読了。
この本は、発売当時に読みたいなと思っていて、それからしばらく忘れていたのだけど、ふとした時に図書館にあることがわかり、予約をして借りたもの。2〜3か月待ったと思う。この本に関心を持つ人が沢山いて喜ばしい限り。というのも、
ということが書かれている、今まさに読むべき本だと思うので。
国を信じている人は多いと思う。国が推すワクチンが危険なわけがない、からみんなこぞって接種した、結果は? 国は国民を守るためではなく、搾取するために生まれたものだ。そのことを考えれば、盲信して良い相手とは言えないのではないだろうか。
「漢民族と少数民族とは同じルーツをもつが、国家に所属することを選んだのが漢民族で、それを拒否したのが少数民族」というのは衝撃だった。それを踏まえると、なぜ中国があのような体制をしいてあれほどの数の人民を統制することに成功し、少数民族を迫害しているのかすんなりと腑に落ちる。
今このことに気がつく人が少しずつ増えているように思う。野生動物に近い暮らしをしていた頃は、生命を維持できるだけ食べられれば生きられた。「国家」ができると、自分が食べない分まで生産し、拠出することが求められるようになった。「国家」は人民から搾取したものを蓄積してゆく。「国家」と組んだ資本家に煽られるがまま、もっとお金があればあれも買える、これも買える、と尻を叩かれて働きつづける。自分の欲望を叶えるために稼いでいると思っているけど、その欲望は自分に内在するものではなく、メディアやSNSから刷りこまれたもの。そんなことよりもっと大切にしたいことがある、とドロップアウトする人が増えている感じ。
ほんと、選挙のたびに「誰がこの人に投票してるの?」と思うような候補者ばかりが票を集めていて、心底ばかばかしくなる。ただし棄権はさらに与党を利するだけなので、いちおう投票には行くんだけど、「参加している感」のためだということは理解しておいたほうがいいと思う。既存の仕組み、選挙によってしか世の中を変えられない、という思いこみを捨てないと、いつまでも他人(政治家)まかせから脱けだせない。
「やってる感」にすぎない選挙権にしても、国がどうぞどうぞとくれたものではなくて、こちらから要求して渋る国から勝ち取ったもの。今の社会だって完成形ではなくて、まだまだ足りないものがあるのだから、必要なものは要求していかなければならない。
素晴らしい言葉が多すぎて、引用が大量になってしまった。
内容もさることながら、個人的にとても好きな文体だった。私は硬めの内容を扱った文を書くことが多いので、それをいかに読みやすくするかいつも苦心していて、漢字をなるべくひらくことなど心がけている。本書のひらき加減は絶妙で、なかなか難しい話だけれども、するすると入ってくる。
おすすめです!