夏ってだけで
とってもアクティブな日曜日だった。
前日から、子どもたちは「明日はプールに行きたい」と言っていたので、夜のうちに洗濯を終わらせておいた。
さらに、最近は家の中が我が家にはあるまじき美しさをキープしている上に、日々学校の体育で彼らはプールに入っているので、プールセットも常にスタンバイしている。
つまり、朝食を食べさえすれば、とてもシンプルに朝っぱらからプールに行けるという段取りだ。
家が慢性的に散らかっているとこうはいかない。プールに行く前にやるべきあれこれに心を奪われて、しかも奪われるだけで金縛りにあったみたいに身動きが取れなくなるので、ほんとうによろしくない。
ここしばらくは家が素晴らしく快適なので、どうかリバウンドをさせずにこの状態をキープしたい。私はヨリ(美しい暮らしの守護神)さんになる。
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朝食は夫がフレンチトーストを作ってくれて、前日のスープやらサラダと一緒に食べた。近頃、我が家はまさかのキャンパー階段を昇っており、その流れで出会ったマルチグリドルなるものがキッチンに仲間入りした。
丸くて大きな鉄板のような形状をしていて、これが、とても、すごく、思っていた以上に素晴らしくて日々感激している。
大食いモンスターの夫の遺伝子が極太だったらしく、我が子にもきちんと遺伝していて、特に真ん中長男はよく食べる。そんなに食べてどうするの、と思うほど食べる。
ので、大きな大きなマルチグリドルが頼もしいのだ。フレンチトーストだって、食パン3枚が一度に焼けてしまうし、お野菜を大量に並べてソテーしたり、お肉をたんと焼いたりと豪快に使うこともできる。食卓にドーンと出したら、なんとなく楽しい雰囲気になるところも気に入っている。
ああ、ついマルチグリドルの話になってしまう。
マルチグリドルで夫がフレンチトーストを焼いたってだけなのに。
朝食を食べたら、庭の畑できゅうりを採ったり、やっと咲いた向日葵に喜んだりした。
末っ子はこことのところ、買ったばかりの浴衣を着たがるので、浴衣を着て庭をうろついていた。最近は通販で簡単に着られる浴衣がそれはお安く売っていて、では今度のお祭り用にと買ったのだけど、お祭りどころか日々気軽に着せている。
今思えば実家の祖父母も私が小さい頃は、まだ、家着は浴衣だった。パンツのことを猿股とも呼んでいたし、彼らは確かに戦前の人間だったんだな、と思う。
暫くすると、子どもたちは昨日の夕方にメダカ獲りをした名残が突然騒いだらしく、近所の田んぼへメダカを獲りに行った。
網を持って、青すぎる空をバックに駆けていく背中がまるで夏だった。眩しい。
途中、長女と次女があまりの暑さに帰宅すると、田んぼの奥から長男が長女と次女の名前を呼んでおり、来てくれる気配がないので終いには夫を呼んでいた。豆粒ほどの大きさでしか確認できない距離にいるのにきちんと届く彼のビッグボイスに乾杯。
夫はダサいタンクトップ姿のまま、ママチャリに乗って田んぼに吸い込まれていった。
帰宅した長男は、昨日に引き続きたくさんのメダカを持ち帰ったので、そうだ、メダカの飼育をしようという話になった。
なんせ私はヨリさんになるので。ヨリさんはベランダでメダカを飼っている。
詳しくはこちら。
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いったんメダカをたらいに移して、いざ予定通りプールへ。
市民プールはこの暑さで盛況だった。コロナが5類になったことで入場制限もなくなったらしい。
ここのプールは25メートルプールがどかんとある他は幼児用プールがあるだけなのだけど、子どもたちは楽しいらしくたびたびせがまれて連れていく。
最初は自由コースで優雅に遊んでいたけれど、長男になんの火が付いたのか、突然、泳ぐ人コースでもくもくとビート板クロールをやり始めた。
我が家は末っ子次女だけが本人の強い希望でスイミングスクールに通っており、長女と長男は長期休みの時に実施される短期教室にしか行っていない。早い話がそんなに泳げないのだ。
いきなりがつがつと泳ぎだした長男は、「100m……!」、「250m……!」と距離を確かめながら、結局800mも泳いでしまった。
彼は数字フェチで、中でも大きい数字に目がない。どんどん増える数字と1kmがちらつく高揚感でいくらでも泳げてしまうようだった。
