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クローブは家庭の常備薬 実験研究してみた

コロナウイルスの影響で夏休み生活も3ヶ月目に突入!!
まだまだ夏休みは続きそうなので自由研究の時間です!(仕事ないだけ)
スパイスに興味がない人もぜひ読んで、わたしの貴重な時間を返して!ってコメントを残していってくれたら僕の努力も報われる気がします!

●実験

某界隈で、スパイスの加熱時の油による変化や影響を調べてみようという話になり、自分はクローブの加熱による芳香、風味の変化に油が及ぼす影響や、ホールとパウダーによる違いを調べる事に。

【方法】
アルミホイルで作ったカップに4パターンを用意
・a1 クローブホール1g
・a2 挽きたてのクローブパウダー1g
・b1 クローブホール1g+油9g (約小さじ2)
・b2 挽きたてクローブパウダー1g+油9g (約小さじ2)
油は風味の少ないひまわり油を使用
これらを同時に200°Cに設定したオーブンレンジで加熱。

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(我が家のオーブンレンジ、設定温度より実際の温度が低い疑惑あり)
様子を見ながら加熱、5分ぐらい経過したあたりから油ありのb1,b2のクローブから気泡が出てきたので、そこから1分加熱。トータル6分ほど加熱した。

ちなみに加熱前のクローブは皆さんご存知の通り、甘さも刺激も兼ね備えた薬のような薬膳感ある香り。漢方って感じ。肉の臭み抑えとして定番選手。
かじると硬く、舌が痺れて感覚がなくなる。あれだ、歯医者の麻酔みたいな。
もしくは正露丸。さすが防腐、殺菌、鎮痛作用のあるスパイス。
加熱前はホールよりパウダーの方が香りは強かった。
挽いて数週間経ったパウダーは少し香りが落ち着く。

加熱後↓

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加熱直後、温度系で油の温度を測ってみた。約130℃
測定に少し時間がかかるのでもう少し高い温度だったかも知れない。

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【結果】

・見た目
乾煎りホールのa1は表面が白っぽくなりぷっくりと膨らんでおり、乾煎りパウダーのa2は表面が焼けてコゲ茶から黒色になっていた。どちらも煙があがった。
ホール+油のb1は気泡が少し出てるが状態変化は特になし。加熱時間が足りなかった?
パウダー+油のb2も気泡が出て油が茶色くなった。

・香り
a1とa2はどちらも加熱前に比べて鋭さがなくなり優しく芳醇な香りがする感じ。
しかし、a1を砕いてみたらびっくり!
上質な浅入りのコーヒー豆を挽いた直後の様な、豊潤で厚みのある香り。もしくは高級カカオのチョコとかそっち系。おまえ、本当にあのクローブなのか?と疑ってしまう。
何年も前から友達だったあの子の知らない一面を知ってしまい、突然ぼくは恋に落ちた。みたいな…
油ありのb1とb2はクローブ特有の甘い豊潤な香りが乾煎りの2つより強く出ていた。特にパウダーのb2は香水にしたいぐらいだ。
しかしa1を砕いた時には叶わない。

・食
脱いだらすごいa1、食べてもすごかった。
カリッと噛み砕き、良い香りが口に広がったかと思いきや、劇薬カプセルが口の中で弾けたような衝撃的不味さ。不味いとも違う刺激、エグミ、痺れる感じ。
加熱前のクローブより刺激が増している。正露丸を噛み締めて食べたらこんな感じなのかしら…
恋に落ちた勢いでワンナイトを過ごしてみたものの、一瞬で覚めた、そんな一夏の恋か…←だまれ

a2はただの苦くてエグミのある黒い粉。コーヒーの出がらしを食べている様な気分を味わえる。a1の様な裏切られた感はないからまだマシに感じた。
b1は油に浸っているがカリッとした食感で、a1ほどの劇薬感は無く、まだ食べやすい。特有の不味さ、エグミは遅れてくる感じ。
b2はエグミが1番少ないが粉を食べている感じはa2と変わらない。
どんな加熱処理であれ、クローブは単体で食べるものじゃない。
話それるけど、フェヌグリークシードも似たようなギャップがある。あいつも加熱するとメイプルシロップみたいな香り出すくせにめちゃ苦い。注意だ。

・追加でオーブントースター850wで2分加熱

オーブントースターの方が早く加熱できるみたいで、油ありの方はすぐにしっかり気泡が出はじめた。
a1はより白くなり、劇薬レベルは変わらず。a2はより焦げた粉に、そして香りが結構飛んだ印象。食べた時の舌にくる刺激も少ない。
b1、b2はさっきより油に香りが移ったかなという印象。

・3時間放置

a1は砕くと相変わらず良い香り。挽きたてのコーヒー豆感。食べるのは怖い。
a2は香りがかなり飛んでいる。
b1,b2は加熱直後より落ち着いた印象。油そのものをティッシュに含ませて嗅いでみると甘い香り。b2の方がより強く香る。
b1は数時間油に浸りっぱなしにも関わらずカリッとしていた。カレーに入っているクローブがカリッとした食感だった経験がないのでこれはびっくり。食べたあとの香りの感じ方に変化はなし。

