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【熊本県】FMにGISを活用してみよう!

7月26日(金)に、熊本の第3回FMユーザー会を開催しました!
第3回のテーマは「GISを活用して施設・土地の活用を考える」でした。

今回も第1回に続き、益城町の公共施設「ミナテラス」をお借りし、対面とオンライン併用で実施させていただきました。
第1回、第2回のユーザー会については以下のnoteをご覧ください↓↓

それでは、熊本の第3回FMユーザー会の様子を報告します~!



第1部 GISを活用した今後の施設のあり方の検討


第1部では、施設マネジメントにまちづくりの視点を加えることの重要性についてお話をさせていただきました。

まちづくりの視点の有無によって、施設マネジメントはどのように違ってくるのでしょうか。

まちづくりの視点がない場合の施設マネジメントでは、施設の改修や建て替え・機能移転をするだけで終わってしまいます。
対して、まちづくりの視点がある場合、その施設を使う住民や、地域の現状・将来を視野に入れた施設マネジメントになります。「住民の生活を改善するため」、「地域に長く住んでもらうため」、「地域に人を集めるため」に既存の施設や土地の活用方法を考えることができます。

まちづくりの視点を加えた具体的な施設マネジメントの例として、岩手県紫波町のオガール紫波があります。

"OGAL"という看板が目印です

オガール紫波はJR紫波中央駅前の10ha以上の空き地を活用し、紫波町が公民連携により数年かけて整備していった地区です。紫波町の組織である公民連携室では2年で100回にわたる住民説明会を実施し、住民にプロジェクトに関して理解を深めていってもらいました。(引用: 馬場正尊ほか 公共R不動産のプロジェクトスタディ 公民連携の仕組みとデザイン)また、オガール紫波の完成後、紫波町の地価は11年間で33.1%上昇したといわれています。

詳しく知りたい方は下のホームページをぜひご覧ください↓↓

では、施設マネジメントにまちづくりの視点を取り入れるには具体的にどうすればよいのでしょうか?オガール紫波の取り組み事例を参考にすると以下の手順になります。


①    まず徹底的に市民の声を聞く
②    どうすれば市民の日常生活が良くなるのか考える
③    特定の施設ではなくエリア(生活圏)で考える
④    市民の生活に必要な機能を考える
⑤    最後に個別の施設(ハコ)のあり方を考える


①に関しては、実際に市民がどんなまちや生活を望んでいるのか、意見交換会やワークショップなどいろいろなコミュニケーションツールで意見を集める方法が考えられます。
②、③、④に関しては、地域の未来予測や地域の人口推計や財政状況、実際に活用したい施設周辺のエリアの分析や、市民の意見などを踏まえて考えることがポイントです。
⑤では、①~④で得た意見やエリアの状況を踏まえ、施設のあり方を考えます。

上記の方法を見ただけでは、難しいと感じる方もいらっしゃると思います。
そこで、簡単に分析する方法の1つとして挙げられるのが、GISを活用することです。
GISは端末の画面に表示された地図上に地理情報を可視化させるものです。建物のマップや人口メッシュなど複数の情報を重ねて可視化することで、活用したい施設周辺の現状などを簡単に把握することができます。

具体的な使用例としては以下のようなものが挙げられます。

①集約化や複合化のために位置が近い建物を判定する

半径100mの円に含まれる建物を把握する


②活用しやすい土地を探すために矩形に近い土地を探す

縦横比から矩形に近い土地を判定


③建物の配置の見直しに向けて、ハザードマップと重ね合わせる

ハザードマップに重なる建物を優先的に見直す

第3部では施設のあり方の検討について、実際にGISを活用したワークを行いましたのでぜひ記事を最後までお読みください。

このように、まちづくりの視点を踏まえた施設マネジメントの手法としてGISの活用例を示しましたが、大事なのはGISを活用し、いかに住民を巻き込んでいけるかです。施設マネジメントを点ではなく面として捉え、まちづくりの視点で取組みを進めていきましょう。


