言葉から知る世界目標
この前テレビを視ていたところ、小林製薬のCMが流れ、あっ小林製薬、と思うとともに、もうひとつ、あっと感じることがありました。
オードムーゲという薬品、昔から名前がいかつくて気になっていたのですが、ニキビケアのためのものだったのですね。初めて知りました。
よく薬局などで「オードムーゲあります」という看板が掲げられているのを見かけますが、一体なんなのか、ずっと謎だったのですよね。小林製薬が販売していることも知りませんでした。
しかし、オードムーゲというなんだか怪しげな名称は、あんまり小林製薬っぽくないですね。熱冷まシートやサカムケアみたいなダジャレでもないし、のどぬ〜るやブルーレットおくだけみたいな、響きのキャッチーさもない。
というか、オードムーゲって何語だ?英語っぽくはないな……。
というわけで公式サイトを見たところ、オードムーゲは小林製薬グループに属する六陽製薬による製造なのだそうで、もともと販売していた皮膚薬「ムーゲ」のローション版として1961年に登場。
「ムーゲ」は「融通無碍」という四字熟語が由来なのだそうな。ゆうずうむげ。むげ。むーげ。実はこれもダジャレだったのか。
ちなみに「融通無碍」とは、「行動や考えが何の障害もなく、自由に伸び伸びしているさま」を表すのだそうですが、それと皮膚薬とにどういう因果関係があるのかはよくわからん。
そして、では今度は「オード」って何だ?フランスのオクシタニー地域圏にはオード県があるらしいが、それと関係があるのだろうか。それともこっちもなんらかのダジャレか?
これもまた、偉大なるグーグル様の知見をお借りしたところ、フランス語の「Eau de」であることが判明しました。
オーデコロンなどに使われるのと同じ意味合いで、日本語では「水の〜」と訳します。確かにオードムーゲはムーゲを水にしたものなので、辻褄が合いますね。
しかし、日本語の四字熟語とフランス語の接頭辞をチャンポンにした造語とは。ドイツ語とフランス語と英語のチャンポンのバンド名のDIR EN GREYみたいだ。
1961年というと、戦時中の横文字禁止文化なんかはとっくに廃れ、その時期から1980年代初頭にかけて外来語の使用が飛躍的に増えたとのことです。
現在スーパーやコンビニに並んでいる商品の名前の多くは横文字です。コカ・コーラやメントスみたいに海外が発祥のものはともかくとして、国内の企業による商品であっても、ポカリスエット、クラフトボス、カップヌードル、ポッキー、ビスコ、ブラックサンダー、ルマンド、エリーゼ、プチ、ホワイトロリータ……。途中からブルボン色が強めですが、ぱっと思いつくだけでもこれだけある。
もはや横文字なしでは生活できない世の中になってきており、マインドフルネスとアンガーマネージメントがフィーチャーされるソーシャルリアリティで暮らしているのが私たちです。
なんでも横文字にすることに否定的な意見もありますが、個人的にはそこまで気にしていません。
世界的に考えれば英語のほうが遥かにメジャーな言語だし、どれだけ英語がグローバルになろうが各国の言語はそれぞれ残っているので、日本語が変わることはあっても廃れることはないだろうと思っているからです。
日本語が変わることについても、当然の変化だと思っています。
現代に日常的に「ござるよ」と言う人は存在しないし、「おろ?」と言う人もあんまり見たことがありません。
人斬り抜刀斎さんだって住む時代が違えば「ワンチャンやり直せるかもだし〜」とか言いながら不殺の誓いを立てていたでしょう。「おろ?」はどちらの時代にしろ言っていたかもしれませんが。
どのような言語にしろ、我々の前には言葉というものが無限にあり、それを楽しむ権利は誰にでも平等にあります。言葉を多く知れば知るほど楽しみも広がり、レゴブロックのパーツが多ければ多いほどいろんなものが組み立てられるように、世界が広がっていきます。
と、いきなり国語の先生みたいになってしまいましたが、実のところわたくし、昨今よくいわれるSDGsがなんなのか、よくわかっておりません。持続可能な開発目標というのはどこかで見ましたが、どういうことなのでしょうか。
テストで100点を取るのは無理そうだから68点を目指そうとか、灘高はさすがに無理だから北野高校を目指そう、いや北野もきついから追手門くらいにしておこうとかそういうことですか?喩えがローカルすぎてわかんねえよ。
それはさておき、この世のすべてが載っているGoogle.comという辞書によると、SDGsとはSustainable Development Goalsの略です。sustainableは「維持できる」「絶えうる」という意味の形容詞、developmentは「発展」、そのゴールがSDGsなのだそうです。
sustainableを頭に付けるのが現代っぽいリアルな発想ですね。
日本の景気は上向きだから世界を征服するぜというバブル的な考えや、未来の世界にはタイヤのない車が走っていてアトムがいるんだという高度経済成長期のイメージはもう、みんな持っていないということでしょう。
この目標は日本のみならず国際的なものなので、おそらく全世界的にそうなっているのではないでしょうか。
まあ自分は、ドラえもんの一般販売には立ち会えないだろうけど、モグラ手ぶくろやたずね人ステッキくらいなら自分が生きているうちに現実化されると信じていますけどね。
なんだかいきなり壮大な話になってしまいましたが、言葉は思考の範囲を広げるということですね。
そういえばアンメルツヨコヨコってどういう意味だ?アンメルツはなんか医学用語っぽいが、ヨコヨコとは……?そうしてインターネットの旅は続く。