publista 写真家

エジプト・カイロに暮らす写真家です。中東での日記を書いています。英語、フランス語、アラビア語をしゃべります。写真展準備中です。

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エジプト・カイロに暮らす写真家です。中東での日記を書いています。英語、フランス語、アラビア語をしゃべります。写真展準備中です。

マガジン

  • オーストラリアで未来を考える

    物価は日本の3倍、移民だらけだけど平和な社会。日本よりはるか先行く社会で世界の未来を考える。

  • イスマイリーヤ旅行記

    エジプトのカイロから2時間。イスマイリーヤへ足を伸ばす。初めて会った人の家に泊まり、次の日にはその友達の家へ。旅先で出会う人と生き方についてのおはなし。

  • 中東マガジン

    中東に関する面白い話をクリップしてます

最近の記事

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夜明けの隙間に心を覗く

2023年10月23日 07:29 薄暗い夜明けの屋上 カラスに混じる甲高い鳥の声 室外機のタービンの回る音 涼しげな風の中を車のクラクションが 犬の遠吠えのように呼応する レンガの隙間がくっきりと見えるビルが 影もなく立ち並ぶ 静かな朝の魔法が作るおだやかな時間 鳥たちが西へ西へと次々に飛んでいく 夜が終わる 東の空がピンクに染まり 窓が金色に光る その裏には真っ黒な影 人々の声が聞こえる 嗚呼、静かな魔法が終わる 下を見ればゴミだらけ 屋上には瓦礫の山 鳴り止

    • エジプトのカンチョーとLGBTQ

      2024年7月12日 近年エジプトの結婚式で 恒例になっている行事がある ボールルームで踊る大量の女性客を尻目に 男だけで新郎を囲み 胴上げをしながらカンチョーをするらしい 「ネットから始まった下らない習慣」 と嫌な顔をする人もいるが 長年それを目的に 友達の結婚式を楽しみにしているという 男どもも結構いる 小学校の頃に流行ったが それを20, 30でやるというのが エジプトらしい 男同士で手を繋いだり カップルのように腕を組むおじさんらがいる ハグも頬へのキスも

      • 【オーストラリアで未来を考える】ダイソーと闇バイト

        2024年11月17日 16:24 物価高のメルボルンのDAISOは 別段記載がない限り330円均一 エジプトでも同じような物は買える だがオーストラリアでもエジプトでも 同じ質の物をこの値段では買えない どちらも体感で500円は下らないと感じる 日本製品は良くも悪くも正直なものが多い 壁掛けフックの耐荷重が500gと書いてあれば 600gはだいたい無理だし、500gはちゃんといける 広告の仕事をしていたからこそ 言い過ぎな部分があるのは承知しているが 嘘は限りなく少

        • 【オーストラリアで未来を考える】より白いのは誰か

          日本に住む外国人の友達がいれば きっと笑えるぐらい守られていないと分かる オーストラリアでも程度は違えど 差別はしっかりある 1967年に白豪主義が廃止されるまで 非白人の移民は認められなかった イギリス系から始まったオーストラリアは 人口を増やすために移民許可枠を徐々に広げていった イタリアは白人だよね ギリシャも白人だね ロシアも入れとくか 新世界の労働力が足りないから、と そうやって白人かどうかを 公式に区切っていた 1955年に勃発したベトナム戦争を転機に

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        記事

          イスマイリーヤ旅行記 13 支援物資来たる

          2024年6月13日 23:12 カイロのギャラリーで 一度だけあった女性が スエズでの唯一の知り合い 体調を崩して苦しむ僕のために SMSで診断してくれる医者を手配してくれた 身長体重と症状を詳しく説明すると 野菜スープと水をとにかく飲むように それと胃薬、抗生剤の名前が送られてきた 知り合いにお礼と共に伝えると ホテルにそのさらに友達が現れた 自家製のスープを袋に詰め 水のペットボトルと薬局の袋を持って お金を渡そうとすると 「そんなんいいから」と断られる

          イスマイリーヤ旅行記 13 支援物資来たる

          イスマイリーヤ旅行記 12 食当たる

          2024年6月12日 書かねばならぬ その気持ちだけで 寝転がったまま なんとかこれを書く スエズの街は紅海とスエズ運河の合流点 どちらも海水だが とにかく海だ 新鮮な海鮮が食べたい一心で この街に来た 地元民おすすめのレストランで エビのスープを頼む トマトベースでディルと胡椒が効き 頭付きのエビが4尾も入って450円 安い フランスなら4000円はする 無類のエビ好きなので 食べたいと思っていた一品に ようやく辿り着くことができた レモンを少し絞って 頭から

          イスマイリーヤ旅行記 12 食当たる

          イスマイリーヤ旅行記 11 失ったものに目を向けよ

          2024年6月11日 19:48 「武士道とは死ぬことと見つけたり」 新渡戸稲造の名著を思い出す 僕は思う 「旅とは失うことと見つけたり」 スエズ運河に上り下りが あるかは分からぬが 南下して航海へと流れ着く街 スエズへとやってきた お世話になった兄弟と別れ 90円のバスに乗った 隣の大学生と旅路を共にし 無事スエズのホテルに着いた エアコン付きシングルルームで 一晩250ポンド830円 とりあえず2晩分払った 久々のエアコンに癒されながら イスマイリーヤの動