第2部 GISを活用した土地の活用方法の検討


〇未利用地・残地の活用事例
PFIとは、民間の資金と経営能力・技術力を活用し、公共施設の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法です。
これに対し、LABV(Local Asset Backed Vehicle:官民協働開発事業体)は、自治体が公有地を現物出資し、民間業者が資金支出して作った事業体が、公共施設と民間収益施設を複合的に整備を行うことです。
このLABVを用いて、複数の公有地に商業施設やオフィスビル等の民間収益施設も組み合わせた開発やマネジメントまで行うことができます。

実際にLABVを活用した事例として、山陽小野田市のリーディングプロジェクトをご紹介しました。

出典:国土交通省「官民連携のまちづくり」(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/kanminrenkei/content/001329487.pdf) 

当社が行っている事例としても一部ですがご紹介いたしました。こちらはnoteの記事にてまとめてありますので、下の記事をご確認ください。

このように、活用したい土地、建物だけで方法を考えるのではなく、エリアで考えたり、他の情報を交えながら考えることで色んな可能性が見えてきます。

〇GISを用いるメリット
面的にFMを考えるためには、GISを活用するといろんなことが見えてきます。そんなGISのメリットについてお話をしました。


  • 様々なデータと重ね合わせて、統合的に分析できる
    ⇒人口分布、環境リスク、地形、インフラ…のようにいろんな情報を多面的に確認することができます。

  • フィールドワークや現地調査前の事前分析に活用できる
    ⇒地域資源の最適化を図ることができます。

  • エリア(農地、森林、商業地…)に応じた利用区分を判断できる

  • 地域住民等に簡単に共有できる
    ⇒地図情報を公開することで対象のアイテムの位置や活用方針などを共有することができます。民間事業者の活用提案につながることもあるかもしれません。  


このようにGISを活用すると様々なメリットがあります。当社がご契約させていただいている自治体様には、このように施設の位置がわかる地図はもちろん、その他各課様が必要なデータを地図上に落とし込み、GISを活用しやすいシステムを提供しております。

今回は、活用可能な普通財産の土地を抽出し、活用事例を提案するというシステムの機能を紹介しました。
提案された活用事例とその広さに該当する土地を一覧で見ることができます。その機能を基に、公開マップでさらに多くの情報と照らし合わせて、検討を行うことができます。

活用可能な普通財産の確認
土地の活用事例から対象の土地をCSV出力
人口メッシュなどいろいろな情報を載せた地図から対象土地の場所を検索可能

これらの地図を使って実際にどのような活用方法があるのかをより現実的に考えることができます。

第3部 具体的な活用方法を考えてみよう!

最後に第1・2部の内容を踏まえ、GISを使いながらまちの施設や土地の活用について考えるワークを行いました!

まずは、活用していきたい土地や建物の関連情報を確認していきます。
今回使用したGISでは、土地や建物の位置・大きさはもちろん、建物の老朽化率まで一目で確認できるんです!そこに現在・将来の人口メッシュや土砂災害警戒区域、都市計画区域などのレイヤを重ねながら、情報を整理していくことができますね。

レイヤを重ねて分析してみましょう

そして、得た情報をもとにビジョンを決め、活用方法を考えていきます。
住民の皆さんにたくさん使ってもらえる施設にしたい!
観光客にお金を落としてもらえるエリアを作りたい!
などなど、自治体ごとに様々な思いがあり、活発な意見が交わされました。

「建物の老朽化率や人口推計などを視覚的に見れるのがわかりやすい」
「各情報を地図上で一気に見る機会はあまりなかったので良いですね」
という好評のお声もいただいています!

最後に話し合ったことを共有する時間も設けました!

まとめ

熊本での3回目のユーザー会も無事に終了しました。

公共施設を単体で運用・活用していくのは難しいのが現状です。
そこで、GISを有効に活用して施設マネジメントにまちづくりの視点を取り入れてみてくださいね!
ぜひ住民の皆さんも巻き込んで、まちづくりに取り組んでいきましょう!

GISの活用や住民ワークショップなど、弊社も引き続きご支援していきますので、何でもお気軽にご相談ください。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
次回のユーザー会は8月21日(水)に行う予定です。
次回のご参加もお待ちしております!

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