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おおおとはじめ
2024年7月20日 00:00
探偵事務所。私はソファーに座る。テーブルには薬酒だ。私は格調高い背広を着ていた。市民は普段着を変えない。これは歴史単位の流行だ。 猫島めいは私の隣に腰掛けていた。いつものドレスだ。 私はメモ帳とペンを見ている。よくある掌サイズのメモ帳だ。私はパラパラと白紙をめくる。ペンも、普通の量産品だ。何の電脳的仕組みもない。「それは何?」「『宝石』対策の道具だ」「メモ帳とは古風ね。何か
2024年7月11日 21:00
【1幕1場】「女の虚栄心は、北風のせいだわ」と女。「だから貴方が温めて、と君は色男を口説くのだね」と私。 和服美人が、ソファーで棒付き飴を舐めていた。当たり前のように居座っている。もう30分はそうしていた。彼女は、事務所が生活圏のつもりでいる。 背の高い女だ。細顔の、長い髪を櫛でまとめている。名前は猫島めいだ。黒い和服には金粉のあしらい。西洋の化粧をしている。金の小鞄を提げていた。