小説に導かれ倉敷へ
原田マハさんの小説に夢中な私。マハさんといえばアート小説。もう読めば読むほど作中のアーティストを知りたくなる、あの有名な絵はどんな時代背景や交友関係のあった頃のものだろう?今はどこにあるのか?どんどん興味が湧いてくる。そして、作品に会いたくなるのだ。
そんな私は、マハさんのせい?(おかげ)で旅に出ることにした。あっ、旅と言っても一泊なのだが、、
きっかけは「楽園のカンヴァス」「ハグとナガラ」「板上に咲く」「リーチ先生」を読んだこと。作品を読んだことのある人はピンとくる場所。倉敷の大原美術館が目的だ。ここでは時間を気にせず思う存分作品を味わうと決めていた。
岡山到着後、すぐに美観地区へ向かった。そして、大原美術館を見つけた瞬間は、あー、やっと来た、やっと会える!と興奮状態。いざ中に入って、はやる気持ちを抑え“ひと呼吸”おいてから作品をじっくりと鑑賞した。やっぱり実物は違う、本物の迫力に圧倒された。
来て良かったと何度も思った。
なかでも、工芸館での時間は至福だった。平日で人も少ないのでほぼ貸し切り状態。お目当ての作品にもご挨拶して、ひとりニヤニヤ。前を見ても後ろを見ても、右にも左にも素晴らしい作品。この部屋が自宅だったら、、などと考えながら、じっくり、のんびりのんびりと鑑賞させてもらった。作品のみではなく、建物の内装、階段や床などの細部、軋む音、空気までが素晴らしかった。ここまで来る気持ちにしてくれたこと、作品と対話できたこと、マハさんのおかげだ。小説のチカラって凄いなとしみじみ思った。ありがとうマハさん。
旅の目的を充分堪能した後は、阿智神社へ夕日を見に行った。ここでも、予想以上の燃える夕焼けに迎えられ、思わず感動のため息。
ここでも、マハさんありがとうと思う。
その後は、(勇気を出して)近くのワインバーで軽く一杯飲んで、ホテル近くの居酒屋へ食事に行く。
というのは当初の予定。
実際は、このワインバーの雰囲気がとても気に入ってしまったのだ。
私の席にはかわいい虎の張子が置いてあった。指先で頭を押すと、ぐわんぐわんと揺れてなんとも言えない動きだ。
カウンターからは、観光で来たという1人のお客さん同士の会話が聞こえる。そのお客さんとお店の人のやりとりなども聞きながら、目の前のかわいい虎の張子を眺めながら、小鹿田焼きらしき器を眺めながら、、、心地よい会話を聞きながら、ほんの少しだけ仲間に入りたいなと思いつつも、ひとり楽しく過ごしていた。居心地良くて、おかわりしながら。
しばらくしてカウンターが空き、お店の人に案内された。嬉し恥ずかしな気持ちとほろ酔いの勢いでカウンターに座った。
私が座った隣りの女性は地元の常連さん。とても人当たりが柔らかくて、話してみたら同じ歳ということが判明。それだけのことだけど、なんだか心がほぐれた。お店の人もとても感じが良く、ちょっと前まで東京に居たとかでお店の情報を聞けたり、美味しいカレー屋も教えてもらった。
結局、ワインを5杯ほどいただきホテルへ戻ったのだ。
こういう時、コミュニケーション上手な人なら連絡先を交換したりして、その後1.2回はやり取りしてお礼言ったりするんだろうな、、すれば良かったかな、、振り返ると、帰り際があまりに突然で、ドライだったような。印象悪かったかな?なんて少し反省の帰り道。
一人旅初心者にしては上出来かな。
こうして1日目は終了。
つづく