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落語の話

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#落語

「米津玄師/死神」の話

「米津玄師/死神」の話

ぷらすです。
「落語の話」という僕のマガジンの中に収録されているテキスト落語という、落語を文章に書き起こしたシリーズは、アップしてからずいぶん経った今でもたまに読んで下さる方がいらっしゃるようで。その中でも「死神」という話の書き起こしはありがたいことに今だにスキを頂く事も多いです。

で、最近またちょこちょこ「死神」にスキを頂いていて、はて何だろう?と思ったら、どうやら最近、米津玄師さんがリリース

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noteユーザーの結希 遊さん( https://note.mu/yumeno_yuto )が、僕の書きおこした落語「死神」の朗読をYouTubeにアップしてくれましたよー!!
とても達者な語りでグイグイ引き込まれました!
ぜひ、ご視聴下さい!
https://www.youtube.com/watch?v=ZDygIHDQFEE&feature=youtu.be

昭和元禄 落語心中の話

昭和元禄 落語心中の話

え、ドーモ。ぷらすです。

以前、今期観ているアニメを挙げるという記事をアップしたんですが、その中でもダントツに面白いのが『昭和元禄 落語心中』です。

アニメ化されると聞いたときは、正直、期待半分不安半分でした。
今まで古典芸能を扱う原作を、ドラマ、映画、アニメ化したものを観るたび、『古典芸能』の部分がおざなりだなーとガッカリしてしまうことが多かったからです。

ところが、本作の1話を観て、そん

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「テキスト落語」文七元結

「テキスト落語」文七元結

 一、

 江戸時代の本庄だるま横丁に左官の長平衛という、大変腕のいい職人さんがおりました。

 しかし、千里走る馬には何かクセがあるもので。
「飲む、買う、打つ」の三道楽。
 中でも一番いけないのが、博打でございます。

 悪い仲間に誘われて、ちょいと遊びのつもりで手を出したつもりがすっかりクセになってしまい長兵衛、三年この方仕事をしていない。
 それでも勝てばいいけれど、負けが込むと仕事の道具

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「粗忽長屋」の噺

「粗忽長屋」の噺

ぷらすです、こんばんは。
今回は、古典落語の枠を超え「哲学」の域に達した噺。
「粗忽長屋」の話です。

「粗忽」っていうのは、今風に言えば「間抜け」とか「おっちょこちょい」みたいな意味ですね。
で、この噺は短い噺だし、そんなに登場人物も多くはありません。
落語には、おっちょこちょいが何かしようとして失敗する『粗忽噺』というジャンルがあるらしいんですが、三代目 柳家小さん(1857~1930)は、そ

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「まんじゅうこわい」の噺

「まんじゅうこわい」の噺

ぷらすです、こんばんは。

「寿限無」の時にも名前を出したんですが、今回の「まんじゅうこわい」は「寿限無」「目黒のさんま」などとともによく知られた噺で、東京では若手が鍛錬のために演じるいわゆる「前座噺」のひとつとされているそうです。

ストーリー

暇を持て余した若者たちが数名集まって駄話をしているうちに、それぞれが怖いモノを言い合うという展開になっていきます。

ある者は「クモが怖い」と言い、ま

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「らくだ」の噺

「らくだ」の噺

ぷらすです、こんばんは。

今日は、僕が知る古典落語の演目の中でも、一番パンクな噺。
「らくだ」について書きたいと思います。

この「らくだ」というのは、砂漠にいるコブ付きのラクダじゃなくて、人のあだ名です。
といっても、そのあだ名の由来は動物のラクダなんですけども。(ややこしい)

1821年(文政4年)、江戸の両国に見世物としてラクダがやってきたんだそうです。今でこそ日本で知らない人はいないラ

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二代目 桂枝雀の噺

二代目 桂枝雀の噺

ぷらすです、明けましておめでとうございます。

突然ですが、古典落語が好きです。

まぁ、好きと言っても、落語や落語家さんに詳しいわけではなく、ただ聴くのが好きっていうだけなんですが。

落語を観られるテレビって今はNHKか「笑点」くらいですけど、僕が子供の頃は民放でも落語の番組が結構あって、夜のゴールデンタイムに30分前後の大ネタをやってたりしてたものです。

で、基本、落語の名人ってみんな高齢

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「目黒のさんま」の噺

「目黒のさんま」の噺

ぷらすです、こんばんは。

今回お話するのは、古典落語の中でも有名な演目「目黒のさんま」です。
秋刀魚が登場するので秋の噺として広く知られていて、この噺にちなみ、目黒駅を挟んで品川区上大崎 では「目黒のさんま祭り」 目黒区 では「目黒SUNまつり」が毎年秋に行われているそうで、この祭りの際には出し物の一つとして落語家さんを呼んで「目黒のさんま」を演るそうです。

では、この「目黒のさんま」がどんな

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立川談志と「芝浜」の噺

立川談志と「芝浜」の噺

ぷらすです、こんばんは。

例えば、落語を聞いたことがない人でも、落語に興味のない人でも、ある年齢より上の世代の人なら「立川談志」の名前を知らない人は、まずいないのではないでしょうか。

バラエティーやワイドショーで本人を見た人も多いと思いますし、ビートたけしさん、爆笑問題、伊集院光さんなど、芸能人の話を聞いて名前を知ったという人も多いと思います。
かくゆう、僕も最初はビートたけしさんのラジオで名

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六代目三遊亭 圓生の「死神」

六代目三遊亭 圓生の「死神」

#落語

ぷらすです、こんばんは。

古典落語の噺の中に「死神」という演目があります。
これはあえてジャンル分けするなら「怪談噺」になるんだと思いますが、その出自も演出もちょっと異色な演目だったりします。
この「死神」、幕末期から明治期にかけて活躍した初代 三遊亭圓朝という人が、ヨーロッパの死神説話を元に創作した噺だそうで、元になった物語は、グリム童話の『死神の名付け親』もしくは、オペラ『クリスピ

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三代目 古今亭志ん朝と「文七元結」の噺

三代目 古今亭志ん朝と「文七元結」の噺

ぷらすです、こんばんは。

落語の人情噺はいくつもありますが、以前書いた「芝浜」と並んで有名なのが、今回の「文七元結(ぶんしちもっとい)」ではないかと思います。

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ストーリー

江戸の下町、本庄「だるま横丁」という裏長屋に、左官屋の長兵衛という腕の立つ職人がいました。
ところがこの長兵衛、悪い仲間に誘われてうっかり博打にのめ

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