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短編小説1000字

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2023年4月の記事一覧

短編小説 号泣の女

 波子の家には男が一人住んでいて、プラモデルを組み立てている。弁当を二人分買って帰る波子が玄関扉に鍵を差し込むと、部屋から玄関へ男が駆け寄る音が聞こえる。
「ただいま」
 波子は良い子にしてた?と続けたくなるのをいつも我慢していた。男は弁当の入ったビニール袋を受け取るとそのまま台所に向かい、ティファールのケトルの電源をいれる。波子はコートを脱ぎながら寝室へ向かい、着替えをする。
 リビングのテーブ

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