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大奥OL
女たちが繰り広げる火花
企業内の派閥争い、それはまるで現代の大奥。私が勤める本社には女性社員が30名、それを取り巻くのは威圧感漂う幹部男性6名と、光り輝く社長室。業界全体では男性8割:女性2割という、いわゆる男性優位の社会だが、本社だけはその縮図を少し歪ませた、特別な空間だ。
2代目社長はカリスマ性に溢れ、その影響力は絶大。そんな社長の身の回りを支えるべく選ばれた本社の女性たち。私も気づけば、この「現代の大奥」に迷い込んでしまった一人だ。
ここでは、女たちの複雑すぎる人間関係が日々繰り広げられている。会議室での発言、ランチの席取り、グループチャットの一言まですべてが「政治」の駒となる。表向きは和やかな雰囲気だが、水面下では熾烈な駆け引きが絶えない。
「あのプロジェクト、誰が仕切る?」、「なぜ彼女があの役職に?」と噂が飛び交い、見えない力関係が社内を支配する。幹部に気に入られる女性は意見が通りやすく、仕事も華やか。一方で、力の弱い幹部に付いた女性は存在感を失い、どこか影の薄い存在になってしまうのだ。
褒め言葉に忍ばせる皮肉、会議後に漂う無言の圧力。どこまで本音を明かし、誰と親しくするかもすべて均衡の上に立つ。今日もこの「大奥OL」たちの笑顔の裏では、静かに火花が散り続けているのだ。
「んなバカな~!!」と思うかもしれないが、私たちにとってどの幹部に気に入られるかで今後の運命が大きく変わる。力の弱い幹部付きの女性たちは隅に追いやられ、手を挙げてくれないと出社しているかすらも分からないような存在になってしまうのだ(笑)
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前職では女だらけの職場で鍛えられた私だが、明らかにここの女性たちと夜の世界の女性たちは違う。何が違うかといえば、「自信」だ。夜の世界の女性たちは自分の価値を信じ、自分を認める強さを持っていた。一方で、ここにいる女性たちは長年男尊女卑の中で働き続け、自虐の鬼と化している。「すみませ~ん、BBAで~」とか「若い子にお願いすればいいじゃないですか~?」なんて、自分を下げる言葉が飛び交う世界。
そして若さだけが武器の「姫」たち。彼女たちはミスを笑って許され、お菓子をつまみながら無邪気に喋り倒す。そんな姿を見て、年配女性たちが嫌味を言いたくなるのもわからなくはない。でも私はそのどちらにも属せず、中間地点で冷ややかな目線を投げるだけだ。
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ヒステリックな声が飛び交い始めると、男性たちも大変だろうな…と同情しつつ、(私もいつかこうなるのだろうか…)と不安になる。ここが本当に令和6年なのか、大声で叫びたくなるほど時代錯誤な職場環境。でもこの現実を、私は広報担当として「愛される企業」だと発信しなければならない…。
日本企業に永く根付いた風土は、そう簡単には変わらない。最近メディアを騒がせている○A建装も、まさに同じ闇を抱えているように見える。でも、だからといって私は染まらない。流されず、自分らしく、キラキラと戦っていこう。
過去になかったような「新しい存在」になればいいのだ。
がんばれ、わたし!!