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小5の冬からの受験勉強で合格した話

中学受験するなら
小3では遅すぎる

などというのは
進学塾の都合でしかありません。

あなたのお子さんがそうするべきかどうか
進学塾の都合に合わせて
考える必要はありません。

確かに

何がなんでも
絶対に難関校に合格しなければならない

と言うのなら、
遅くても小4のクラスからは
進学塾に通った方がいいでしょう。

でも、

難関校に受かればいいけど
仮に中堅校だったとしても
まぁいいか

くらいの気持ちだったら
小5の春からでも
ぜんぜん遅くはありません。

かつて中学受験は小5の春からが常識でした

私が進学塾の講師をしていた
今から20年くらい前の話ですが、
難関校を目指していても
中学受験の勉強は
小5になる前の2月か3月から
2年間も受験勉強をすれば
十分でした。

それがだんだん早くなり、今では

小学校の低学年からはじめた方がいいですよ

というのが
進学塾あたりでは常識になっています。

でも、
そんなのはウソッパチです。

小学校の低学年から、
親子で苦労して受験勉強する必要は
これっぽっちもありません。

なぜなら、
小4くらいまでは、
自分が体験したことがないお話や知識を
理解したり覚えたりする力は、
まだまだ育っていないからです。

中学入試の問題を解くためには、
かなりの量の知識を覚え、
その知識を使って解答を導く力が求められます。

しかもその知識の大半は、
子どもたちの生活や体験とは
かけ離れたものです。

ところが、
人間の脳はそういう
いわば純粋な知識を、
そのまま覚えるようには
できていません。

自分の体験からでき上がった

この世界はこんなふうにできている

というイメージ、
すなわち一人ひとりの
「子ども自身の世界観」とつなげて、
ものごとを見るし、
その上で覚えるのがふつうだからです。

自分の暮らしや気持ちと
つながっていることには
興味もわきます。

自分ごととして感じられるから
面白いし覚えやすい。

でも行ったことがない土地の名産品や、
見たこともないプランクトンの
形と名前を覚えるのは
人間、とりわけ幼い子どもには
とてもむずかしいのです。

パソコンやスマホなら、
入力したらそのまま覚えます。

けれども、人間は
そんな風にはできていないのです。

ですから、
中学受験を始める前に
できるだけ多くの
しかも幅ひろい経験をして
豊かな「その子だけの世界観」があれば
その成果が現れやすいのです。

当たり前の話ですが、
低学年のうちは
その世界観はとてもとても貧弱です。

小4でもまだまだ幼いです。

しかも低学年のうちから
受験勉強に時間をかければかけるほど、
勉強以外の生の体験をする機会が減るので
その世界観は貧弱なままになります。

小5の1月からの受験勉強で難関校に合格

私には、
小5の12月に中学受験を決心し、
いわゆる難関校に
トップ合格した教え子がいます。

私は彼には計算指導と漢字指導しかしていません。

いわゆる進学塾に行ったのは、
小6の夏期講習と冬期講習だけです。

その後、京大医学部に進学しました。

小5の夏まで彼は、

普通に公立中学校に入り、
高校受験をすればいい

と思っていました。

ところが、
自分が行く中学校の先輩を見ていると、
どうもかったるく
ダラダラしている人が多い。

で、

あんなふうな人が多い中学校に
ぼくは行きたくないなぁ

と思いうようになりました。

彼は、
シュタイナーの絵画教室にも通い、
少年サッカーチームにも入っていました。

土日はサッカーの試合に行きたいし、
絵も続けたい。
だから進学塾に行きたくない。
でも中学受験をしたい。

と相談を受けました。

その時の私は進学塾を辞めて、
計算指導中心の個人塾を始めて
5年目でした。

私の指導のもと
小5の11月に彼はもう
小学校レベルの計算は完璧になっていました。

そこで

1. 小5のうちに連立方程式を解けるようになる
2. 進学塾用のテキストを5・6年分をやり切る

と提案しました。

テキストは算数・国語・理科・社会の
4教科2年分ですから
全部で8冊です。

私がした指導は、

わからないことがあれば、
まず図書館とかで調べてね
 
それでもわからなかったら聞いてね。

と言っただけ。

そして彼は、
算数の問題の解き方と
方程式の立て方を、
数回聞いただけでした。

6月までに
8冊のテキストを3回繰り返し、
進学塾の公開模試を受けたら、
志望校はB判定でした。

そこで私が辞めた進学塾の
夏期講習だけを受けたら
A判定が出ました。

どうしてこんなことが可能だったのか?
と言えば、
私の計算力指導を通して

1. 中学生でもトップレベルの計算力と情報処理能力が身についていた
2. 自分ができることとできないことを、自分で判断する力が身についていた
3. 自分のペースでコツコツ繰り返し学習する習慣ができていた

からです。

当時でも
進学塾に通っている子どもたちは、
小5の1月頃には、
学校では習わないことを
大量に学習していましたか。

だから彼は、
ふつうに進学塾に入って授業を受けていたら、
自分が知らないことを知っている子どもたちが
山のようにいることに愕然として、
やる気を失っていたかもしれません。

しかし彼は

ああ、この8冊を覚えればいいのね

という感覚で、自分のペースで受験勉強をしたのが良かったのでしょう。

中学受験の対策の前に身につけたい力

計算力や情報処理能力だけでなく、
どこまではできて
どこからができないのかを
自分で見きわめる力。

さらに、それをもとにして
自分で何をするかを決めて
決めたことをやり切る力。

私は計算力指導にあたって、
この二つが身につくように
意識しています。

この二つがあれば、
彼のように1年では無理でも、
2年間も受験勉強すれば
そこそこの能力があれば
そこそこの難関校ならねらえるでしょう。

しかし、
この二つの力がなければ、
進学塾による指導抜きに
難関校に入るのは無理です。

ところで
進学塾に通えば、
実力の判断も学習計画も
塾の先生任せになります。

それでも、
お子さんを絶対に難関中学に入れたいのなら
小4クラスから
進学塾に通った方がいいでしょう。

しかし難関校にこだらないのであれば、
小4の冬くらいまでは、
心のおもむくままに
さまざま体験をした方が良いに決まっています。

また、
公立中学でもいいのであれば、
小学校の間は
お子さんの心のおもむくままに
思いっきり楽しい暮らしをするのが一番です。

なぜなら、
人生を切り開くのは
参考書などの本の中にある
死んだ知識ではなく
経験から引き出した知恵だからです。

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