
漫画『かぐや様は告らせたい』がガチで名作だった話
最初に言い訳になるが、かぐや様を読み終えたのはこの執筆時点から起点して
3ヶ月以上前になる。従ってある程度その時の感動と記憶が薄れてしまった上での感想になってしまう、のが申し訳ないくらいのガチ名作。
まずこの漫画を読み終わった後の深い喪失感は忘れない。
胸に残る空虚な悲しみと別れの切なさ
その痛み一つ一つが如何にこの作品が名作だったかを物語ってくれる。
特に何も感じないような作品であればそれが終わったとしても
とりたてて感傷の念は湧かない。寂しい思いが湧くというのはそれ自体が名作の証なのである。
かぐや様にはそれがあった。
最終章を見届けた後の、物語がこれで終わってしまうという切なさと
彼らの物語をもっと見続けていたいという恋しさと
それらが一挙に押し寄せて深い深い悲しみとなって胸を満たす。
いや〜〜〜〜〜〜〜名作でしたねェ
もう素晴らしかったです、人生で出会えてよかったマンガリスト入り
殿堂入り作品ですわコレは。
何がよかったかを一言で語るのは難しいが、やはり優れた作品は
優れた人間描写が欠かせないと思う。
人間ドラマとして私たちが物語を見ている性質上
私たちがその登場人物たちに共感し、寄り添い、一緒になって物語に入り込めなければ到底名作たりえない。
名作は得てしてその人物を描写するのが上手い。というかここは良い物語を作る上での必須の条件とも言える。キャラクターが生きているのである。
アレコレ名シーンはあるが、やはり特に2つのシーン
個人的にこの物語を語る上で欠かせない2つのハイライトにスポットを当てたい。
最初の1つ目は初めてのキスシーンである。
もうね、、、コレはもう芸術!

ただただ美しいと思った。
そこに至る過程も思いも、全て
このキスシーンも色々あっての、ついに!
なんだけどその直前のかぐや様が一度は決心を固めるけど
やっぱり告白するのは怖くて思わず泣き出してしまうシーンも
これがまたたまらんのですよ・・・
恋愛の酸いと甘さを一挙に描き出した恋愛漫画屈指の名シーンだと思う。
貴方から告白しれくれれば、成功率100%なのにと涙を流すシーンは
おおよそ恋をした事が1度でもある人類なら、全員が全員胸を締め付けられるシーンだろう。


この恐怖感、胸の苦しみ、痛み
誰もが経験したその感覚を、読んでいる読者全てに伝わる様描く表現力
そしてその展開、
そして最後に冒頭に提示したキスシーンに至るカタルシス
コレほどの快感はない。
恋という誰もが経験する事だからこそ
誰しもがこのシーンのかぐや様の恐怖と
そしてそれが報われた時の嬉しさを感じる事ができる筈である。
そんな当たり前があちこちに散りばめられており、
その一つ一つがどれもまるで実際に自分の身近に経験したかの様な距離感で
見る事ができる。だからこそこの物語が終わる時にはまるで彼らと本当に別れてしまったかのような寂しさに襲われる。
このキスシーンを経て、2人は恋人しての関係性を徐々に歩み始める訳だが
ちなみにこのキッスの後日談もいいのよね。
かぐや様が最初からぶっ飛ばして大人のキスをしてしまう事が後にわかっちゃう早坂との件は大好きすぎて何回も読み返してしまったくらいである。
早坂のちょっと大人な感じででも実際はやっぱり等身大の女子高生なトコも
とてもいいです。
キッスに憧れはするけど未経験なそんな大人にはなり切れない早坂の等身大な感じが、コレこそが生きているキャラって感じがする。
初期から早坂はパーフェクト人間的なキャラで、ナゾにコンピュータハッキングできたり、メイドさんだったりそれだけでまあ人外なんだけど、こういう時には普通の女の子なんだと感じさせるシーンが人間味があっていい。
物語に必要なのはその感じなのかもね。
話を戻すと、恋人関係になった2人は後日初体験をすることになる訳だが、
ココもまたいいんですよな。
何というかこの、すげーリアルな感じ?
想像できる感じ。友達の初体験の話を聞いているみたいな
自分の初体験もそんな感じだったなと思えるその感じ。
何度もいうがこの物語の魅力は登場人物たちのリアリティと親近感にあると思う。
だからこそ本当に物語に入り込んだような感覚で応援したくなるし
彼らが嬉しい時には読者である私自身も嬉しいと思う。
そんな感じで2人が初めての関係を結んだ時も、長く見ていた友人が
やっと結ばれたか、というのを見届けられた嬉しさに通ずる感情を抱くことができるのである。
いや〜〜〜〜〜
でもこの感想やっぱり読んですぐのあの情熱のままに書きたかったな
今書くとなんかこう少し気の抜けた距離ができたよそよそしい感想になっちゃった気がして少し残念である。
でもマジで面白かった、名作入り。