パズルのススメ
「ねえ、お正月にウボンゴやろうよ」
ある日の夕飯、娘のぴーちゃんからの提案だった。
パズル好きの私と息子のすばるは目を合わせて、ニヤリ。
「じゃあ、今日やろうよ」
ということで、久しぶりのウボンゴ大会決定。
ウボンゴとは、カードに記された枠にパズルのピースをはめ込んでいくゲーム。いち早く完成させた人が勝ちとなる。揃えた人は「ウボンゴ」と言って、皆に知らせる。モヤモヤさま〜ずでもお馴染みのゲームだ。
かなり前に購入したけれど、近ごろは飽きていたのかリビングの端っこに追いやられていたウボンゴ。
夕飯の片付けも済んで、早速3人でウボンゴ大会の開始だ。
カードの裏表で、難易度の違いがある。久しぶりということで、まずは簡単な面からスタート。
それぞれ、好きなカラーを選び、自分のカードとパズルピースをスタンバイ。「せーのっ」の合図で、裏返していたカードをひっくり返す。カードに描かれた、決められたピースを手元に寄せる。
それぞれ、自分の手元に集中。
ひたすら、ピースを置いては、どかして、ひっくり返したり、他のピースに持ち替えたりと忙しい。内心ドキドキだ。緊迫の時間。頭はフル回転。
沈黙の中、
「ウーボンゴッ!」
なんと最初に完成させたのは、この私だった。
久しぶりのウボンゴで、若い2人より先に揃えたので私は有頂天になった。
以前から、このゲームをやると勝った者が、大袈裟に喜ぶのが3人の楽しみ。
有頂天の私は、手を挙げリズムに乗って「ウーー、ボンゴ、ボンゴォー」と調子に乗って喜んだ。
喜びも束の間、2人も続いて完成させた。
私が素早くパズルを完成させたので、次は難易度を上げてゲームを進めた。
お母さんが出来るなら、いつもの難易度で良いだろうということらしい。
その後は、すばるの勝ちが続き、ぴーちゃんも「ウボンゴ」の声をあげる。気がつけば、カードは最後の1枚だ。そう、私は最初の1枚しか勝っていないのだ。やっぱり、若い2人には敵わないなとちょっと落ち込んだ。
その後の私の成績は、第2回戦では1度、第3回戦では2度だけ、ウボンゴと言えた。
圧勝したのは、すばる。
僅差でぴーちゃんが2位。
私は、ぶっちぎりの最下位だ。
20歳前後の2人相手なので、私は最下位。
そう考えれば、納得の行く結果。
でも、待てよ。
以前読んだ本には、何歳になっても脳は鍛えられるって書いてあったはず。最下位で納得していちゃいけない。まだまだ、伸びしろはあるはず。そう自分を励ました。
実は、その夜から、こっそりとウボンゴをしている。もちろん、1人で。これが、なかなか楽しい。
パズルがピタリとハマると気持ちいい。しかも、以前よりは時間もかからなくなってきた。
脳も鍛えられると思えば、楽しいことが増えるんだ。年齢のせいにしないで、何でも楽しくやっていきたいな。
脳を鍛えることも、大きな声で「ウボンゴー」と言うことも、どんどん楽しみたい。
負けた悔しさからの行動ではなく、喜びを得ることに目的があるから楽しいのかもしれない。
ちなみに「ウボンゴ」とはスワヒリ語で「脳」を意味するらしい。ネーミングもこのゲームの魅力。