・思い立ってクローブホール1g+水9.5g(小さじ2) も実験

こちらを手っ取り早く試してみようと、オーブントースター850wで4分ほど。ぶくぶく沸騰したぐらいで引き上げた。
今までに得られた豊潤な甘い香りは無く、常温の時の香りがそのまま引き立ってるだけの印象。口に入れてかじると、カレーに入ってるホールクローブと同じようなグニッとした食感。そして凄まじい刺激。ひたすらに不味い。不味いランキング堂々の第1位だ。一かじりしてすぐに吐き出した。
冷めたクローブ水をティッシュに浸して嗅いでみたけど加熱して得られる豊潤な香りはなく、加熱前に近い香り。殺菌、虫除け効果強そうだ。不味い。


考察、発見

僕はクローブを使うとき、ホールの場合はスタータースパイスとして初めに油、その他のスパイスと一緒にテンパリングして使っていた。
今回初めてクローブだけを油でテンパリングしてみて、熱を加える事によって香りの質が変化し、豊潤な香りが得られる事に気がついた。
同時に加熱前の鋭さは和らぐ。しかし水でその効果は得られなかったため、一定温度以上に加熱する必要があるのかもしれない。水だと100度ぐらいまでしか上がら無い、つまりメイラード反応が起きない?
今度は油に入れたクローブを低温調理で加熱し、香りの変化があるか確かめる必要がでてきた。実験したら追記します。

パウダーの乾煎りは一番香りが飛んだ。食べても特有の刺激がほとんどない。
つまり加熱をし続けると、主成分のオイゲノールはどんどん揮発?してしまうと思われる。
ホールの場合は乾煎りをしても豊潤な香りが劇薬の様な刺激と一緒にしっかりと中に閉じ込められている。多分鍋の中で加熱を続けてもジワジワと香りを出し続けてくれる。
クローブは開花する前の花蕾らしい。他のスパイスは植物の種子がほとんど。よく思うけどスパイスの定義って何なんだろう。捉え方や使い方次第では玉ねぎもスパイスだと思う。蕾の構造が気になってきました。

油がある方は乾煎りに比べ、香り成分が空気中に逃げ出さずに油に移ったと思われる。そしてわかっていたことだけど、ホールよりパウダーの方が油に抽出される香り成分は強い。多い。
これは昆布出汁を取る時、昆布に切り込みを入れておいた方が出汁がよく出るのと一緒かな。
近々試したいのが、乾煎りして砕いたクローブをチャイに使う。
液体で煮るだけでは得られない香りが抽出されるかも知れない。


自分がカレー作りでクローブを使用する時の話

ホールで使うことが圧倒的に多いスパイス。そしてだいたい肉系。
パウダーの場合は割と中盤か後半に他のパウダースパイスと一緒にカレーに加える。入れ過ぎ注意なパウダースパイスの1つ。使っているかわからないぐらいで使うことが多い。
あえてわかるように使って薬膳感を出すときもある。
その場合は他の要素も強めにしてバランスを取る。例えば玉ねぎのメイラード反応具合、食材の旨味やコクの度合い、油量、辛さ等。

ホールで使うと全体のグレービーに行き渡るクローブ感は控えめ穏やか、たまにホールが口に入った時にぷわぁーと広がる豊潤な香り。みたいになるよね。
一口一口が変化に富む面白さが生まれるというか。急にドラマーがフィルを入れてきたみたいな。
パウダーだと、どこを食べても同じクローブ感、最後の一口まで続くクローブ感、そう同じリズムの継続によるトランス感、グルーブ感が生まれる気がする。

Hey Yo!! クローブでグルーヴ かましてキミをもてあそーぶ!!
そんなおれ実はナイーブ!!

…こんなラッパーいたらやだ

結局、どんなカレーにしたいかで使い方を変える。
クローブだけだと突出しやすいので、他の豊潤な香り系スパイスと組み合わせて厚みのあるボトム感を作るイメージで使っているかも。150Hz〜300Hz辺りに作用している感じするよね。※音の帯域の話
クローブ、シナモン、カルダモンの3つはチャイに一緒に使われる事が多い定番スパイス。
ベンガル地方のシンプルなガラムマサラのレシピで、この3つだけってのを見たことがあるし僕も常備している。

最後に、クローブに関してスパイシー丸山さんがとても良い記事を書いてくれているのでシェアします。僕のふざけたnoteよりちゃんと効能等についてまとめてあります。クローブは素晴らしいスパイス!もはや常備薬!
https://ameblo.jp/maruyamashu/entry-12128718535.html

まとめ

乾煎りクローブを割った時の惚れ惚れする香り、食べた時の劇薬感はすごかった。
今度から我が家のホームパーティーの罰ゲームは
「乾煎りクローブを食べる」にしよう。
一応、身体にはいいし薬効もあるし、激辛カレーとかよりもいいですよね。

以上。

スパイスだけに関する文章、ブログを書いたのはこれが初めて。
意外と楽しかったし、こんなに書くことが湧いてくるとは思わなかった。
機会を与えてくれたカレー哲学さんに感謝です。

この方のnoteや文章を読む様になってから、カレーという存在に哲学を感じることはおかしなことなんじゃなく、自然なことなんだと思う様になった。
哲学というものが何かあまりわかってないけど、自分がカレーについてぼんやり思っていたことって哲学的なことだったのかもと気づいた。考え方とかも最近けっこう影響受けてる。noteもブログも読みやすくて面白いのでオススメです。
カレーとは何か、まだ僕は説明できないけど自分なりのカレーを表現、体現できたらいいなあと思う。


追記

クローブでピアス作った。

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薫るピアス。
無くしてもたくさんあるし、薬効ありそうです。
チャイ作る時とか耳からポイっと
カレー食べててスパイス感が足りない時とかガリガリ削ったり



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