忘れられないバリカタ
忘れられない味、というのがいくつかあります。
特に、旅行先でものすごく美味いものを食べたときの味というのは、旅先の気分によって補正されている部分もあるのかもしれませんが、もはや神聖な味であるように思えます。
6年ほど前に、福岡で食べたラーメンもそのひとつ。
初めて訪れた博多は、噂で聞いていたとおりにコンビニ並みにラーメン屋だらけ。どこに入っても基本的には500円くらいで実に安い(※ここ数年の物価の高騰により、今はもっと高いのかも)。そして、どこのラーメンもアホみたいに美味い。
その中でもとりわけ印象に残ったのが、博多駅の筑紫口を出てしばらく歩いた場所にあった「おっしょいラーメン」のバリカタ豚骨ラーメン。
バリカタという単語そのものは聞いたことがあったし、その少し前にカップ麺でその手のものが発売されていたので、世の中には硬くて細いラーメンが存在することは知っていましたが、その硬くて細いバリカタは、私の想像を遥かに超える硬くて細いバリカタであった。
残念ながらクラウドにデータが残っておらず、写真が発掘できないので、再確認できないのですが、まあ、「ばり硬い」と言わざるを得ない麺、というか、もはや、線、といって差し支えないであろう代物でしたね。
スーパーでよく見かける、家庭用の茹でパスタの、マ・マー、という商品がありますよね。標準1.6mmの細長い麺がぎっしり詰められている商品ですが、間違えてそれを生のまま突っ込んだんじゃないのか?と思ってしまった。
その上、粉落としという更なる細麺もあり、生麺という、なんか字面だけで凄いやつもあるそうだ。それはもはやラーメンなのか?やはりマ・マー(生)なのではないか?と勘繰ってしまいたくなる。
博多旅行のラストに訪れたため、新幹線の時間を気にしながらだったので、生麺に挑戦できなかったことが悔やまれる。
しかも「おっしょいラーメン」はだいぶ前に閉業されたとのこと。閉業された時期的に、アレの禍による打撃をかなり受けたのではなかろうか。行きたいところは行けるうちに行っておくべきだな。
バリカタの「バリ」は「凄い」を意味します。関西でも若者言葉で「バリ○○」という言い回しをしますが、どうやら発祥は九州地方のようで。
関西弁の「めっちゃ○○」というのとニュアンスが似てはいますが、「めっちゃ」はふつうに凄いことを指すときに、「バリ」のほうはやべーくらい凄いことを指すときに使うことが多いです。
つまり「バリカタ」は「やべーくらい硬い」という意味になります。大阪や京都でも、ここ数年でバリカタを選べるラーメン屋が増えたのですが、「めっちゃ硬い」麺には何度も出会っているものの、「やべーくらい硬い」麺には出会えていません。
あと、どこの麺もマ・マー(生)より太い。ラーメンの麺の基準値をマ・マー(生)にしているこちらがおかしいのは自覚していますが、マ・マー(生)にしか見えない麺にいつか出会いたい。
何回マ・マー(生)って書くねんという感じですが、生の状態のマ・マー、子供の頃は魅力的に見えませんでしたか?もちろん茹でてパスタになった状態も美味しいのですが、その前のカラカラのままで袋に入った状態が、なんとも味わい深い。まだ味わう前なのに。
いわば進化前。石を与える前のイーブイを観察するようなワクワク感がある。
袋に入れたままレンジでチンするだけでもパスタに進化させられるそうですが、ということは、レンジに10秒しか入れずにあえてバリカタのマ・マーを作ることもできるのか。
マ・マーのラインナップには、「早ゆで3分ファインファスト」という商品がすでにあるが、「早ゆで3秒アメイジングファスト」の商品化を期待する。通常のマ・マーを買ってきて自分で勝手に試せば良いのではないかとも思うが、そこまでの執念はないので……。
そういえば、インスタントの皿うどんの麺を初めて食べたときも衝撃的でした。うどんなのに、麺がパリッパリに乾いていて、しかもなんか細くて硬い。マ・マーを生で食べたことはないので、人生初のバリカタ食の体験は皿うどんだと思われる。
ただ、皿うどんを前面に押し出している飲食店は今のところ見たことがない。意外と抜け穴なのではなかろうか。皿うどんのバリカタ、皿うどんの粉落とし、更には皿うどんの生麺。体感してみたいものだ。近所にできないかな、皿うどん専門店……。皿うどん専門なら、蕎麦アレルギー者でも安心して入れるので助かるのですが。
それはそうと、京都の長浜ラーメンみよしに行きたくなってきた。年に一度だけGACKTさんが来店されることで有名な店舗ですが、今のところ関西圏で自分が行ったことのあるラーメン屋では、あそこの麺がいちばん細い。硬さはふつう。
サウナはたのしい。