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短編小説1000字

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2020年8月の記事一覧

短編小説 思いこみの男

若い女が、好きだった。若ければ多少の性格の悪さは許容できるし、化粧をしていなくても問題は無かった。
依子とそろそろ潮時だと思ったのは電車で席を譲った子供から「ありがとう、おばさん」と言われたのを見たからだった。依子はにこにこ子供に笑いかけ、俺にも笑みを向けた。

30女を捨てた、と言われるのは怖かった。依子はもう32になる。結婚の話こそ出ないが依子は子供が好きだった。浮気でもしてくれたら何かのきっ

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