触が、単なる生理的な欲求を満たすだけでなく、乳児の心身の発達、親子関係の構築、そして社会性の発達に深く関わっていることを示唆しています。特に、くすぐり遊びのような、より複雑な身体接触は、乳児と親が共同で作り出す特別なコミュニケーションの場であり、乳児の心の成長を促す重要な要素であると結論付けています。

この論文が示唆すること
身体接触の重要性: 乳児期における身体接触は、単なる生理的な欲求を満たすだけでなく、乳児の発達に多岐にわたる影響を与える。
親子関係の基盤: 身体接触は、親子間の絆を深め、愛着形成に重要な役割を果たす。
文化の影響: 身体接触の仕方は文化によって異なり、それが乳児の発達に与える影響も異なる可能性がある。
今後の研究課題: 身体接触の種類や状況によって、乳児の発達に与える影響が異なることや、身体接触が乳児の脳の発達にどのようなメカニズムで影響を与えるのかなど、さらなる研究が必要である。

この論文が役立つ人
保育士: 乳児の育児に関する深い理解を深めたい方
心理学者: 乳児の発達に興味のある方
医療関係者: 新生児や乳児のケアに関わる方
子育て中の親: 乳児との健やかな関係を築きたい方

target-3.pdf (jsbs.gr.jp)をLLMにて要約

上記の論文の要約はGeminiを使ってまとめてみました。
保育現場から上記論文を具体例でご紹介してみましょう。

保育園生活での具体例


保育園では長い預かり時間で8時間もの時間お子さんを預かります。
1日の3分の1を保育園で過ごすことになります。
保育士は第二のお母さんと言って良いでしょう。

言葉で表現できません

機嫌のいい時の乳児は天使のようでこちらが癒されます。
しっかりと身体接触をし、脳への刺激が行くような遊びもしてあげられるといいですね。
「感触あそび」をしたときに体を触りながら言葉で「右手」「左足」「冷たいね」など乳児が分からなくても声掛けをし続けるのは大事な行為です。
泣いている理由が分からない時、乳児はその理由を言葉で自分で言えません。

感触あそび

まずは抱っこをしてみて原因を探りましょう。
普段から抱っこや寝かせ付けをしていると眠くて体が暖かくなる子か、熱で体が熱いのかまず分かります。
病気の疑いが無くなれば別の疑いへと…。
普段から身体接触をしているとその子の泣く原因が何か大体わかってきます。関係性の構築ができている、と考えられます。
普段からの関係性の積み重ねが大事です。

触覚から発達する

五感のうち触覚の発達が一番最初という研究結果があり、「在胎10週から手と顔の接触行動が観察される」という報告があります。視覚は一番最後と言われています。
乳児の身体接触の重要性を物語る研究結果事例ではないでしょうか。

ご家庭でできること


何も特別なことをしなくてもいいです。
泣いて仕方がない時、抱っこしてあげてください。
必ずしも母親だけがするものでもないです。
時間があればベビーマッサージに通うのもいいですが、必須ではありません。
ギャン泣きして仕方がない時、「ミルクを飲ませば泣き止む」という方がいます。
注意が必要です。
確かにお腹が減って泣くお子さんが多いケースもありますが、時にミルクを与えすぎて肥満傾向になるお子さんもいます。ミルク離れができないお子さんもいます。
シッカリとお子さんの状態を観察しましょう。
「ミルクを飲ませば泣き止む」のはミルクを飲むから泣き止むのではなく、身体接触があるから、や構ってもらえるから泣き止んでいるのかもしれません。
そう、赤ちゃんは我儘なのです。
話せない、歩けない、自分で何もできないので仕方がないですよね。

まとめ

赤ちゃんとのスキンシップは、赤ちゃんの心身の成長に不可欠で、特に触覚を刺激することで、安心感を与え、社会性を育み、親子の絆を深めることが、最近の研究で明らかになっています。

もう少し詳しく説明すると、

触覚が重要: 赤ちゃんは、視覚や聴覚よりも先に触覚が発達しており、スキンシップを通して外界や自分自身を認識し始めます。
心の安定: スキンシップは、赤ちゃんに安心感を与え、心を安定させ、ストレスを軽減する効果があります。
社会性: 他者との触れ合いを通して、社会性を育み、人との関係性を築く基礎を学びます。
脳の発達: スキンシップは、脳の発達を促し、特に前頭葉の発達に良い影響を与えます。
親子の絆: スキンシップを通して、親子の絆が深まり、愛着関係が形成されます。



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