          イスマイリーヤ旅行記 11 失ったものに目を向けよ

          イスマイリーヤ旅行記 10 些細なこと

          2024年6月10日 16:06 友達からアパートの鍵をもらうだけ 5分で帰る そう言われてスクーターの後ろに乗った イスマイリーヤの5分は 30分から1時間にはなる 鞄を友達のパスコンショップに置き 一応カメラだけ持って出た なんと愚かな選択か 出発から早2時間 誰とも知らない人の家の客間で カーバ神殿の昼の礼拝の生中継が 懐かしきブラウン管テレビに流れる 隣の部屋からは 金属を切る丸ノコの音 37℃の熱気の中 シーリングファンが 休みなく熱風を送ってくる 友達

          イスマイリーヤ旅行記 10 些細なこと

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 3/3

          2024年6月9日 21:35 旅先で無いと困るものがある 失くしても何とかなるものもある 無いと困るのは現金、携帯、カメラ 逆になんとかなるのはパスポート 今現金の入った携帯とカメラ そしてパスポートを持った警官に 護送車両に乗るように言われている 大丈夫、歩いて駅まで行って そこから長距離バスにのるから 「教会の前で寝かせられない  お前がカイロに帰るのを  見届ける必要がある」 相当困る パソコンも着替えも充電器もカバンも 200m先の友達の家に置いてある

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 3/3

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 2/3

          2011年のアラブの春の際に 教会が爆破されたことがあった それ以降警備は厳しく 教会の前にはライフルを持った 警官がおり身分証の提示と 荷物検査なしには入れない イスラム教徒はまず入れない バプティスト系は僕も入れなかった こんな田舎の教会に 外国人なんて来ないんだろう たまたま道を聞いた人が非番の警官で そのまま詰所に連れて行かれ座らされた 失敗した とても嫌な予感がする 現在のエジプトは独裁国家 警察は好き放題振る舞っている 基本心優しい国民なので 旅行者に対

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 2/3

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 1/3

          2024年6月9日 21:35 護送車両警察車両に乗せられ運ばれている 隣には拳銃を持った私服警官 運転席と助手席には制服警官が2人 護送車両に乗っている 右側には鎖につながれた 手錠がぶら下がる 後ろ向きに座った僕の目の前には 足をつなぐ鎖の4つついた小部屋 炎天下で歩き回ったせいか 頭痛がひどい まさか、こんなことになろうとは アート巡り旅先ではいつも ギャラリー巡りをする 日本国内でも海外でも変わらない アートと名のつくところに行き そこで更にオススメを聞い

          イスマイリーヤ旅行記 9 警察に連れて行かれる 1/3

          日本出張

          2024年3月31日 14:29 日本に帰ってきた 出張につき一時的に 成田から高松へ乗り継ぎ softbankのsimカードを 数ヶ月前に紛失し 再発行が必要になった ロッカーにスーツケース2個を それぞれ預けて300ポンド バイオリンを香川に送り700ポンド ソフトバンク髙津の杜店に来るため 京成線で揺られてきた 待ち時間を含め 40分かけて行ったが 3800円と身分証が2つ必要と言われた 以前はもっと簡単だったのにな Simロックがなくなったせいか 手元にある

          人事を尽くす国エジプト

          2024年3月30日 16:10 エジプト人は友達にするには最高 何でもやってくれる が、友達じゃないとすぐに足元を見るしうそをつく サウジアラビア育ちのエジプト人が 両国の文化の違いと適応への苦労とともにそう言った 全くもって同感だ 驚く程何でもやってくれる 今朝ヨムナはシーク・ザイドから 1時間かけてやってきて 僕と友達とその息子を乗せて空港に行き 荷物問題を30分かけて解決し 僕らが無事ゲートをくぐるまで1時間も駐車場で待機し 2時間かけて帰っていった 日本で

          人事を尽くす国エジプト

          イスマイリーヤ旅行記 8 船乗りの一生

          2024年6月7日 22:45 20時の日没後 かつて船乗りとして世界を回り 今は農夫として郊外で暮らす ザキと散歩に出た 「人生でやりたいことは全てやった  若い頃は色んなところに  行くのが楽しかった」 エジプトからヨルダン、 サウジアラビア、インド、 インドネシアから横浜 横浜では塩を大量に積んで オーストラリアに売りに行った 大航海時代の船乗りのような 20世紀の話 色んな国を見ることは 色んな価値や生き方を学ぶことだと言う 「自分が何を求めているか  そ

          イスマイリーヤ旅行記 8 船乗りの一生

          イスマイリーヤ旅行記 7 死にたくなければ休め

          2024年6月7日 14:46 頭を上から押さえつけられる 顔を細い紐で叩かれるかのよう 足に砂が触れるたび 火の上を歩くかのように熱い 紙が燃えるようなスピードで 体が枯れていき、眩暈がする 吸う息は熱く 吸った息が体の中を熱くする 砂漠のような農園には 水分をギリギリまで絞られた オレンジが実っている 分厚い皮をナイフで剥き かじってみると 干されたかのように わずかに残された果汁に 甘みが凝縮されている 逆に喉が渇く 逃げるように家に戻る 汗はかいたそばか

          イスマイリーヤ旅行記 7 死にたくなければ休め

          イスマイリーヤ旅行記 6 恐怖より愛を

          2024年6月7日 シークと呼ばれる人たち客間には30人は座れそうな ソファが壁沿いに並び その上には父、祖父、曽祖父らの 肖像が飾られている 確かに名家っぽい 30歳のアフマドに敬語で話す 53歳のヌールになぜ年下なのに 敬語で話し家臣のように振る舞うのか聞いた アフマドの父も祖父もシークと呼ばれる 宗教的知識と人間性に特に秀でた人で 誰からも尊敬されるリーダーだったらしい アフマドの父を師と仰いでおり 長く一家と交流を持ってきた 小さい頃からアフマドを知っている

          イスマイリーヤ旅行記 6 恐怖より愛を