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短編小説1000字

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2023年8月の記事一覧

短編小説 夏の終わり

 柴犬は上を見た。渼子は溶けるような表情をしている。喉を撫でられる。今度は柴犬が溶けるような顔になる。
 暑かった。縁側で風鈴の音がする。もうじき雨が降る。土が濡れたような匂いがする。
「花火大会、中止かな?」
 渼子は家の中に向かって声をかける。どうかなぁ、とおかあさんの声がする。
 渼子は浴衣姿のまま柴犬を撫で続ける。柴犬は浴衣の裾にじゃれたくて仕方ない。渼子の周りをうろうろする柴犬の喉を渼子

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短編小説 カツラだったんだ

 授かり婚という言葉があるが、あまり菜摘はその言葉が好きでない。それを自分に当てはめるのかと思うとがっかりしてしまいそうだった。
 遅れた生理のほんのついでに、便座に座ったままそんな事を考えていた。

 将太は子供が好きな人だ。電車の中母親が小さな子供を連れているのを見ると変顔をするのが常だった。菜摘は将太を眺めながらいつも思う。他人の子供のどこが可愛いのかと。
 トイレの水を流し、手洗いに行くと

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