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イスマイリーヤ旅行記 5 小国に招かれる
2024年6月6日
一本道を走る車の中で
「俺の家は由緒ある家系なんだ」
とアフマドは言い始めた
学生時代に住んでいた
カイロのサイダ・ザイナブ
その由来となったザイナブ婦人と
元は同じだという
へー、そうかねと思いながら
突然王様のような態度になった太った男に
警戒心を高めるも
すでに家に向かう車の中
なるようにしかならないと諦める
30分乾いた大地に走る高速道路を走り
マンゴーやオレンジの木々の間を抜けると
驚くような豪邸が建っていた
家の前の広大な敷地の日陰に座る老人二人
親戚だと紹介されるが
老人2人は30歳のアフマドに
敬語を使っているではないか
アラブ人社会は年齢が絶対なのに何事か
その後やってきた農夫らしき若者には
座ったまま手を差し出した
すると彼は
恭しく手の甲にキスをして
何度も座ったままの彼にハグをする
今朝は友達と歌って踊って
陽気だった若者の姿は消え
プラスチックの椅子にどっしりと座る
王様のように見える
よく見ればプラスチックの椅子も
見たことがないぐらいしっかりとした作りで
段々と玉座のように見えてきた
これが権威の力か
とにかく今はこの特殊な社会の
人間関係の把握に努めよう