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三宝湯でマリオを走らせる

「ゆーとも小松」のテキストにて、上新庄は不思議なところと書きましたが、都会的な南口を出て、ネオンひしめく駅前を潜り抜け、東海道新幹線の高架の下を10分も歩けば、たちまち郊外のロードサイドっぽい街並みに切り替わるところもまた不思議です。

かみしんプラザという商業施設や、大阪経済大学があるので、閑静というほどではありませんが、駅前のような喧騒はない。周りは地元の子供たちと大学生ばかりで、ほんの10分前まではサラリーマンで埋め尽くされていた世界が、いきなりガラッと変わる。

このあたりは瑞光四丁目というところらしく、地下鉄今里筋線の駅もある。

のですが、この瑞光四丁目駅、大阪の地下鉄駅の乗降者数、全107駅中での第100位と、ほぼワーストを記録してしまっているのだそうな。今里筋線そのものがかなりの赤字経営らしく、ほとんどの駅が100位前後で苦戦を強いられている模様。

かくいう自分も、あまり使ったことがありません。

大阪駅や難波駅のような大規模駅に繋がっていないのもネックなのでしょうか。もともとは上新庄駅と接続させる計画もあったようですが、なんかゴタゴタで立ち消えたらしい。

上新庄駅からかみしんプラザや大阪経済大学までは1kmほどの距離があって地味に遠いので、そのあたりに駅を設けてはどうかとも勝手に思いましたが、大阪駅まで210円で行けるバスが運行されており、上新庄駅前も経由するので、すでにその需要は供給されているみたい。

実際には大阪経済大学の生徒はほとんどが歩いて駅まで帰っているようだったし、遠方からかみしんプラザに行く人もあまりいないと思われるので、この方面での立て直しは厳しいかも。

と、今里筋線の心配をしつつも、今日の目的地に来ました。

三宝湯です。

少し年期は入っていますが、赤く光る「三宝湯」の看板文字がオサレ。上部には「SANPOUYU」と横文字でルビが振られています。現在は玄関口がハロウィン仕様で、靴箱スペースにカボチャ野郎が鎮座している。

看板では定休日が火曜日になっていますが、現在の定休日は月曜日です。直に黒いテープか何かで火曜日の文字を消したような跡がありますが、ちょっと剥がれている。

フロント式の銭湯ですが、フロントの位置が少し変わっていて、玄関のドアを開けてUターンしたところにあります。なので、ドアを開けてすぐには番台の人は見えず、ロビーのテレビとソファーしかないという状態。いきなり誰か他所様のおうちにお邪魔したような感覚になる。

サウナはバスタオル持参なら無料ですが、必ずバスタオル着用。必ず必ずバスタオル着用。

大事なことなので2回「必ず」と強調されています。もちろんスポーツタオルはダメ。かなりしつこく注意書きがなされており、まあ守らない輩がいるのでしょう。貸しバスタオル代(実質的にサウナ料金)は通例どおり100円。街の銭湯では珍しく、PayPayが使えます。

たまにバスタオル着用ルールがあるのかどうかよくわからない店舗もあるのは、ちょっとどうにかしてほしい。というかもう、一律サウナ有料、自店のバスタオルしか使用不可にしてほしいと個人的には思っている。

大阪のサウナ料金はだいたい100円か200円だし、その程度はケチりませんよ。東京の銭湯のサウナは500円すると聞くし、それに比べればよっぽど安い。

フローリング床のシックな玄関やロビーとは打って変わって、脱衣場は昔ながらの御座。浴室内もどちらといえばレトロですが、壁に薄茶色のタイルで迷路のようなものが象られているのが気になる。正面から見ると、タイルがブロックのように見える。脳内でマリオを走らせたくなってくる。

お湯はぬるめ。ずっと浸かっていられる。備長炭を入れた箱が、海底の秘宝のごとく浴槽に沈んでいる。ずっと壁にマリオを走らせていられる。

いやしかしこれなんなんだろ?めっちゃマリオのステージにありそうなんだが。そこそこ加速ダッシュやしゃがみを駆使しないとクリアできないので、難易度はまあまあ高め。スーパーマリオブラザーズ2の1面にありそう。

2階はサウナ、水風呂、露天風呂。露天風呂の横には椅子が2脚ありますが、スペース的には5脚は置けそう。

サウナの温度計は106℃を指していましたが、そこまで灼熱に感じない。むしろ一般的な温度(90℃前後)よりもぬるいような気がする。初心者でも安心して入れる。

しかしここは水風呂が強敵だ。某サウナにイキタイ人たちのサイトでは14℃とされていたが、本当はもうちょい低いのではなかろうか……?大東洋のシングル水風呂レベルで冷たくないか、これ……。

だいたいどの水風呂でも1分は入るようにしているのですが、ここでは1分もたない。4回チャレンジしたが、いずれもダメだった。

通常の水風呂であれば、入った瞬間は冷たさを感じても、次第に身体が水に慣れてきて、逆に全身がだんだん暖まり、何かに包まれているような感覚になって、ずっと水に浸かっても平気になってくる(サウナ用語でいうところの「羽衣」)のですが、ここの水風呂は逆に、入ってから後に、だんだんキーンとなってくる感じ。

水風呂の前に階段がありますが、段差がかなり高いので、冷たさに驚いて急いで出るのは危険です。あまり水をパシャパシャさせずに、それはもうとてもcoolに……。

たぶん大阪経済大学の学生らしき若者は「キャンタマ凍る!」などと喚いていたが、ああいうのはダサい。たとえ4回チャレンジして失敗しようとも、動じることなく静かに立ち去るのが私の水風呂道。サウナが本当に106℃あるのなら、これがちょうどいいのかもしれんが……。

なんとなく消化不良ぎみではあるものの、ここをマスターすれば、かなり自分の銭湯ゲージが上がるような気がする。と勝手に思っている。

あと、大阪経済大学の学生さんは、水風呂で凍るのもいいけど、今里筋線の今後についても考えてみていただきたい、とも勝手に思っている。

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ぷらーな
サウナはたのしい。