長女もつられるように600m泳いだ。みんな元気ね。
午後は義母がケーキを持ってきてくれることになっていたので、お昼を回ったところでタイムアップ。
ちなみに、私は就学前から小学校卒業までスイミングスクールに通っていたのでそこそこ泳げる子どもだったのだけど、彼らのように黙々と泳ぐことに楽しさを感じたことは一度もない。いつもスクールの壁に書いてある「健全な精神は健全な肉体に宿る」の文字や、天井にぶら下がる旗を眺めながら退屈に泳いでいた。泳いでいる間ってやることがなくてほんとうに暇だった。
子どもたちにつられて久しぶりにクロールをやってみたけれど、ちっとも上手くやれなかった。クロールってこんなに難しかったかしら。腕を回したりバタ足したり、息継ぎしたり、一度にやることがいっぱいあるね、クロールって。
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お昼ご飯はあらかじめ、ちらし寿司の準備をしていたけど、みんな肉体を酷使したのでここはひとつ、と帰り道にスーパーで唐揚げとメンチカツを買ってスタミナ投下。
ちらし寿司と、揚げ物、最高に合うよね。
お腹いっぱい食べて、片づけているころ義母がケーキとともに到着。
毎月第1日曜日に某ホテルが定期販売している「お朔日ケーキ」をいつも持ってきてくれる。飛び切りのケーキと、ばーばの訪問が嬉しくて子どもたちはこの日を毎月楽しみにしている。
今月はメロンのケーキだった。
メロンをくり抜いた中にパンナコッタのような濃厚なデザートが入っていて、上にまん丸のメロンがたくさんあしらわれていた。
叶姉妹が食べるメロンのデザートをご存じだろうか。まさにあれのようだった。ファビュラスに美味しかった。
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夕方は長女と次女が彼らの希望で習い事の追加レッスンを予約していたので、私はそちらへ。夫は長男とメダカセットを買いにホームセンターへ行く運びに。
朝からあちこち元気に遊びまわったので、お疲れでは、大丈夫かしら、とちょっぴり心配になったものの、どうにか終了。
ふたりとも今回のカリキュラムは少し難しかったらしく、特に次女はしょんぼりしていた。
大丈夫、すぐできるようになるよ。
習い事から帰宅してしばらくしたら夫と長男も帰宅。
眼の前でメダカ環境がみるみる整っていく。
水草や浮き球を浮かべたら、あら、これ、もう立派なビオトープの出来上がり。
ヨリさんにまた一歩近づいてしまった。
彼りの車中で少し夕寝していた末っ子も起きて、みんなでメダカを眺めた。
今の我が家は、庭から大量に発掘されたカブトムシの幼虫も飼育されており、すっかりガレージが生き物エリアになっている。車は野ざらしに。いいんだ別に。
君たちがわくわくして暮らしてくれていたらそれでいい。わくわくしているのが通常だと思って愉快に暮らしていてほしい。
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慌ただしくブロッコリーのサラダと長男のリクエストでカレーを作って、バタバタと食べて、雪崩れるように就寝へ。
ここのところ寝つきの悪い長男が、21時半ごろ寝室から這い出てきて、お水を飲みにリビングへ降りてきた。
あんなに朝から動き回ったのに、なんで起きていられるのか。
彼は今朝、私より早く起きたはずなのに。
私は熱心な睡眠信者なので、これは大変と大騒ぎしながら寝室へ同伴。
早く寝るのだ。寝るは元気の源。寝るは命の源。とにかく寝て。寝ないと。
中学生くらいからかれこれ30年近くとにかく眠たい人生を送っている。なので寝不足がなにより恐ろしい。人並みに寝てもそこそこ眠いのに、あわや寝不足なんて耐えがたい眠気との戦いになる。子の身にそれが起きると思うと居ても立っても居られない。
この頃ようやく、彼らはもしかして私ほど眠たい人生ではないのでは、と思い始めているけれど、油断はできない。
とにかく眠いって大変なことだから、寝るに越したことないのだ。さあ、寝よう。
あれこれやることはあるけれど、すべて放棄して私も一緒にお布団へ滑り込んだ。
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元気な日曜日だった。
今が冬じゃないっていうだけで、元気が湧いてくる。毎日がほとんど夏でただ嬉しい。