【読書日記】4/3 人の祈りが結晶化したものが仏像 (800字)
仏像を見るのが好きで、大学時代に奈良や京都の寺院によく足を運んでいました。これまで見た仏像の中では、広隆寺の弥勒菩薩像が一番印象に残っています。心がしんとなるような厳かな雰囲気が、周りに漂っていたことを覚えています。
『仏像 祈りの美』は日本の仏像を詳しく解説した本です。如来、菩薩、明王、守護神という仏像の四つの種類について詳しく語られています。
たくさんの仏像の写真が収録されており、見ごたえがありました。法隆寺釈迦三尊像といった有名なものから、執金剛神といったややマイナーな仏像まで、多くの写真が収録されています。
1974年発行のかなり古い本です。写真も古めかしいのですが、味わい深いです。昭和の雰囲気を現代に伝えています。一つ一つの仏像が持つ美しさを感じ取ることができます。
この本を読んで驚いたのは、仏像の種類の多さです。如来や菩薩のことは漠然と知っていましたが、明王や守護神といった仏像があることは、初めて知りました。。前者はバラモン教の神々が仏教に取り入れられたもので、例えば、シヴァ神は不動明王になったそうです。
明王はいずれもいかめしい顔をしており、この世の悪や災厄に立ち向かうのにふさわしい迫力のある姿です。頼もしさを感じました。守護神はバラモン教の神々が取り入れられたもので、例としては秋篠寺の帝釈天などがあります。
このように他の宗教を取り込んでしまうところが、仏教の懐の深さです。厳格な一神教の宗教とは異なります。どの宗教もつながっている部分があり、それを意識することは面白いと思うのですが、キリスト教で否定されています(一応クリスチャンです)。
収められた写真を見ながら、仏像は改めて良いものだと実感。副題にあるように祈りと美を表しています。人が一生懸命に祈る姿は美しいです。どんな人の祈りも尊いものと思っています。そんな人の祈りの心を昇華し、結晶化したものが、仏像と言えるでしょう。
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